☆第1章☆貿易都市(ルート)
1ー1★貿易都市ルート
ノルドの山小屋から下山するのに2日ほどかかった。
その間大きい蟻には2回ほど、ヌベっとした液体のような生物みたいなモンスターなどとも戦闘になった。
ティバーの方達はモンスターと遭遇する度に陣形を組みながら俺とフェンを守ってくれる。
お陰で俺は2度目以降の戦闘を目立ったパニックもなく状況を冷静に見ていくことができた。
強いていうなら夜寝ているときにゴーストが襲ってきたと言うことで無理矢理起こされた時ぐらいだったと思う。
(そう言えばノルドの小屋に泊まっていた時は小屋にモンスターが侵入しなかった。何か秘密でもあったのかな?)
下山すると木々の影響も無いせいか、青空がやけに綺麗に感じた。
都市が近くなっているせいか道も舗装されていて、モンスターが出てくる気配も無い。
2時間くらい歩いていると、フェンが大きな壁を指差して言ってきた。
『アタルさん、あの壁の向こう側がルートです』
『都市の周りに壁があるのはモンスター対策ってことで良いのかな?』
『そうです。ただ襲ってきたという話は殆ど聞いたことがないので、念のためくらいの感覚だと思います』
(【殆ど】ってことは襲うこともあるってことか…やっぱ異世界って怖いよ…)
俺が多少の心配をしているとフェンが何やらお金の準備をしている。
『特定の条件が無い限り入り口で銀貨1枚を請求されます。アタルさんも用意してください』
どうやらフェンはティバーの分も払うようで銀貨を5枚用意していた。
俺もノルドから貰った袋の中から銀貨を1枚取り出した。
この世界で通貨を使用するのは初めての事だけに実は緊張している。
『そう言えば、ルートに来たのは良いんだけど、こっから先はどうしたらいいんだ?』
『ナカノさんについては、一度登録所へ行き適正を見てもらってから判断しましょう。当分の寝泊まりについては安い宿泊所を知っているので安心してください』
そんな感じの会話をフェンとしていると門の横にある窓から偉そうな兵士が顔を出して来た。
『はい、証明書がない方はお一人様銀貨1枚』
いきなり無愛想に声をかけられたので思わずムッとしてしまった。
大人しく銀貨を払うと今度は窓の横の小さな扉から、全身茶色いフードに身を包んでいる怪しげな人が現れた。
右手に水晶を持ち俺たちの周りをウロウロとしている。
『はーい、行って良いですよ~』
水晶の男がいかにも事務的といった感じの声のトーンで指示してきた。
俺は首をかしげながら都市の入り口を潜った。
『アタルさん、さっきの男は僕たちが怪しい物を持ち込んでいないか調べていたんです』
(あっちの世界の空港の荷物チェックみたいなものか…)
『あの水晶で調べられるの?』
『そういうことらしいですよ』
『便利な物があるんだね』
『そういうことですね。ティバーのみなさん、依頼完了の手続きがあるので先にアタルさんを宿泊所まで案内して良いですか?』
ティバーの方達はみな首を縦に降っている。
生まれて初めての野宿を2日連続で行った俺は、都市に入って気が抜けたようで一気に疲れを感じている。
今日はベッドで寝れることにテンションが上がっているのを感じフェンの後をついていった。
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