序ー3★ドワーフ??からの情報
今はノルドと会ってから一晩がたち、お昼も過ぎようとしている時間のようだ。
語尾が[ようだ]となってしまったのは、俺の腕時計の時間軸とここの時間軸が合っているという保証がないので太陽の傾きからしか確かめようがないからだ。
昨日の夜にノルドの話を聞いて自分なりに踏ん切りがついた頃には朝が明けようとする時間だった。
あれから自分なりに話を整理していくと、どうやら俺は異世界というものに迷い混んでいるらしい。
何故なのかと言われると占い師が原因だったのか、他には全く身に覚えの無い話なので詳しくは分からないが、一つ言えるのは日本での常識が全く通用しない世界だということだ。
そこで自分なりに整理できたことや理解できたこと、踏ん切りついたこと等をまとめていこうと思う。
最初にまとめるのは、俺にとっていまだに実感できない異世界と呼べるこの場所についてだと思う。
先ず自分がいるこの場所はガルド王国という国で主な種族はドワーフだということだ。
初めてノルドとの会話のなかでドワーフという単語が出てきたときには、神話やゲームの世界くらいだと耳を疑った。
だがノルドも実はドワーフで中でも土に対しての属性というのがあるらしい。
疑う俺に土の属性の魔法で高さ3mほどにもなる土の壁を一瞬で作って見せてくれたので、今は信じている。
(でも俺の想像上のドワーフって身長が小さいってイメージが強かったんだけど…ノルドはどう見ても2m以上はあるんだよ…)
脱線した話を戻すが、俺が迷った山はガルド王国のリエン山と呼ばれていて、地理的には国境沿いになっていてエルフが主な種族のランティス王国という国に隣接しているらしい。
獣やモンスターと言われる生き物まで出現する地域らしいので、なるべくなら一人で行動しない方がいいとも言われた。
ガルド王国とランティス王国のそばに人間が主な種族として栄えているバビロンという国もあるそうだ。
この3国は戦争をする程ではないが、仲があまり良いわけではなくお互いの国に対して互いに不干渉ということにしているらしい。
ただ政治的には不干渉で良くても互いに暮らしていく国民の立場にとっては不便なこともある。
そこで3国は言語も一緒だし、交わる地域に貿易用のルートという都市を作るようにしたんだと。
続いて俺が不思議に思ったのは、ノルドから渡され今も付けるように言われているネックレスだ。
あのネックレスには言語の交換に纏わる魔法というのが掛けられているらしく、ネックレスをつけた状態だと会話を理解することも話すことも出来るだけではなく読み書きも出来るのが分かった。
文字を読みたい場合は読みたい部分を指でなぞると自動的に日本語に変換された文章が頭のなかに浮かんでくる。
言葉を書きたい場合には日本語で書いた箇所を指でなぞると自動的に変換されていた。
非常に高価な物を貸してもらったのではないかと恐縮していたのだが、どうやら価値的にはそれ程高いものではないようだ。
ネックレスに込められている魔法は生活魔法と呼ばれるもので珍しくはないらしい。
俺はこれからについて、どうしたらいいのかとノルドに訪ねた。
すると4~5日ほどで商人の一行が山小屋に立ち寄るはずだからルートまで同行できるように話してくれるそうだ。
このノルドというドワーフは、顔や外見は怖いし声も低いので取っ付きにくいのだが本当に面倒見がいい。
謎の言動など目につくところは多少あるのだが、もちろん見た目にビビって聴けていない。
危険な感じはしないのでこのまま様子見ておくのがいいかなと考えている。
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