美しいこの世界で僕は君と
るのあ
第1話
「神様なんていない」
そう気づいたのはいつだっただろうか。確かあれは、そう、両親がまだ生きていた頃だ。
僕の両親は熱心なキリスト教信者で、日曜日、所謂「安息日」には教会へ行き必ず礼拝をしていた。僕にとって教会へ行くことは苦では無かった。鮮やかなステンドグラスに美しい彫刻。これらを見ることがとても好きだったからだ。
あの日も僕は両親と教会へ行っていた。とても暑い夏の日だった。でも、教会の中は違った。いつもとは異なり空気が重くただただ冷たかったのだ。勿論、クーラーなんてものはついていない。ふと足元を見ると、人の血肉と一面血まみれの床が僕の視界に入った。教会の中はまるで地獄だった。
「お父さん、お母さん、今日はもう帰ろう?」
僕の声は虚しく響いた。振り返るとそこにはさっきまで笑っていたはずの両親が血を流し横たわっていた。
「お父...さん.........?お...母...さん......?ねぇ、起きてよ.........ねぇってば!!」
いくら声をかけても揺さぶっても返事が来ることは無かった。
気がつけば走っていた。頭の中をぐるぐると教会での出来事が回っている。絶望とゆうのだろうか.....生きる希望なんてなかった。憎悪と憎しみで溢れていた。
気づくと森の奥にいた。ふと後ろから声がした。
「貴方、そこで何をしているの?ここは人間が簡単に入っていい場所ではないのよ?」
僕は振り返った。そこには黒い頭巾をかぶった1人の少女が立っていた。振り返った僕を見ると何かを悟ったかのようにこう告げた。
「いいわ。私についていらっしゃい。別に取って食おうなんて思っちゃいないわ。」
僕は彼女について行った。
「着いたわよ。何をぼさっとしているの?早くおはいりなさい?」
促されるまま家に入った。
「まあ、とりあえずお座りになって?ホットミルクでいいかしら?」
「ああ、ありがとう...ございます。」
「やっと口を開いてくれたのね?何かあったのでしょう?私でよければ聞くわよ?」
「実は.........」
僕は少女に今日の出来事を話していた。それを少女は黙ったまま聞いていた。僕が話終わると少女は一言口を開いた。
「生きていてくれてありがとう.........」
その一言を聞いた僕は涙が止まらなかった。そんな僕を少女は温かく包み込んでくれた。
美しいこの世界で僕は君と るのあ @runoa0319
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