愛の略奪宣言

拓哉は携帯を開いてミクの写真を

探した。


何故か一枚も無い・・・

結婚式の写真も、旅行の写真も

プロポーズの写真も、動画も

何一つ残っていない。


俺のスマホからも、ミクが消えて

いた。


俺だけを写した写真や友達の写真

は・・・あった。


「ミクの写真も、ミクが消し

たんだな‼」

慌てて、PCを確認する

・・・・・無い‼

焦って探すが無い!!

ミクの写真全部消されていた。


葵の写真は全部残ってる。

確実に、浮気と分かるヤバい

ツーショットの山‼


俺は現実に引き戻される

携帯にも残る葵の写真

葵が、ベッドにお座りした写真。


葵と裸で抱き合ってる写真

葵の寝顔、葵と食事しているショット、

俺の顔は満面の笑み‼

どれも凄く楽しそうだ。


さっき迄、俺はこんな顔を


していたんだ。

唖然


俺の楽しそうな姿をミクは

こっそり見ていたんだな!

知らなかった、ミクを苦しめて

いたのか?そんなつもりは

無かったのに・・・。



はぁー

一人ソファにもたれかかって

フッとキッチンに目が行った。


朝、このテーブルには

味噌汁と鮭と和え物とだし巻き玉子

が並んでいた。


「食べもしないのに・・・

無駄‼」


2人分用意された朝食を見た時

ボソッと呟いた俺の言葉にミクの

顔が悲しそうだった。

早起きして作ってくれたのに・・


確かに朝はこの部屋全体には、

家庭の匂いがしていた。


慌ただしい朝も、バタバタしたミク

も、もう夢の話なのか?

1度の浮気で当たり前の生活が

この両手から溢れ落ちた。


暖かいお茶を勧めるミクに

「自販機でコーヒー買うから

いらね。」


ミクの気持ちも考えず、酷い事を

した。


ミク、ゴメン、君は苦しんで

いたんだな!


俺はただ呆然と座り込む。


「ミクは綺麗だよ。

まだ32だ 若いに決まってる。

君が年上を気にしているのは

よく知っていたのに・・・

気にするから、笑っていたんだ。」


夜19:00時葵がやって来た。

初めて部屋に来た葵ははしゃぎ

回り・・・

「奥さん出ていったのねー

ヤッター♡」


嬉しそうにバタバタと

マンションの中を

走り回る葵を見ながら、

初めてミクを連れて来た日を思いだした。


ミクは窓際に立ち

「空が近い。

鳥になった気分ね。」

そう言った。



《《ヤッターこの部屋空いてる

ここ、葵の部屋にするからー❤》》


俺は・・・その声にハッとして

葵を見た。


「ね、ね、葵ここに引越して

来るから。

奥さんいないしー

いいでしょっ。

葵、ここがいい‼」


葵は俺の首に飛びつき、

はしゃいでいた。

「煩い!静かにしろ‼」


葵は、まだはしゃぎ回り

寝室から俺を呼んだ。

ミクと俺の寝室から・・・


俺は何故か許せなかった

浮気女の入る場所じゃない‼

そう叫び葵を叩き出した。

💢💢


「葵の方が好きって言ってたじゃん。

あんなオバサン抱けないって

笑ってたでしょう。」


「え・・・俺は、そんな酷い事を

言ってたのか?」


「そうよ今更、ねえ拓哉

あなたを満足させるのは

私のはずよ。」


葵は俺を誘って来た

キスをして抱きしめる。

しかし感情が湧かない


パッと突き放す

可愛い、愛しい、そう思っていた

はずなのに・・・気持ち悪いゾッとする。


金、金、金、葵の目は、💰


「うわぁ、幾らしたのー

スゴーイ。」


ミクに買ってあげた、アクセサリー

しかもミクの置いて行った、

結婚指輪をはめながら、

キャーキャー言っていた。


「やめろ‼ ミクの物に触るな‼

窃盗で訴えるぞ‼」


俺は葵の後ろから声を荒らげた。

1人になりたいイライラから

葵に無性に腹が立っていた。


「はーい。ま、いいわ

お下がりより新しく買ってよねー拓哉‼」


葵はふくれっ面を見せながらミクの

アクセサリーから手を離した。




葵は拓哉のマンションが気に入って

豪華な家具にも満足していた。


「やっぱり、引越ししちゃお

拓哉、ここに住むから

拓哉と、いたいのぉー❤。」


甘え声で迫ってくる!

