09 イレギュラー



 監視カメラの向こうにあるデスゲームの状況を見て、驚いた。


 何っ!

 誰も死んでないだと!


 視線の先では、殺し合わせたプレイヤー達を守る様に半透明の光のバリアが現れていた。


 殴られた人間も、撃たれた人間も、傷一つおっちゃいない。

 何だ。

 これは。


 一体どうなっている。


 その時になってようやく気が付いた。


 集めたプレイヤーの中に、リストになかった子供が紛れ込んでいる事に。


 気配がなかったとしか思えない。


 いったい、いつからこんな子供が!


 その子供はどこに監視カメラがあるのかはっきりと分かっている様な様子で、こちらと視線をあわせた。


 モニターの向こうにいる、こちらとだ。


 その口がゆっくりと開く「見つけた」。


 瞬間、背後に人の気配を感じて振り返った俺は、離れた場所にいるはずの子供がそこにいた事に驚いて腰を向かしてしまった。


「お兄さんたちのいる場所を特定するのにちょっと苦労しちゃった。でももう大丈夫だね。見つけたから」


 一体。

 一体こいつはなんなんだ。


 まるでライトノベルに出てくる勇者が持つような剣をその手に出現させた子供は、歳に似合わない猛獣の様な笑みを浮かべた。


「悪い人はお仕置きされなくちゃいけないんだよ。アニマルレンジャーのレッドも言ってた」

「うわぁぁぁぁぁっ!」


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