たたかえ!アライさん〜謎のにゅーひーろー?〜

黎イさん

第1話 にゅーひーろー見参!

『はかせ〜!またセルリアンだよ!全然パッカーンしても間に合わないや!』

昼下がりのとしょかんにサーバルの嘆きが響く。

『…サーバル、落ち着くのですよ。今調べているのです。』

『そうです。落ち着くのです。』

そう宥める2人はアフリカオオコノハズクとワシミミズクだ、それぞれ【はかせ】【助手】と言われている、ここの長だ。

『うーん…ラッキーさん、何かわかりませんか…?』

帽子の羽飾りを揺らしながらかばんが問う。

『ケンサクチュウ…ケンサクチュウ…該当スル情報ハ、見ツカラナイヨ。』

答えるのはパークのガイドロボット、ラッキービーストだ。彼(彼女?)は【ボス】だったり【ラッキーさん】等と呼ばれる。

『うーん…困ったなあ…このままじゃパークのみんなが…ハンターさんたちもじきに手に負えなくなるだろうし…』

かばんは帽子を脱ぎながらため息をついた。

『そうだ!ねぇ、かばんちゃん!ギンギツネの所に行ってみない?かばんちゃんと一緒なら何かいい発明が出来るかも!』

サーバルが目を輝かせて尋ねる。

『なるほど…!たしかに、何かいい案が浮かぶかも!』

帽子をかぶり直し、外にある車へ乗り込む。ジャパリバスだ。かつてパークで使われていたとされるが、今では彼女達の足だ。

ゆきやまちほーまではかなり遠いが、バスを使えば普段は1〜2時間で着く。

普段なら…

『かばんちゃ——』

ズドォォォォン…という鈍い音がした。

セルリアンだ———

周りの木よりも大きいセルリアンを前に、サーバルもたじろぐ。

『うみゃ…この大きさじゃ…』

『どうしよう…ハンターは、今…さばくちほーなのに…』

——ズシャァッ!——

サーバルの目の前を謎の光が横切る。とほぼ同時にセルリアンが砕け散った。

『えっ…』

一瞬すぎてわからなかったが、かすかに、でも確かな、不思議な暖かさを感じていた。

『あれ…セルリアンが…あっ!サーバルちゃん…っ!』

ちょうどセルリアンは2人の間に現れたために、2人は正面に向き合っていた。

『かばんちゃん…!』

『『良かった〜!!』』

2人は駆け寄り、抱き合った。互いの生を感じながら。

『とりあえず…先に進もうか?』

バスに乗り直し、ハンドルを握りながらかばんは言う。

『うん…ごめんね、私がギンギツネに会いに行こうって言ったばっかりに…』

『ううん、大丈夫。それより…あのセルリアンを倒したのは…』

『あっそれ私も気になるんだー!なんか急に影がワッと来て、セルリアンをパッカーンってしたんだ!誰だったんだろう…?』

バスはやがてゆきやまの中腹へたどり着いた。ギンギツネたちのいる温泉はこの上だ。

————時を同じくして—————

セルリアンの現れた場所で笑う影が一つ…二つ…

『ふははー!ついに…ついにアライさんは、ヒーローになったのだー!』

ケタケタと笑うのはアライグマだ。

『良かったねーアライさーん。ずっと憧れてたもんねー…』

アライグマを見て満足そうに微笑みながらフェネックは言った。

『そうなのだ!アライさんは…アライさんは…!ハンターに次ぐにゅーひーろーになるのだ!そのために【ぶき】も手に入れたのだ!』

そう言う彼女の手には刃渡り45センチほどの刃物が握られていた。

『駄目だよアライさーん。これはちゃんとしまっとかなきゃねー…』

彼女の手の中の刃物をフェネックが掠め取りながら言う。

『あーん、つまんないのだー!返すのだー!』…


————しばらくして——————————

『ついたよ、サーバルちゃん…』

『うみゃ〜…私、寝ちゃったんだねー…ふあぁ…』

真っ白なゆけむりが立ち込める中にある宿。ここがギンギツネたちの住処だ…

果たしてかばん一行はセルリアン大発生の原因を突き止めることは出来るのか…?


続く

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