葵のお得意な甘え倒し。

あれ買って、これ欲しいそんな時

甘酸っぱい声を出して俺に


「分かった、買おう。」


そう言わせてきた。

目が覚めるとこの戦法にやられていた。


「俺に触るな!」


「いいじゃん、奥さん出てったし

いいでしよ、ねっ❤

葵ここ気にいっちゃっ たー❤。」


ベタベタベッタリ首に、腕を回して

くっついてくる。



「ねえ〜❤マンションは?

ここじゃダメなの?

タワマンだし、凄い‼」



イラついた俺は葵に向かって

叫んでいた!


「ミクはお前とは違うんだよ

簡単に落ちたお前とは違う。

何回も何回もアタックして

やっと手に入れたんだ。

お前との遊びとは違う‼」


葵は拓哉の異常な睨みにビビリ

飛び出すようにマンションを出た。


「ん〜もうっ‼

せっかく捕まえた、ハイスペック

なATMなのにぃー‼」


葵はプンプンしながら

「別にいいよーだσ(>д<*)べ-ッ

拓哉だけが彼氏じゃないもーんダ」


葵は携帯を取り出しキープしていた

オジサン彼氏に電話をした。


「葵でーす、迎えに来て❤

うんうん。

今日は、フランス料理がいいなー

❤」



葵は高々とたちはばかるタワマン

を見上げプンプンしながら

迎えを待った。


やがて高級車が葵の横に止まる。

「遅い〜もう待くたびれたーぁ。」


「ゴメンゴメン葵

ほらコレ」


「ワーなになに?」

ポイと渡された紙袋を手にした葵は

大喜び。

ブランドのバックが入っていた。


貢がせ上手な葵と評判

甘え上手で愛らしい。

彼もハンターの餌食なのか?


暫く会えなかった葵に会えて彼も

凄く嬉しそうだ。


こういう甘え上手な女子が男には

堪らんのかも知れない。

都会のサバンナを生き延びるには

こういう方法も

あるんではなかろうか

寄生して楽して生きる。


それは悪い事では無い、女の武器を

盛大に使い、男を喜ばせ

その勢いに乗って昇進する男もいる。


その気にさせたら後は楽チン。


然しおすすめはしません。

やはり、愛情こそ全てな気がする。





勝成は責任を感じミクに、拓哉と

やり直してくれと頼み込んだ、


葵とベタベタしていた頃は

奪ってやると息巻いていたが

憔悴した拓哉を見たら・・・

言えなくなった。

拓哉は俺の親友でもある。



しかしミクの決心は硬い。



勝成はミクを食事に誘い出し

「お願いします。

今度は浮気させません。


俺が見張る。

今、拓哉は引きこもり

仕事していません、いや出来ないで

いる。

このままだとクビになる。」


「そんな事ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”

彼女に頼めばいいじゃないですか?

パクパク🥛ゴクゴク」


「そんな‼;´Д`」


「アレっ私達離婚するん

ですよ、もう他人になるんです。

まだ書いてないのかなぁ」


「え、何を・・・?」


「やだなあ!離婚届」


ブハッゲホゲホゲホゲホ

(((;꒪ꈊ꒪;)))「離婚届え━━━‼」



「ミクさん、考えなおして

俺なんでもしますから。

拓哉にチャスを下さい。」



「何でも?ホント?」


「うん。何でもやる。」


ミクは盛モリアイスをペロリと

食べあげると・・・


「出ましょうか。」


そういうと残っていたサクランボ

をポイッと口にモゴモゴ

プルんとした唇から種をピッ


クスッと笑いながら

「見ないで‼」

そう言った顔は又幼さが見えて

勝成の心臓ドキッドキ!!


