第94話 昔とはやっぱ違うな

「ふふふ。こうして私は快ちゃんに会いにきたでしょ❤️?」


「ああ。あの時はビビったけどな」


俺だって10年前の約束を忘れていたわけじゃあないが・・・ まさか同じ高校に転校してくるとはさすがに驚いた。そういえば、急にホテルに連れて行かれたりしたっけ? でもあの時。梨沙が来た1日目から俺はすごく嬉しかった。


「でも俺は梨沙に会えてすごく嬉しかったぜ?」


「へへへ。嬉しいこと言ってくれるじゃん💙 私も快ちゃんに会えて本当に嬉しかったよ?」


「・・・ははは」


「・・・ふふふ」


お互い2人で笑いあった。俺たちは大きくなった。でもあの時と気持ちは変わらない。俺たちはあまり喋らなかったが気持ちは伝わっている。10年前のように潮風がなびく。


「そろそろ戻ろっか?」


「ああ。そうだな」


■◆◇


「快斗! 遅かったわね。大丈夫?」


「快斗くん。大丈夫ですか?」


「お兄ちゃんは心配かけさせるんだから」


「すまん・・・ 大丈夫だ」


みんな心配してくれる。そうだな。10年前は梨沙しかいなかった。今はみんなが心配してくれる。大きな変化だな。


「あら? 快斗ったら。何かあったの?」


「いいや。何でもねえよ」


まぁこの気持ちは胸の中にしまっておこう。


その後は食べながらおしゃべりをしていた。


「ほら、快斗! 早く食べないとなくなっちゃうよ?」


「はは・・・ 美香は相変わらずの食いっぷりだな」


「そう? お肉おいっしいからね」


こんな日常会話がすごく楽しい。これは今だからわかる楽しさだな。


「そういえば快斗くんと美香さんはどこで知り合ったのですか?」


ふいに結衣がそんなことを聞いてきた。


「え〜っと・・ どこって言われても・・・」


美香と初めて会ったのってたしか・・・


「快斗と初めて会ったのって・・ あの公園よね?」


「ん? ああ、そうだったっけ?」


「ふふふ。とぼけないでよ。あの時の快斗。すっごくカッコよかったんだから❤️」


今でも記憶の隅に覚えている。あれは小学校に入ったばかりの日のことだ。


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