機械の君と生身の僕の最期の55日間

@shizuki-arisato

12月31日

12月の終わり、新年が始まるちょうど一日前。僕は裁判にかけられていた。いや、もはやこの国において正当性とか、自由とかそんなものは無くなっているから、これが裁判と呼べるのかは分からない。みな、この国で怯えながら淡々と送る日々を繰り返している。僕はそんな淡々とは出来なくて、だからこの場所にいるのだけど。



鐘が鳴る。



「──判決 被告人、戸田隼人。



死刑



尚、処刑は2/14に行うものとする」




どうやら僕はあと55日と少しで死ぬらしい。




拘束された僕に1人の少女がついた。この少女が僕が死ぬまでの55日を一緒に過ごし、僕を監視する「人造人間アネティクト」〝死刑執行人〟。


そして、彼女は僕の××だった人だ。



でも、彼女はこのことを知らないから、僕は何も言わない。






 *****




──魔王を倒す?


そんなものはいない



──世界を変える?


世界は変わらない



──運命を変える?


生きることで精一杯だ



これはそんな高尚な物語じゃない。魔王なんていないし、世界は変わらないし、運命なんてもっと変わらない、つまらない僕と彼女の最期の55日間の話だ。

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