小松原美里×鉄道詩

 どこへ向かっているのか

 どこを走っているのか


 確かに乗り込んだはず

 気怠さというコートを引きずって

 饅頭のように身体を押し込んで


 息もせずただ

 過ぎるのを待っていたのに


 窓には星灯

 車輪には小石

 夜の荒野へ来た


 砂煙が視界を遮り

 赤土とサボテンを目下に

 レールの途切れた先を

 一人 歩く者を見た


 窓から身を乗り出し

 叫ぼうとして

 声は砂塵にかき消され

 それでも男はふと目を上げて

 私の乗る列車を

 転がる星だと思った


 そのうち列車は

 星めぐりをして

 目が覚めると

 おしくら饅頭に戻っていた


 女が求めていたものは……

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