雪桜

勝利だギューちゃん

第1話

それは、つい最近だったような・・・

それとも、大昔のような・・・


記憶があいまい・・・


「何を描いてるの?


1人で机にノートを広げて、彼は何かを描いていた。

目立たない。

でも、なぜか私は、彼が気になっていた。


思春期の女子は、目だっていたり、悪ぶっていたりする男子に魅力を感じる。

私の友達も、そういった男子を彼にして自慢している。


なので、彼みたいな男子は眼中にないのが本音だろう。


私も、最初は興味本位だった。

でも・・・


「桜」

「桜?まだ季節には早いけど・・・」


絵は想像で描くよりも、資料を見て描いて方がいい。

実物を見ながらのほうがなおさらだ。


「資料ならある」

「どこに?」

彼は、窓の外を無言で指差した。


「ゆき?」


どう見ても雪にしか見えない。

でも・・


私は手にとってみる。

すると、雪が桜の花びらに変わった・・・


「えっ、どうして?」


季節は冬。

桜の季節には、まだ早い。


「ねえ、どうしてなの?」

私は、彼に尋ねた。


彼はいなかった。


ノートだけが残されていて、風でページがめくれた。

ぱらぱらと・・・


そして、あるところで、ページが止まった。


私は思わず覗きこんだ。


そこを見て、私は愕然とした。


クラス全員の似顔絵が描かれていた。

それだけでは、驚かない。


その似顔絵は、全て未来の様子が描かれていた。


でも、人により違っていた。

描かれている年齢が・・・


「ねえ、」

友達に訊こうと思い、私はこらえた。


そんな気がした。


私と・・・いや、私たちと彼の間には、越えられない垣根があった。

住んでいる世界が違うのか?


私は、悲しくなった・・・


そして、彼が描いた似顔絵が示したもの・・・

私には、一生理解が出来ないだろう・・・

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雪桜 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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