第1話 運命の いたずら

タンミンは25才になり、その命知らずの度胸と行動力で ヤクザ組織の若頭として 恐れられた。


名前もタンミンとは名乗らず、威嚇の意味も含んで『龍虎』と名乗った。


名のあるヤクザ親分に同行し、毎夜 高級クラブで豪遊していたが、

身持ちが良く お堅い男性として クラブの女の子達から珍しがられた。


彼は あれから ちょうど10年後の再会橋での

『再会』を楽しみにしていたのだった。



テミョンは 美しく成長し、高級クラブで

ナンバーワン ホステス として 多くの遊び客から指名を受けていた。


彼女も名前をテミョンとは名乗らず、

『美春』と名乗った。


しかし、『どんなに誘惑されても 店外のプライベートでは お付き合いはしないホステス』として 誰からも珍しがられていた。


彼女も もうすぐ 10年後の再会橋での

『再会』を 心待ちにしていたのだった。



そんな二人が 美春の勤める高級クラブで 恋に落ちた。


龍虎は 我知らず惹かれて 美春の瞳を見ると、

その視線を反らす事が出来なかった。


美春も また 自分でも 分からないほど 龍虎が好きになり、生まれて初めてのデートに心が躍った。


美春

「龍虎さん、今日は とても楽しかったです。

お付き合いしていただいて有難うございました。」


龍虎

「美春さん、こちらこそ。

俺、実は…女性とデートしたのは生まれて初めてだったんだ。」



美春は その言葉に 非常に驚くと共に 親近感を覚えた。


美春は 自分が将来結ばれる男性は この龍虎か 再会する 幼なじみの タンミン のどちらかだと確信した。



龍虎は 今日 このまま 美春と別れるのが 忍びなく 美春の背中から ハグをした。

「美春さん、今日は 朝まで こうしていたい… 」


美春は龍虎にハグされて そのトキメキに 逆らえなかった。



二人は高級ホテルに部屋を取り、部屋に入ると抱き合った。


美春は自分の汗の匂いを気にして…先にシャワーを浴びる。


シャワーを浴びながら美春は 龍虎と こうなった事に気持ちが高揚する。


シャワー室から出ると 美春は恥らいながら髪を乾かし始める。


「僕がシャワーを浴びてる間に逃げないでね。」と龍虎は子供みたいに はしゃいでいた。


そんな彼を美春は可愛いと思い、今の彼を見て…

誰が あの恐ろしいヤクザの若頭と分かるだろうか?と思い苦笑した。



龍虎は美春に目配せをしてからシャワー室に向かった。


『こんな 安らいだ時間が 今までにあっただろうか?』と思い、

ふと15才まで過ごした孤児院でのテミョンとの思い出に浸った。



美春も髪を乾かしながら、龍虎と同じように

楽しかった孤児院でのタンミンとの思い出を懐古していた。



龍虎がシャワー室を出ると、美春はベッドではなく ソファーにいた。


龍虎は 美春の心が まだ準備出来ていない事を察した。



龍虎は美春の隣りに腰を下ろした。

「何を考えてたの♡ 」


「貴方の事♡ 」


「どんな風に♡ 」


「貴方が運命の男性だと良いなって♡ 」


「そうか、じゃあ僕と同じだね♡

……キスしても良い?♡ 」


「聞かないで♡…… 」


二人はソファーで長いキスをした。

お互い キスをしながら10年間の苦労を思った。


ほとんど二人同時に

《この人が 再会の人なら良いのに……》と思った。



そうして二人は ますます激しくキスを求めた♡


ソファーからベッドに二人移動したのは 抱き合うにはソファーは窮屈だと分かったからだ。


二人は 相変わらず キスに勤しんでいる。

そんなにキスが良いのだろうかと思うくらい……



龍虎は美春にキスをして 抱きしめながら…まだ美春の体が固くなっている事に気付いていた。


龍虎

《美春はプライベートではデートをしない事で有名だったから…

きっと経験が浅いんだな。急ぐ必要は無いからな。》


龍虎は美春にキスをしながら ソフトなタッチを続けた。

少しずつでも体が柔らかくなるようにと。


ヤクザになった経緯や、今 考えている事、

そして どんなに美春の事を好きなのかと、

龍虎は美春を抱きしめながら 話をした。



美春は龍虎に抱きしめられながら…恥らい、

キスを せがみ 彼女も また 高級クラブのホステスになった経緯や、今 考えている事、

そして龍虎の事を どんなに好きなのかを 話した。



ただ二人とも15才までの孤児院での話しは しなかった為に…お互いが 再会の相手だとは 分からなかった。



朝日が昇る頃、美春の体は 柔らかくなった。


龍虎も美春も お互いの気持ちに従った♡


そうしながらも

《この人が運命の人でいて欲しい 》

と 二人とも願うのだった♡

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