2回目の、あの日



ミク、ミク、ミク


「どうしょう、寝ちゃった。」



「もうミクってバッ‼飲み過ぎ」

クッタリと寝たミクを揺すっても中々起きない!


「旦那さん、知らない番号から

じゃ 出ないわよ。

ミクの携帯からかけよう。」


友人達は話し合い、ミクの携帯から

かける事にした。


「ん〜名前なんだっけ!」

ショートボブヘアーをカキカキ

しながら智が聞いた。」


「ん!拓哉ー拓哉ーって呼ぶから

拓哉じゃない?」



「おーそかそか」

智は電話帳をスクロールしながら

と叫んだ。


プチッとな‼

智は拓哉と出た番号を押した。

すると直ぐ繋がった。


「もしもし、ミク、ミクなのか?」


向こうから切なそうな声を聞いた

智は・・・しばし?


「あの﹏、ミクの旦那さん?

ですか?

拓哉さん?。」


「あ‼ はい拓哉は私ですが!」


「ミクが酔っ払っちゃって、

拓哉さんの名前呼んでるんです。

迎えに来て貰えませんか?。」


「わかり、分かりました。

えと‼ 何処ですか?」


「龍神坂にある、Road side tree

と言うレストランなんですけど‼」


「今から出ます。

それ迄お願いします。

今近くに居ますからすぐ着きす。」


俺はその時本屋に居た。

偶然ミクが友達と会っている

レストランの隣だった。

魂は抜け出た俺


俺は〇殺する方法を探していた。

ネットで調べてもピンと来る方法が

無かった。

海に行くとあの龍に止められる

又引き戻されて何度も辛い日の

繰り返しをするんだ。


嫌だ‼

死んで楽になる事はない

それが死を選んだ俺の受ける罰


ならば生きて見る・・・か?

辛い所にいるなら、そこから逃げ

出し、違う場所に行く選択もある。


死の世界へ行くのと、

何も知らない場所へ行くのと何処

が違うのか?

死はもう何も無い。

然し生きていれば何か出来るかも

知れない。

そんな自問自答を繰り返していた。


ボランティアでも何でも・・・

死んだ気になればやれそうな気がする。

そんな事を考えている時電話が

鳴ったんだ。


俺はもう一度ミクに謝り

ミクが嫌がったなら俺は・・・

ミク無しで生きるにはやはり辛すぎる・・

メンタルがこんなに弱かった

とは・・





俺は決心してミクを迎えにいく。



「分かりました。」

手に取った本を元の棚に戻して

レストランへと足を向けた。


暫くしてマダム達が


ミクを取り囲んでいるのを見て

1人の合コン男子が近づいて来た。


目の覚めるイケメン男子。

「ミク、ミク、ミク‼」


マダム軍団は唖然

合コン男子も呆然‼


「すみません、ミクは連れて

帰ります。」

この頃から俺とオレは同化して来た


勝成がミクをかかげ上げようと

した時その手を掴む、もう1人の

爽やか系イケメン男子登場。


「た・・・拓哉?」

勝成は拓哉を見て声を震わせた。


「勝成ハアハア、悪いなゴクッ!

ミクはヤッパリ渡せない。」


全力疾走してきたらしき

イケメン男子は息を切らせていた。


体制を変えた勝成がミクの前に立ち


「お前は、ミクと離婚しただろう。

お前に権利は無い‼」



「権利じゃない‼

ミクは俺の女だ‼

お前にこそ権利なんてモノはない‼

ミクを見つけたのは俺だ!!」


2人は睨みあい、険悪なムード


「ね、ミクは離婚してたの?」


「えー、それっポイ。」

友人達は睨みつけ合う2人の横で

コソコソ


「どうすんの?ヤバくない?」

「えーどうするってどうするよ?」


「どうするよって‼

どーする?」

彼女達はミクを囲み彼氏達の行動

を見守った。



「ミクは拓哉ーって叫んで

たから、拓哉さんじゃね?」


「だ・・・ね。」


友人達はゴニョゴニョと話し合う。


智は意を決して


「間違ってるかも知れないけど

ミクは拓哉ー拓哉ーって呼んでました。拓哉さんが連れて帰って下さい。」



勝成はエッ‼ と驚いた顔を見せたが

智の一言でミクを掴んだ手を緩めた。


「ミク、帰るぞ掴まれるか?

