生そして、死

-痛っ-

え。

-破水だ!-

あ。

-ちょ、病院!!-

-夫さんにも電話!-

ちょっと待て。

-はいはい!あんたも車乗って!-

おぅ…

-落ち着いて行きましょうね〜-

-あんたは電話。-

え、あ、はい。

-プルプル、ガチャ-

早いな…

-もしもし、どうしました?-

「あの、奥さんが、産まれそうで、」

あ。文章おかしかったな。

落ち着け。俺。

-奥さん、?!出産ですか?!-

「あ、そうです、! 」

伝わったし、まぁ、いいか。

-ありがとう!今から行きます!!

ちょ、部長ー!!プーップーッ-

騒がしい…というか…声大きい…

-病院着いた!-

-はよ降りて!-

おぅ。

-行こ行こ!-

ちゃんと来てくれるか…

心配だが、まぁ、行こう。

------

やっぱり、結構待つな…

-長いわねぇ…-

-泣き声も聞こえないわ…-

-ピーポーピーポー-

何処か、いや、近くで救急車の音がしたぞ?

-プルルルル-

あ、親の携帯持ちっぱなしだ。

「母さん。」

-何なのかしらねぇ。ちょっと、外行ってくるわ。-

母の後ろ姿を見送りながら、まだかまだかと待ち続ける。

-おぎゃあー!-

ばあちゃんと俺は同時に立った。

-産まれた…!-

「良かった…」

後ろから凄い足音がする。母さんだ。全くもう、落ち着いて来ればいいものを…

-死んだ。-

え?

-いきなり物騒ね、誰が、-

-夫さん。-

は?

-え?-

-妹の夫さん。交通事故で、即死って、今さっき…-

空気が凍りついた。

あんなに元気そうだったのに?

嘘だろ?

あんなに楽しみにしていたのに-


12月30日 16時37分

茶頭さどう りょう 死去

茶頭さどう 勇雅ゆうが 誕生

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る