山本草太×干瓢詩

ところで、海苔巻きは好き?

君が手にとったそれは

海苔と酢飯の中に

味の染みた

こりこりした

なんだかよく分からないけど美味しい

茶色の食べ物を包んだもの

何の気なしに放り込んで

また手を伸ばしたそれは

干瓢巻きと言うんだよ


干瓢は

夕顔という植物から出来ている

薄藤色のつつましい花を終え

まるまるとした瓜になる

それを削って削ってしゅるしゅる削って

乾かしたものが干瓢になる


瓜は削られて細くなり

すっかり痩せてしまうけど

いつかその一反の自分に

味が染みる日を夢見てる

その日のために

その時のために

身体をしゅるしゅる削っていく


美味しいかい?干瓢巻き

夕顔の花が目を覚まし

ふと自分を振り返る

削られた痛みが多いほど

立派な干瓢になるんだね

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