第18話 恋に理由なんて無い
妹が僕のお腹の辺りで顔をグリグリと押し付ける。
僕は妹の頭をそっと抱く。サラサラとした髪の毛……ほんのり香るシャンプーの香り……いつもの妹の匂い……僕の大好きな匂いがする。
「……お兄ちゃん…………」
顔をお腹に押し付け妹が何かを言っている……お腹の辺りから妹の吐息が……暖かさが伝わる…………って言うか……。
「ちょ、ちょっと……空? あ、あのさ、そろそろ離して……」
僕はとある事情から、とある緊急の事情から妹にそう懇願する。
「……いや」
「い、嫌じゃなくて……だ、駄目だって……とりあえず一旦離れて……」
興奮状態から少しずつ冷静になって来る。と同時に今の状況がだんだんとわかって来る、と同時に一部が冷静じゃなく興奮状態になってくる……。
ここは妹の部屋、妹のベットの上、全てを壊したと言ったが、僕は相変わらず妹が大好き……そしてその大好きな人が僕の上で、僕のお腹の辺りに顔を埋めている。
さらには……今僕は部屋着を着ている。パーカーとハーフパンツという薄着だ。
中は肌着に下着だけ……つまり妹の感触がほぼ抵抗無く伝わる。
特にその……胸の感触が、柔らかいとても柔らかい感触が……僕のとある敏感な所に、今、ダイレクトに伝わっている。
つまり何が言いたいかというと……非常にまずい状況だ。
「そ、空……は離れて……だ、ダメ、グリグリしちゃ……ら、らめええええええ」
「!」
僕の一部の変化に、妹の身体がビクッとなる……ああ、ほら……だから言ったじゃない……。
妹はゆっくりと顔を持ち上げ僕を見る……涙と鼻水でグシャグシャな顔、赤身を帯びていた顔が更に赤くなる。今はまるでトマトの様だった。
「……お兄ちゃんの……エッチ」
「しょ、しょうがないだろ!」
僕がそう言うと妹は仕方がないとゆっくり僕から離れベットの上に正座する。
僕も起き上がると妹と向かい合って正座をした……いや、今は立てないから……あ、まあたってはいるけど……。
「…………あ、あのね……お兄ちゃん……さっきの事だけど」
「い、いや、これは生理現象だから仕方ない」
「そ、そうじゃなくて! さっきお兄ちゃんが言ってた事……その……思いがどうとかの事……」
「思いの共有?」
「そうそれ」
「うん、僕達が兄妹だったのに好きになってしまった理由」
「──それ……違うよ……間違ってる……」
「え?」
「お兄ちゃんは考えすぎてる……私……そんな理由でお兄ちゃんを好きになったんじゃない!」
「いや、でも……そう考えれば辻褄が合うし……他に理由なんて……」
「あのね……好きになる理由なんて無いよ……お兄ちゃん考えすぎ」
妹はそう言うとニッコリ笑う……天使の様に僕に微笑む……。そうか……そうかも……。
今の笑顔で今の妹の笑顔で僕はさらに妹の事が好きになった。カンストしている筈なのに……いや、好きに天井なんて無い……空の向こうに宇宙があるように……。
「……うん……そうかも……」
「ね……」
真っ直ぐに僕を見つめる妹……僕の大好きな妹……うん、そうだ、そうなのかも……妹の言った通りなのかも知れない。
僕の言った理由なんてただの後付け……結局人を好きになる理由なんて誰もわかっていない……。
今はっきりわかっている事は、僕が妹の事をずっと前から好きだという事だけ……そして妹も僕の事を好きでいてくれている。
それがわかっていれば……わかってさえいれば理由なんて全く関係無い。
「えっと……これからも……お兄ちゃんって呼んでくれるんだ」
「当たりよ前だよ、お兄ちゃんはずっとお兄ちゃん……私の大好きなお兄ちゃん……」
そう言うと空は満面の笑みで笑った。ああ、やっぱり思った通りだ……思いにカンストなんて無い、僕はさっきよりもさらに妹の事が……好きになった。
【あとがき】
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カクヨムコン短編出品作品
ラブコメ部門
『妹に彼氏が出来なかったら、俺が責任を取る事になった。』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893367777
恋愛部門
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893419319
「ツインズ」
他にも数点出してますので合わせて宜しくお願いしまーす。(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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