「人がふえはじめたから、」

と言ってミクは席をたった。


歩道を歩きながら


「私この辺に引越してて

家、直ぐそこなんですよ。」

ミクは道を挟んだ小綺麗なマンション

を指さした。


「ああ、知っています。

興信所を使いました。」


「はあ〜_興信所?」


くるりと回りミクは勝成を驚いた

顔をして、見た


「かぁー、金持ちって

金無駄遣いしすぎ〜」


ミクは背の高い勝成を見上げて

言った。


拓哉と知り合った頃興信所をミクも

使った事がある。

それはミクに取って必要経費と

思ったからだ、然し後悔する程

高かった。




「ねえ勝成さん。

何でもするって言ってたでしょう。

本気?」


俺はウンウンと頷いて

「勿論!本気です。‼」

そうミクを見ながら頷いた。


ミクは足をピタリと止めて勝成の目をじっと見てこう言った。


「じゃあ、 あなたは渋る拓哉を

合コンに引っ張り出す罪を

犯した。」


「拓哉は浮気した罪を犯した。」


「だから平等に罪を犯さ

ないと不幸平、そう思うでしょ。


だから・・・‼」



「ん?だから?

何をすればいい?」



立ち止まり俺を見上げるミクを

見つめながら呟いた。


「私と寝て‼

あなたに拓哉を裏切らせると

言う罪を、私が犯します。」


又思い切った事を考えるミクは

俺の気持ちを弄ぶように

満面な笑顔を見せて俺の返事をまつ‼



「そ、υそれは υ」


「何でもするんじゃないの?


笑わせないで・・・


それくらいの覚悟でフフ

何でもするなんて言わない事よ。」



俺も、真剣だ舐められたら困る。


「この際だからハッキリいう。

あなたは、俺に抱かれた後

俺がこのままでいると思うか?

あなたを抱きたいのは

俺の望だ。


どうせ拓哉を裏切るのなら

徹底的に拓也に裏切り者と

罵られようとあなたを手に入れる


良いんだな‼

後には引けなくなるぞ

俺はそういう男なんだ。」



(ー"ー;)拓哉から私を彼が好きだと

聞いた事がある。

ホントだったの?


じゃあこの提案はヤバくない。



「そ、そうかかかぁ・・・

ん、ンンンっ‼

ヤッパリ、この話は無しね。

年下で苦労するのはもう

コリゴリなの‼」



「それより拓哉に、伝えて下さい。

早くサインして欲しい。


わたし子供が欲しい。

婚活していい人見つけて

子供をうみたい。

拓哉と早く他人になりたい。」




ドスン。

俺はバス停の長椅子にドンと

腰を下ろした。


五月らしくサツキが赤、白、ピンク

縁取るように歩道に色付けする

長く並んで咲いているサツキ。


極めて目立つ白い花は

まるで凛とした、ミクを想わせる。


あの目で、ジッと、見つめられる

と、俺は可愛らしい顔を

凝視できない。

そう、よろめかない奴はいない。


拓哉 ๑´࿀`๑=3 なんで浮気したんだ

そしたら俺は彼女をお前の嫁として

感情を抑え込めていたのに・・・。


俺はミクを好きになってしまった。


ミクはそんな俺を挑発した。

ミクを抱けと言う。


拓哉を裏切り俺に裏切り者の

十字架を背負わせるつもりだ。

俺にはそんな苦しみを味合う勇気

も無いと思うのか?


ミクが俺の手に落ちるなら

覚悟は出来る。


いやいや、まだ早い

今俺がやることは、拓哉を支える

事だ、少なからず原因は俺にある。


傷ついてボロボロなのはミクなのに

拓哉が被害者みたいに

なっているのは、何故なんだ。


浮気するなら覚悟でやれよ。



一ヶ月後に拓哉は復帰した。


「拓哉、体調はどうだ?」

ブラック珈琲を手渡しながら

俺は愛想笑いをしている。


「ああ勝成!

