05 同じ夢



 帰り道の途中で。


「そういえば、最近変な夢を見るんだよね」

「えっ」


 明久君がそう話しかけてきたので、お兄ちゃんお睨んでいた視線をあわててそらした。


「燃え盛るお城の中で、騎士とお姫様が一緒にいる夢だよ」

「うそっ、それって!」


 私も今朝見た夢だ。

 それと同じ夢を明久君も見たらしい。


 信じられない。

 こんな偶然ってある?


「わっ、私も時々そんな夢をみるのっ。こんな偶然あるんだね」

「そうなんだ。だったら僕達って、運命で結ばれてるのかもしれないね」


 運命。

 本当にそうだったらいいのに。


 明久くんと私が前世で想いあっていて、でも悲恋で終わったからその恋を叶えるために、再び今世でも出会った。

 そうなのだったらどうしよう。


 うわぁぁぁ。

 なんか余計にはずかしくなってきた。


 悲しいけど、なんか嬉しい。


 好きな人との特別な繋がり。

 このフレーズにきゅんとしない人間はいないでしょっ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る