ネコ氏、干支について囲み取材を受ける

七海けい

第1話



 ──ネコ氏、今年の干支について何かコメントは?


「いい加減、オイラも立派な大人になったにゃ。2020年がねずみ年だからどうこうなんて、今更言わないにゃ」


 ──つまり、ネコ氏はネズミ氏を十二支として認めたということですか?


「確かにネズミの野郎は強い。特にあの“黄色い電気鼠”と“浦安の皇帝”はチート級に強い。ジバ●ャンで太刀打ちできるレベルじゃねぇにゃぁ……」


 ──ネコ氏にはまだ、盟友のキ●ィ氏というカードがあるのでは?


「……●ティ女史はオイラ達の最終兵器だにゃ。乱用はNGだにゃ」


 ──では、ネコ氏はネズミ氏との対決を諦めるということですか?


「そうだにゃ。……オイラは、ネズミの野郎を許すことにしたにゃ」


(((鳴り響くシャッター音)))


「みんな待つにゃあ! 何も、オイラは十二支入りを諦めたとは言ってねぇ」


 ──ネコ氏。その真意は?


「他の十二支を蹴落とせば良い……簡単な話だにゃ」


 ──他の十二支……。それは、いったい誰ですか?


「順番に考えるにゃ。まずうし。これは厳しい戦いになるにゃ。あいつは食って良し絞って良しの、キングオブ益獣にゃあ。似た理由で、とりも厳しいにゃあ。大手牛丼チェーンとカー●ルおじさんを敵に回す度胸はないにゃ」


「次に、とらサマは除外だにゃ。寅サマは同じネコ科の先輩だにゃ。……ネコ界隈は自由人の集まりに見えて、本当のところは超縦社会だにゃ。先輩には頭が上がらないにゃ」


 ──男は辛いんですね。


うさぎは一見狙い目のように見えるけど、それは危険な早とちりだにゃ。兎カフェの人気は凄いにゃ。猫カフェ一強だった動物喫茶業界に、インコとフクロウを連れて乗り込んで来た根性は只者じゃぁないにゃ。最近はいのししとも組んで、マイクロブタ喫茶とかいうジャンルも立ち上げたにゃ。これ以上、やつらとの戦線を広げるのは得策じゃないにゃ」


りゅうサマには全く張り合える気がしないにゃ。どう逆立ちしても、鳥●明先生には勝てないにゃ」


 ──ボールとクエストですからね。


へびは爬虫類の代表団だにゃ。干支は、あいつと酉と除いたら全部哺乳類だにゃ。マイノリティから地位を奪うのは格好良くないないにゃ」


うまもかなりの強敵だにゃ。……この前の有馬記念はしてやられたにゃ。三連複も買っておけば良かったにゃあ」


 ──私は単勝で当てましたよ。


ひつじは地味に手強いにゃあ。ひつじのショ●ンはクレーアニメ界の覇者だにゃあ。それに、羊毛がナイロンになっても、ジンギスカンはなくならないにゃ。おまけに、あいつはオイラの優秀な安眠導入剤だにゃ」


 ──眠れない夜にヒツジを数えるのは無意味だそうですが?


「全ては気の持ちようだにゃあ。……いぬの野郎を叩き出すのは難しいにゃ。ぃや、オイラとしては是非とも肉球を交えたい相手だけど、この戦争は終わりが見えないにゃあ」


 ──ネコ氏。一人忘れていませんか?


「フフフ……。そうだにゃ。さるを飛ばしたにゃあ」


 ──なぜ、サル氏を飛ばしたんですか?


「それは、あいつが狙い目だからだにゃあ! あいつから日光東照宮を取ったら、さるかに合戦しかのこらないにゃ。これなら圧勝だにゃあ!」


 ──……イヌ氏と共に桃太郎の助けたのはサル氏だったと聞きますが?


「……にゃ、」


 ──おさるの●ョージは恐れるに足らず、ということですか?


「……にゃにゃ、」


 ──ネコ氏は、猿●惑星でも生き残れる自信があるんですか?


「……。猿知恵だったにゃあ」


 ──以上。干支について、ネコ氏からのコメントでした。



~終~

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ネコ氏、干支について囲み取材を受ける 七海けい @kk-rabi

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