第33話 やっぱり妹がいい

「もしもし?」


くっそ〜‼︎ さっきめっちゃいい雰囲気だったのに。この非リア充の俺からしたらめっちゃおいしい場面なんだぞ。


「あ、お兄ちゃん? 今どこにいるのかな?」


「あ、あかり?」


こ、これはまずい。またデートしてるなんて知られたら今度こそ許してもらえないだろう。


「ちょ、ちょっと散歩かな・・」


「となりに美香さんいるよね💢?」


「うっ・・ はい」


なぜすぐバレた? 俺って嘘つくの下手なのか?


「もう知らないから‼︎」


切れた。俺もうどうしたらいいんだよ。さすがにデート断るのは気がひけるだろ?


「快斗? 私ちょっと用事できちゃった。この続きはまた今度ね」


「え? ああ。またな」


美香帰っちまうじゃないか。これってふられたのか? 家にも帰れないし、どうしよう。


「はぁ〜 仕方ない。あかりに謝るか」


2度目が通じるかはわからない。でも家に帰るにはしょうがないか。


「た、ただいま〜」


家の中はしーんとしている。あかりはいないのか? これはラッキーなのではないか?


「俺は自由だ〜‼︎」


「何が自由なのかしら💢?」


「・・・・」


いたのかあかり。今の言葉を聞いてたのか。もう最悪だな。


「あかり、俺が悪かった。許してくれ」


2度目の謝罪。どこまで通じるやら。


「うん、別にいいのよ」


「へ⁉︎」


あれ? 怒ってるんじゃなかったのか? どういう風の吹き回しだ?


「怒ってないのか?」


「別に。ま、まぁちょっと嫉妬してたっていうか・・」


ああ、俺の命は救われた。神様ありがとう。


「とにかくおかえり、お兄ちゃん❤️」


「・・・」


あかりのハグ。こんなに温かく落ち着くものはないだろう。


「ああ、ただいま」


俺は全力でハグを返した。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る