第9話 闘いの行方。

 断末魔の悲鳴をあげながら尻尾を振り回してわたしを追う龍。


 段々と短くなるその尻尾を避け、いなし、アークの矢をぶつけ。


 もうどれくらい経ったろうか、随分と長い時間闘っていたような気がして。


 ふっと気が抜けたところで龍の一撃を食らった。




 一瞬意識が途切れ、水面に叩きつけられた所で目が覚めたわたしは水を飲んでしまわないよう身体の周りに空気の層を作り。

 そしてなんとか水面に向かって飛んだのだけれどそこに龍が大きな口を開け襲ってきて。


 ぱっくりとその牙を剥いた口に飲み込まれた。




 ……大丈夫? アリア。


 うん。なんとか……。


 そうは言うものの此処は……。




 真っ黒な空間。次元が違う。


 まるでわたしの身体が溶けてしまったかのように、意識だけそこにあるといった雰囲気。


 ああ、負けちゃった?


 わたし……。




 ボーンと耳に響く音。頭の中だけで響いてるその音は段々と言葉に変わっていった。


「何故、オマエはワタシの邪魔をスルのだ? 」


 そう、心に響く声。聞いていると胸の奥が飛び出てきてしまう様な気がする気持ちの悪い声。


「何度も、何度も、もう幾億回も、ワタシの邪魔をスルオマエ。ワスレナイ。その姿。その形」


 幾億回ってそんな。わたしそんなに龍と闘ってない。


「ワタシは神だ。人々を楽園に連れていく。オマエは何故ソレを邪魔する」


 なにそれ。


 おかしいよこいつ。


 《だから君はいつまでたってもダメなんだ》


 フニウ? こっちはフニウの声だ。


 目の前にフニウの光が現れ、ゆっくりと少年のような姿を形作った。


「ボクたちは神じゃない。それに、そもそも人は神のおもちゃじゃないんだ。それが何故わからない」


 フニウの少年がそう、淡々と声に出して言った。

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