あ、いい、いい。

そのままでいろ、じっとしてろ‼」


その一言でミクは分かったのか

分からないのか、体の力を緩め

拓哉の腕に勝成が見ている中

転がり込んだ。


「ヨーイショット‼

あ、ミクがご迷惑かけました。

お詫びに支払いは僕がします。

沢山食べて飲んで楽しんでください。」


拓哉は支配人を呼んで話した後

マダム達にニッコリと挨拶をして

ミクをお姫様抱っこしたまま

エレベーターへと歩き出した。



マダムメンバーも合コンメンバーも

目を丸くして見守った。


「ミク、昔からモテてたもんね。」

「そうそう、モテてたね。クスッ」

ミクの昔話で盛り上がっていた。



そこには又拓哉を抜け出た

魂の拓哉が立っていて、

彼女達の話を聞きながら

未来を変える事を戸惑っていた。


ミクを幸せに出来るのは勝成か?

俺か?迷っていた。




《《ミクはお前のツインレイじゃぞ、ここで別れたら又何万年会えんぞー

いいのかー拓哉⚡》》


そんな声が聞こえて来た。

その声に押される様に意を決して

去っていく2人を追いかけ、

スッと拓哉の中に滑りこんだ。


一瞬‼ 智はヒッと小さな悲鳴をあげる

そう智はその瞬間を見た‼

白い人が走り抜け拓哉に滑り混んだ

瞬間を・・・\=͟͟͞͞(꒪ᗜ꒪ ‧̣̥̇)/



そんな事にビビる暇なく

智は勝成の事が心配になっていた。


勝成は黙ったままコートを握り

スタスタスタと歩き出した。

智の顔を睨むように目でキツく

見ながら・・・


それから彼は無表情になり

辛そうで、苦しそうで


智はそんな勝成に印籠を渡した事もあり・・・少しの罪深さを感じていた。


智もコートを羽織彼の後を追った。

智が走っていると老人が現れ


「スマンが飲みものをくれんか?

ワシは、金持たんでのう。

朝から喉がカラカラなんじゃー

乾燥してるからかのう。」


「あ、あ、あ‼お爺さん

ちょちょちょ待って・・・

急いで自販機にコインを詰め

コカコー〇を押した。」


智はコカコー〇をポイっと手渡すと

ビューンと走り去って行った。


「ははははは

現代っ子じゃなー

ワシはお茶が飲みたかったなぁ

まあ良いか。

時代も進んだもんだ、黒い水

を飲むんじゃもんなぁ。

最初はビックリしたもんじゃ

ワッハッハ」


老人は智を見送っていたが

細めた目をギロリと開き

曲がった腰をスッと伸ばし

薄桃色の小さな針を耳の中から

取り出した。



老人は、フッと白い息を吹きかけると

それは、一本の丈夫な矢に変わった。


姿勢を正し狙いを定め片目を瞑り

構えた矢をビュ━━━━━━ン➻

勢いよく引き放った。


智に目掛けて➻━━━━━━1矢♡


勝成に目掛けて➻━━━━━1矢♡

放った。


「イテッ‼」


「イタッ」

2人の背中から心臓にかけて痛みが

走った。


「ん?何だったんだ?」


「ん?なに?」


勝成は、その痛みで

ミクへの想いが辛かった想いが

まるで薄まるように消えて行くの

を感じた丸い円を描き

湖に一滴落とされたワインのように


フオッフオッフオ

2人は近々何処かで巡りあい

愛情を深める事じゃろう。



お爺さんはドッコイショと腰掛け

プシュッと音を立てニコニコ


「さてさて、いただくか!」


爺さんはレストランの端の椅子に

「よぉいしょっドッコイショ」

と座りコー〇を

ゴクゴク ゴクゴクと一気に飲み干した。

「なんか食い物が欲しいよのぅ。」


喉が乾いていたのは本当らしい。

コー〇を飲んだら迎え腹で腹も

減って来たらしい。


(お腹が空いてるとは思わず

食べ物や飲み物を口にした時

お腹が空いてくる様子。)


さあて何か食いにいくか?

