ぽんこりさん

丸 子

第1話

1 ぽんこりさんは やまのうえ

ひとりで すんでる たのしげに


2 あるひ おしろのおうさまが

ぽんこりさんに あいました

ぽんこりさんは なんでもできる

だから おうさまに たのまれて

よろこんで おしろに いきました


3 くるひも くるひも ぽんこりさん

みんなの てつだい やりました

いやなかおせず たのしげに

どんなしごとも やりました


4 きづけば みんなの にんきもの

おうさまからの めいれいで

おしろに すむことに なりました


5 あさも ひるも よるも

こまっているひとがいれば かけつけて

なんでも てつだい やりました


6 すると おうさま よろこんで

あたらしい おしろを くれました

たすけてくれた おれいにと

おかねも たくさん くれました


7 いつのまにやら ぽんこりさん

おしろをもってる おかねもち


8 じぶんのおしろにすんでても

つぎつぎ ひとがやってきて

おねがいごとを していきます

ぽんこりさんは よろこんで

まえと かわらず はたらいた


9 あさは おひさま よりはやく

よるは おほしさま よりおそく

まいにち まいにち はたらいた


10 だけど どんなに てつだいしても

こまっているひと なくならない


11 それで とうとう ぽんこりさん

おしろと おかねを そのまんま

ひとつのこらず あげました


12「これからは ここにすんで みなさん

なかよく くらしてください」


13 それで すっかり そのくには

みんなが しあわせに なりました

こまっているひと ひとりもおらず

けんかや あらそいも おこらない

ゆたかな くにに なりました


14 おしろの おうさま かんどうし

ひろばに ぞうを たてました

おとしよりから こどもまで

みんなが しってる ぽんこりさんを

いつも いつまでも わすれぬよう

みんなで そのぞう みがきました


15 いっぽう ぽんこりさんは またひとり

のんびり しずかに たびにでた

はなうた うたい ほがらかに

きままに じゆうな たびにでた

「わたしは これが いちばん」と

おかねも きがえも もたないで

ぽんこりさんは たびにでた

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ぽんこりさん 丸 子 @mal-co

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