「Iolite」

北風が厚い雲を吹き飛ばし

晴れわたった蒼穹に

細い上弦の月が南中している

西にはほんのりオレンジ色の残照

闇色になった山並みのシルエット

澄んだ風を吸い込みながら

気持ちが妙に落ち着いた

こんな空の下で

こんな光に照らされるのは

本当に久しぶりだ

東の空には赤い星

それ以外にはまだ

なにも見えない

それ以外の星は

瞬いて見えない


右手の薬指にある

アイオライトの指輪

白い光を放つ銀の指輪

それを通して意識を広げると

群青色の世界に

黄金に輝く無数の星々が見えた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る