老人はヨッコラショと又

ゆっくり立ち上がり腰を

ポンポンと叩くと

足からパラパラパラパラパラパラ

と消えて行った。





拓哉は大事そうにミクを抱き抱え

マンションへと戻っていた。


部屋の中は何もなくミクが出て行った

時のままだ。

ミクの事を諦めて生きる希望は

無くしていた。

死を考える毎日。


マンションを出た時は死を

決心していた拓哉だったが

ミクが自分を呼んでいると聞いて

少しだけ希望を抱いてしまった。


魂の拓哉は知っていた。

ミクが勝成に嫁入りする事を

だからここで

阻止しなければならない。

此処でミクを手放したら自分は

あの暗い海の底に又沈んでしまう。

然し我が身可愛さでそんな事を思う

訳では無い。

自分の命を惜しんだ訳では無い。

ミクを誰にも渡したく無いだけだ。

ミクを取り戻す為ならカケてみたい。


あの時苦しさのあまり自分は自分を

抜け出した。そして海に沈む自分を

見て上昇。

するとミクに会いたい感情が

膨れて来て・・・


ミクと叫びながら高く高く上昇した

そして自分のマンション目掛け

飛んだ。


そうスッカリ忘れていたが

俺はあの日確かに死んだ、

あの暗い海の底で。


そう、あれは五月五日の事だった。


今横たわる

愛しいミクの髪を撫でながら

どうしたらいいのか悩んでいた。





眠ったミクを見て大変な事を

思い出した。

悪酔いしたら、ミクは乳酸菌飲料を

飲みまくり、

ビスケットや、オレ〇、ビス〇を

ボリボリバリバリ食いまくり

💩をドバーッと垂れ流し朝に小さく

反省する。


拓哉は慌ててコンビニに走る。


そんな時、ミクはまだ夢の中にいた。

「拓哉?どうしたの目を覚まして」

ミクは病室に佇んでいた。


横たわる拓哉の頬をなでながら


「おばあちゃん?。」


泣きじゃくり小さい体がもっと

小さくなったおばあちゃんは


「ミクちゃん、拓哉が悪いのは

承知しているけど、

私は、私はミクちゃんを

恨んでしまう。」


「お・・・婆ちゃん。」


「もう、おばあちゃんじゃないの

貴方とは他人・・・」


おばあちゃんはキッとミクを睨んだ。


「ミクちゃん、ゴメンなさい

もう拓哉は・・・



帰って頂戴、もう私達とは

関係無いんだから貴方は

幸せになりなさい。」



「帰れーつ、帰りなさいううう」

お義母さんも、おばあちゃんも

泣いていた。


走り込んで来たユキは、ミクに

気付くと

とミクを張り飛ばした。



《《拓哉にやめとけって言ったのよ、

私なら拓哉の浮気ぐらい我慢した、

貴方が嫁に来た時だって我慢出来た。


拓哉を愛していたからよー‼


これで分かったでしょう。

あんたより私の方が拓哉を愛して

いるのよー!》》


床に投げ出されたミクは泣きながら

叫んだ。


「拓哉ー拓哉‼ お願い目を覚まして

浮気は許します。

だからだからだから




誰の声とも分からない

叫び声を聞いたが

ミクは拓哉に縋り付きながら、

泣いた。


ユキが拓哉と引き離し引き摺る様に

ミクは、病室から叩き出された!


