セルゲイ・ヴォロノフ×登山詩

登って

昇って

登って


土を踏みしめ

ザックを揺らし

岩に手をかけて

身体を持ち上げる


思えばずっと登っている

崖から落ちそうになっても

足腰が悲鳴を上げても

ただ登っていた

止まることはなかった


仲間が離れても

登り続けた

独りではない

肩の重みに耐えて


ふと立ち止まった時

ようやくここが

頂点だと気づいた


いつの間にか来ていたんだ

もしも止まらなければ

通り過ぎていただろう

この山頂から

全てを見渡している


もう登ることはない

だが

帰り道は決して

下り坂ではなく

また新しい山なのだ

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