人間らしく生きて

第1話

我々は人間だ。

物や動物ではない。

だからこそ人間らしく生きていく必要がある。しかし僕の目には、人間が物に見えて仕方がない。規則正しく並んだり、同じような格好をしたり、それのどこが人間らしいのだろうか。まるで店に陳列している商品のように、同じようなものが並んでいるように見える。何度見返してもやはりそれは、ただの商品だ。価値などたかが知れている。

もしその中に壊れた商品があったとするならば、気になってしまうことだろう。なぜ壊れているのか？なぜ壊れているのにも関わらずここにあるのか？興味深くて仕方がない。

人間もそうなのかもしれない。ただの普通の人間よりも、少し欠けているくらいの方が面白い。もしあなた自身欠けていると自覚しているならば、どうかそのままでいてほしい。ただの商品に成り下がることほど不幸なことなどないのだから。我々は物ではない。人間だからこそ、汚らしく酷く不細工でもいいのだ。その深い深淵の中にこそ我々の価値はあるのだから。人間とはそういうものだ。

人間だけの特権なのだ。