泣きわめくミクを泣きわめくユキが

叩き出して・・・

ドアが、バタンと耳が割れる様な

音を立てて閉められた。


ドンドンドンドンドンドンドン

ミクはドアを血が滲む程叩いていた。



泣き叫ぶ声は

夢で叫んでいると言うより、

現実で叫んで泣き喚いていた。



ミク、ミク、ミク

ミクは泣きわめきながら、静かに

目を開けた。


「ミク、ミクどうした💦

ミク、ミク」


「拓哉ー拓哉ー拓哉ー」

ヒックヒック

悲痛な叫び声をあげる。

そんなミク揺さぶりシッカリと

だきしめる。


「たく・・・や?た・・・くや?」


涙でうっすらと拓哉が見えて

・・・ミクは放心状態になる。


「た・・・拓哉

どおし・・・て?」


「どうしてってミクの友達に

呼び出されたんだよ。

迎えに来いって・・・

ミクが俺の名前を呼んでいるっ

て・・・」


ミクはベッドにバツと座り拓哉に

顔を近ずけクルリとした目で

マジマジと見た。


拓哉の顔をペチパチ叩きながら

「生きてるの?」


ミクのまあるい黒い目いっぱいに

拓哉が映った。


拓哉は涙でビッショビショのミクの頬を

両手で押さえてジッと見つめて

言った。


「ゴメンな‼ 俺は取り返しの

つかない想いをさせてしまった。

今は生きてるよ。


ほんっとにゴメン。

ミクに謝っても済む事じゃないと

分かって居るけど・・・」


「ホントだよ。(´⌒`。)グスン

結婚記念日忘れないように

子供の日に式を挙げたのに

スパンと忘れてるし、信じられない!

許せ無いんだからね‼」


「ゴメン、ミクが許してくれるまで

俺は待つよ。

何万年過ぎようと待つ‼」



「拓哉、明日は五月五日よ。」


「ねえ拓哉明日は・・何を・・・

するの?」



拓哉は戸惑いながら立っていた。


「海、海に行くの!?」


(ⓞДⓞ)エッ!?

拓哉は驚いたように目をまるくした。


「い、行かないで

行かないで拓哉‼」


「貴方は、拓哉の身体にもどれたの?

あの日は夢だと思っていたけど

違うよね。


ねえ、もどれた・・・( ᵒ̴̶̷̥́ ^ ᵒ̴̶̷̣̥̀  )の?

拓哉の身体に・・

今の貴方は、あの日の魂の

・・・拓哉よ・・・ね。

私にはわかるもん。」




「う、うん。

もどれた・・・戻れたよ

あの日の珈琲の味は、忘れられない。

ギュッミク‼」


「死なないよね拓哉‼

死ぬなんて言わないでよ。

命と交換に詫びるなんて

私が苦しむんだよ‼


約束通り拓哉をみっけたよ。

私が先に見つけた。」



「それは・・許してくれるの?ミク」


「まだ許せない。」

ミクは許せない事を許すとは言えない。



「うん、うん。

大丈夫だよ許してくれるとは

思っていないし。

許してもらおうなんて思わない。」


「彼女はどうしたの?」


「ミクが出て行った日

別れたよ。


遅すぎたけどミクを心から

愛していると気付いたから。」


「マンションは買ってあげたの?」


「いや、買う元気も無くなったよ。

彼女の本性が分かったし、

いやそんな事はどうでもいい。」


「拓哉、拓哉の浮気性は

治らないと思わない?」


「もう一度俺は死んだ身なんだ。

明日は海の底にいるよ。

ミクそんな事で君を縛りたくない

来世を待って君を幸せにする。


それは約束する。

君が勝成を選ぶのなら、大丈夫俺は

祝福する。


君には幸せでいてもらいたい。」


「ううん。私も貴方を責められない。

私も同じよ、勝成に揺らいだの・・・」


「・・・仕方ないよ。

俺のせいだろ、分かってるよ。」


拓哉はミクの頬を撫でながら呟いた。


「 辛かったし、私を必要としてくれ

た。でも・・・やっぱり拓哉が

忘れられない。


ねえ、もう一度だけ、やり直し

てみる?

結婚はしない、家も別、

そうやってやり直してみない?


拓哉が結婚したい人が出来たら

浮気する前に私に話して

生きてるから絶対は無いでしょう。


拓哉が浮気しないと自信が

つくまで別々に暮らそう。」


拓哉もミクも抱き合って泣いた。



「恋人からやりなおすか?」

拓哉はミクを又強く抱きしめながら

哀しく呟いた。


そして、ミクも泣きながら頷いた。


その日ミクと拓哉の久しぶりの

夜は長く、優しくふけて行った。


ミクはそうやって、勝成との人生より拓哉との人生を選んだ。

それはツインレイが成させる業か

離れては又お互いを求める

何回繰り返した事か・・・


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