第8話 回想

ボップたちは部屋を出て、王様の居るアンビデクタスの間にいくために長い螺旋階段を登っていた。ボップたちが今いるのは10階。アンビデクタスの間は499階の奥の部屋だ。さっきボップたちがいた部屋は2階だ。

まだまだ、先は長い。でも、テオドールたちは499階から2階まで、来るのが早く感じたが、なぜだろ? とボップはおもっていた。

ボップは階段を登る途中、その事をウヨアに聞いてみた。

「 ウヨアさん。 さっき、あの部屋にくるのが早かったですよね? どうしてですか? 」


「 ん? なんのことだ? 普通にこの階段を降りてきたが? 」


「 え? どういうことですか? 普通にって...

なにか、特殊な方法で? 」


「 は? あ~、そうか君は知らないのか、俺たちピクシーは、足が早いんだ。でも、こうして、君にあわせて歩くこともできる。つまり、俺たちは、歩く速度をコントロールできる種族なんだ 」


「 あ、なるほどです。でも大丈夫なんてすか?ぼくに合わせていて... 」


「 ふっ、なにも急ぎではない。それにこれは、王様も俺たちも理解している。大丈夫だ、安心しろ。それにお前は歩くのは、速いほうだ、この調子で行けば、すぐ着く 」


そうウヨアは言い、目的地、アンビデクタスの間に向かうべく、階段をひたすら登った。


もう。何段登ったのだろうか、ボップは少し、ハアハア...と息を切らして、とぼとぼとテオドールたちの後ろをついて、歩いていた。

その姿をみたウヨアは、ボップに話しかけた。

「 おい、ボップ、疲れたのか? 休むか? もう着くぞ 」


「 ごめん、少し休むよ。足がちゃんといたくて、」


「 大丈夫だ。 お前、あまり休めてないだろう? あれから。ここに座れ 」


ウヨアは、テオドールにボップが少し休む事を伝え、階段の端のほうにボップを座られ、休ませた。

ボップは、足が痛かったのか、自分の手で、足をもみもみと軽く、もみはじめた。


テオドールも、よいしょっ!と、ボップの隣に座った。


少し、休憩することになったボップたち。


ウヨアは、そんなテオドールとボップの座っている姿を見て、昔の事を思い出していた。昔は、よく家の階段で一緒に肩を並べて座って、話してた頃の事を。



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(( 父ちゃん!父ちゃん! ))


幼いウヨアは、城の螺旋階段を登っていた。その先に、テオドール。お父さんがいた。今日は、フェアリーズ・デイ。

冬を越し、新春の門部に、ピクシーたちが、ひとつ、広場の近くのピクシーガーデンに親子、兄弟、いとこ、などが集まり、踊る。言わばパーティーが一年に一度ある。


(( なんだい? 今日は仕事じゃないよね? 一緒に行けるでしょ? ねえ ))


幼いウヨアは悲しい顔で、テオドールの腕にしがみついた。


(( あのな、ウヨア、私は国王を守らないと行けない。 今日も仕事なんだ、わかってくれ ))


と、頭ポンポンと軽くたたいた。


すると、二人で家の階段に座った。


(( ウヨア、お前も立派な妖精兵になれ、そして、おれたちを安心させてくれ。国を守ってくれ、また、今度祭りには......でる ))


そういうと、ウヨアは答えた。

(( 本当だよ!? わかった、がんばる、絶対だよ! ))


(( ああ ))


そう、男と男の話をしていた。


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ウヨアは、テオドールの言葉にハッと!我を戻した。


「 どうしたんだ? ウヨア? 」


「 いや、大丈夫です 」


「 そうか、ならいい 」


「 ボップよ、もう少しだ、行こう 」


「 わかった。 行くよ 」


そういうと、ボップは立ち上がり、また階段を登り始めた。


ボップたちは、2階から499階まで、一段一段、想いをのせて昇っていた。

ボップたちは1時間ぐらい登った。

そして、やっと、499階だ。ついに、あの門の扉の前についた。

ボップたちは、大きな扉を眺めていた。

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