心配かけたな‼


昨日、離婚が成立したよ。


😱

ああ、終わると呆気ないもんだ。」


「そ、そうか彼女、いい女だよな‼」

拓哉は驚いた顔をして、俺をみた。


「あ‼ア、ハハハハ…

つい、スマン。

そうか・・・離婚したのか・・・

お前は諦めない男と思ってたよ。

以外だったな‼」



「弁護士に彼女にしてやれる

事は、今自由にしてやる事だ

といわれてサ。


ミクにしてあげられる事は

離婚届にサインする事だけと

言われた。」


「彼女子供が欲しいらしくて


そんな話聞いた事が無い

俺には一言も言わなかったと

言ったら

・・・浮気しそうだから言えなかった

やっと、貴方を信用出来る頃に


・・・浮気された。

ミクは子作り旅行のつもりであの日

旅館に予約を入れていたみたいだ。


その一言を聞いて何も言えなく

なって、サインしたよ。」


「そうか」


「久しぶりに会ったミクの奴

すげえキレイになってて、正直

辛かった笑。


ミクが本気で俺から離れるなんて

思わなかった。


どこから来る自信なんだかなぁ

ハハハハ」




力なく拓哉は苦笑いをする。


「お前葵ちゃんに惚れてたぞ

丸バレだよ。

既婚者なんだから節度を持って

付き合うべきだ、

しかしお前は彼女に夢中だっただろ

既婚者なんだから独身みたいな

事するなよ。」


「・・・そうか、

そうみえたのか?

確かに愛おしいと思った。」


「あのまま付き合って

どうするつもりだったんだ?」


「分からない。」


「今は葵ちゃんとはどうなった?」


「追い出したよ。

愛情の欠片も無い。」


「ああ、分かるよ彼女といると

他の女はあんまり気にならない。


おまえは、彼女がお前に惚れてる

事に、物足りなさを感じたんだろ!

妙な安心感があったんだろ

馬鹿だな!

彼女を狙う男はここにもいるんだ

ぞ」



「やっぱりかー

まだ、狙ってたのかよ・・・

ま‼ 何となく知っていたよ。

だけどミクはお前にすら靡かな

かった 、だからお前にも

落ちないくらい

俺を好きなんだと安心していた。」


「すまない拓哉‼」


「お前のせいじゃないさ

気にするな!

自業自得ってやつだ笑。」


寂しそうに笑う拓哉に言って置かないといけない気がして遂に口に出した。


「いや、俺が謝る事は、

その事じゃないんだ・・・


お前が手を離したのなら

俺がミクを貰ってもいいな‼


お前に負けないそれ以上に

彼女が好きだ、


たとえ、お前に怨まれようと

彼女を手に入れたい。」


拓哉は、驚いた様な大きな声を出した。


「お前が引いたのなら

俺が彼女を幸せにする‼

ダメか?」


「ミクも・・・同じ気持ちか?

ミクもお前が好きなのか?」

拓哉は立ち上がり拳に力をいれた。


「彼女は・・・

でも今から努力して手にいれたい。

お前が手を引くのなら

遠慮はしない‼」


拓哉は諦めたように呟いた。

「それはミクが決める事だよ

彼女の人生なんだから・・・。


出来るものならやってみろ

ミクは天地がひっくり返っても

俺に帰る事など微量もないと言われた。

最低な男は大嫌いだと・・・。」


拓哉はカン珈琲をゴクゴクゴクゴク

と喉を鳴らして飲みほした。

ぷふぁー

「さあて、仕事仕事。」

拓哉は背伸びをして寂しそうに

笑った。



 「フッやれるもんなら

やればいい。」


そう意味深な捨て台詞を残し

拓哉は俺の真横を通りぬけた。





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