「Freesia」


小さい頃

フリージアが好きだった


ふっくらとしたつぼみも

あの香りも

しっとりとした白と

目に鮮やかな黄色の花も

連なって咲くさまも

大好きだった

誕生月の花

「純潔」という花言葉を持つ花

薔薇や百合 カーネーションやスイートピー

他のどんな花より大好きだった

花瓶に一輪だけ生けながら

茎の描く優美な曲線を見つめながら

その凛としたシルエットを見るのが大好きだった

いつまでも いつまでも

時を忘れて眺めていた


いつしか…

そのことを忘れるほど月日が流れ

花を愛でる時間さえなく

ただただ慌ただしく日々を過ごしている


今日 花束をいただいた

1年間の感謝を込めたという花束を

それを眺めながら ふと思った…


私はいつ大人になったのだろう

私はいつ子どもであることをやめたのだろう

私はいつ子どもではいられなくなったのだろう

花を眺めながら微笑み

毎日が驚きの連続だった

あの日々はいつ終わったのだろうか…と


フリージアの花言葉のように

今の私は自分の「心」に

正直に生きているのだろうか…と

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