DEATH ERASE MINE/デス イレイズ マイン
堺 かずき
第1章 あの日
またあの日のような風景を作らないでほしい。活気に栄えた街々がコンクリートの残骸になってしまった。人々はどこかへ消え、獣たちがビルなどを破壊していった。もちろん広場の噴水も公園のブランコも使い道のない瓦礫に成り果ててしまった。
人々はこの状態になってしまった原因は不明なまま死んでいくのも哀れだ。なぜなら原因は私たち人々なのだから。
今から行われるのは大変なことになるぞ。まあ僕たちは自分のためだけに戦うことを諦めた哀れなニンゲンを観察するだけなのだが。
ニンゲンは面白い。何せ自分自身に何かが起こらないと「感情」を昂らせないからだ。
例を挙げれば、自分の肉体に刃が振られるとすれば自分を生き残すために手腕を翳す。自分が少しでも生き残るために。手腕が無くなってしまっては大量の赤い血が吹き零れ、死んでしまうというのに。
ある科学者が言い放った。「仕事は人々のために存在しているのだ」と。
ある救急士が言い放った。「人々は貪欲で儚きものなのだ」と。
ある少女は言い放った。「私を助けてほしい。生きさせてほしい。」と。
ある牧師が言い放った。「少女は短い命だった。」と。
生命と肉体は一緒に存在するものだ。
未来と過去は一緒に創造するものだ。
創造と破壊は一緒に依存するものだ。
欲望と理性は一緒に制御するものだ。
ある本に書いてあった。「生命と肉体を司る者、未来と過去を司る者、創造と破壊を司る者、欲望と理性を司る者、地にそれぞれの衝撃を与えるとき、我々はまだ見知らぬ地に降り立つ。決して慄いてはいけない。我を思い出し行動を移せよ。」
この世の中にはまだ欲望に満たされていない人々がいる。欲望に満たされてないならば、
手段を問わない人間を僕たちは罵った。だが人々は無力で罵詈雑言を浴びせるだけだった。
力がある者は人々を制す。
力がある者は世界を制す。
力がある者は未来を制す。
力がある者は欲望を罰す。
力がある者は破壊を罰す。
力がある者は生命に罰す。
力がある者は万物を壊す。
力がある者は人々を壊す。
さあここの舞台は仕上がった。幕を開けようか。
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