第2話
通知で表示される部分で確認しただけでも、その内容は、自分が手を上げたことへの謝罪から、私が連絡を返さないことへの糾弾、とにかく答えてくれという懇願までさまざまだった。
悠一自身、どうするのが正解なのかわからないのだろう。まあ、正解なんてないのだけれど。あるとすれば、私との関係を過去のものとしてすっぱり切り捨てて次に向かうことだと思う。
そんなわけで、私は何らかの対処を迫られているのだった。この連絡攻撃にもいつかは飽きるかもしれないけれど、頑固で一度言い出したらきかない悠一のことだ。いつになるかわかったもんじゃない。こちらから手を打つ方が賢明で、建設的だと思う。
けれど、何をどうすればいいのかについては、まだ見当がつかない。
(……相談、してみる?)
私は松本さんの顔を思い浮かべた。これ以上、悠一とのごたごたに巻き込みたくない気持ちは確かにある。けれど、他に頼れる人も思いつかない。彼なら事情もよく知っているし、男性の視点を取り入れたほうが効果的な策を練れるような気もする──というのは都合が良すぎるだろうか。
ともあれ私は彼に連絡すべくスマホを拾い上げた。
「……それはもうストーカーと呼んで差し支えないと思うんですが」
現状を一通り説明し終えると、松本さんは少し苦い表情で言った。
「ストーカー……」
思わず復唱する。指摘されるまでそんな発想はまったく浮かばなかった。確かに、あのメッセージや着信の量は異常だと思うけれど。
でももし私がどこか早いタイミングで返事をしていたら、こうはならなかったのだろうか。
そんな疑問を口にすると、松本さんは静かに首を振った。
「反応しなかったのは正解だと思いますし、これからもしない方がいいでしょうね」
そう言って紅茶を口に運ぶ。何をしても絵になるよなあ、と私は関係のないことを思った。
「押し続ければどうにかなるなんて思わせない方がいい」
言われてどきりとした。悠一には実際にそういう部分がある気がする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます