♂2♀2 探偵は突然に…

ねむりねずみ@まひろ

【声劇台本】♂2:♀2

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■キャラクターの性別は、絶対ではありませんが、世界観を壊すような無理な変更はやめてください


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『キャラクター』

マスター(?)♂探偵事務所ルパンのマスター。心優しい大人。子供と猫が好きだが、近づくと逃げられる


助手(?)♀探偵事務所の居候。調査以外何も出来ないマスターの代わりに、家事や事務仕事を請負っている。可愛らしい見た目に反して、好奇心旺盛で、気になったが最後、調べるまで止まらない


レート♂ (?)年齢不詳のマフィア、ブラックスパイダー通称B.Sの1人。変装が得意なため、その実態は謎に包まれている。独特な甘いタバコの匂いがする


チェリー♀(?)年齢不詳 のマフィア。同じくB.Sの1人。変装が得意。その全てが謎に包まれている 美人。 弾けるようなタバコの匂いがする。



コピペ用配役表


「探偵は突然に…」

マスター♂:

助手♀:

レート♂:

チェリー♀:


以下台本

--------------

探偵事務所と書かれた1階の窓から、机に向かってブツブツ言いながら何か書いている少女がいる

電話がなっても全く気づいていない様子



助手「古代より伝わる伝承…この文字は古代文字かな?んー読めない!!」


マスター「ただいまー」


助手「文字の形からして、神様とかそういうたぐいの物だと思うけど…手がかりが少なすぎる」


マスター「おーい」



助手が集中している間に、入ってきたマスター。だがしかし、助手は気づいていない



助手「…んー?あれ?こっちの文字、さっき出てきたのと同じだ。仮に、この文章がこっちの文章に繋がるとしたら…」


マスター「おいこのバカ!!」


助手「うわぁぁ?!」


マスター「やっと気づいたか…」


助手「…あれ?マスター、いつのまに帰ってきたんですか?」


マスター「お前がブツブツ言いながら、古文書を読み漁ってる時からだ!」


助手「なんだー、帰ってきたんなら、声をかけてくれればいいのにー」


マスター「なんども掛けたわ!」


助手「えー…全然気づきませんでした…」


マスター「ったく、その古文書は、調べるなって言っただろうが」


助手「だってーーっ!滅びた文明の謎が、解き明かせるかもしれないんですよ!?気になるじゃないですかっ!?なりますよね?!いや、ならないとおかしいですよ!!しかも、ここ!!最後の1ページが何故か開かないんですよ?!そこに書かれてる […に…を…げよ] この謎の文章も!探究心をくすぐられるんですよぉ!!!ついでにマスターの年齢は?!女性遍歴は?!マスターの素性だってずっと秘密にされてるから気になって気になって気になってしょうがないんですよぉお!!!!」


マスター「途中から古文書関係ねーじゃねーか!!お前…なんで調べるなと言われているかわかってんのか?」


助手「そんなの知りません!!あぁ!!なんて書いてあるんだろう!!!こっちがさっきの神様を表す文字だとして…」


マスター「おい、お前やめろって…」


助手「こっちが逆を示しているとしたら…これは…神の逆転…それって…」



突如、窓からの手榴弾が投げ込まれ 爆破する。間一髪の所、防弾机に隠れ襲撃を避ける2人


マスター「あぶねえっ!!」


助手「なになになに!!ここの家賃まだ払い終わってないんだけど!?」


マスター「だから調べるなって言っただろうが!!逃げるぞ!!!」


助手「えっえっ?」


マスター「ばかやろう!!ぼさっとしてねーで走れ!!裏口に急ぐんだ!」


助手「ちょ、マスター!!待ってくださいよ!!」



2人が逃げた後、黒づくめの2人が事務所へと足を踏み入れる



チェリー「ちっ…逃げたか」


レート「逃げたかじゃねーよ、何お前。いきなり手榴弾ぶっぱなす奴があるか?!」


チェリー「なぜだ?」


レート「常識的に考えろ?チェリー、俺たちの任務はなんだ?」


チェリー「あの探偵達がもってる古文書を手に入れる事だ」


レート「そうだ、あの2人は古文書を読んでいた、そこへ いきなり手榴弾をぶっぱなしたらどうなる」


チェリー「は?お前はバカか?全部吹っ飛ぶに決まっているだろうが」


レート「おめーがバカだ!ばかたれ!!吹っ飛んだら古文書の回収どころじゃねーだろうが!」


チェリー「あ」


レート「あ じゃねーよ?やっと気づいたのかよ?!」


チェリー「…まあ、失敗んて誰にでもある、気にするな、次で挽回すればいい」


レート「いや、おめーが気にしろ!」


チェリー「何をそんなにカリカリしているんだ?更年期か?」


レート「そんな歳じゃねえよ!!おめーのせいだろうが!」


チェリー「この程度で息が切れるとは…鍛え方がたりないようだな…もぐもぐもぐ」


レート「…お前何食ってんだ?!」


チェリー「飴だ」


レート「飴だじゃねーよ!!あーーー!!!もーいい!さっさと奴らを追いかけるぞ!」


チェリー「それも一理ある…」


レート「いいから早くしろ!!」



探偵2人が逃げ込んた 路地



助手「はぁはぁ…もー走れません…」


マスター「とりあえず、追っ手は来ないようだな」


助手「もともと、追っ手なんて居なかったんじゃないですか?」


マスター「だったら、なんで事務所がいきなり爆発するんだよ?!」


助手「ガスもれしてたとか?」


マスター「今頃、俺ら諸共、木っ端微塵だ」


助手「粉塵爆発が起こったとか!」


マスター「化学の実験でもしてたとでも?」


助手「ちぇー、じゃあ100歩譲って襲撃だとして、何のために襲われたんです??」


マスター「お前が大事に抱えてる古文書だよ」


助手「へ?これですか?まっさか〜」


マスター「そいつにはな、読み解いてはいけない禁忌が記されてるんだとよ」


助手「読み解いてはいけない禁忌…」


マスター「 そうだ、読み解けば災いが降りかかると言われている」


助手「災いが…」


マスター「だから、それを調べるのは…」


助手「…嫌だと言ったら?」


マスター「力ずくで取り上げる…と言いたい所だが、お前からそれを取り上げた所で、保管する場所も無い上に、追われたままなのも事実だ。だったら、それを絶対に奪われるな!わかったな!?」


助手「うっはぁ!さっすがマスター!!話が解るぅ!はい!僕が必ず死守しますっ!」


マスター「はぁ…とりあえず、事務所がないことには、なにもできねーか。よし、新しい事務所を借りにいくぞ」


助手「はーい!」


act2

路地を去る2人

喫茶店の入り口のベルが鳴る こじんまりとしたビルの一階の窓には、喫茶ルパンと書かれている


助手「…新しい事務所って…ここぉおお?!」


マスター「おい、助手!コーヒー2つ。2番テーブルだ」


助手「はーい、って…これ喫茶店じゃないですかっ!!しかも入り口の看板、なんですかあれ!喫茶ルパンって!!探偵事務所ルパンはどうしたんですか!?」


マスター「何言ってんだ、当たり前だろ?探偵事務所なんて書いたら、見つけてくださいって言ってるようなもんだろう?」


助手「…それはそうですけど」


マスター「とにかく、昼間は喫茶ルパンのマスター、お前は店員。いいな?」


助手「わかりました…」


マスター「よし、それじゃあ2番テーブルにコーヒー2つな」


助手「はーい」



喫茶店内部 2番テーブル メニュー表で顔を隠しながら、ちらちらと様子を伺うレートと、パフェを食べているチェリー



レート「うまく潜り込めたようだな」


チェリー「もぐもぐもぐ…」


レート「さて、これからどうするか…探偵業務をしていないんじゃ、迂闊な事は出来ないぞ」


チェリー「(レートのセリフ中もひたすらパフェを貪り食っているため聞いていない)もぐもぐもぐもぐ」


レート「お前、いつまで食ってんだ!!」


チェリー「うまいぞ?レートも食うか?」


レート「っ!?その名前で呼ぶな、ばかたれ!!今はレートじゃない、玲(れい)だと言っただろう!」


チェリー「もぐもぐもぐ」


レート「だから、いつまでも食ってんじゃねーよ!?話を聞けぇ?!」


チェリー「やらんぞ」


レート「いらんわ!…とにかく、隙をついてあいつらと接触する。俺たちがマフィアだと感づかれないようにするんだ、解ったな桜」


チェリー「…誰に言ってるんだ?」


レート「おめーだよ!!さっきコードネーム決めただろうが!俺が玲で、おめーが桜だって!」


チェリー「そうなのか?そいつは初耳だ」


レート「このやろぅ…」


チェリー「待て、助手の方がこっちに来るぞ」


レート「なっ…いいか、感づかれるなよ?」


チェリー「任せておけ」



助手がコーヒーをもってやってくる



助手「お待たせしました、コーヒー二つ、おもちしました」


レート「ありがとうございます」


チェリー「…おい、貴様…古文書…」


レート「どわぁぁああ!!! …何を口走ってんだよ、このばかたれ!感づかれるなって言ったばかりだろうが!!」


チェリー「そうだったな… (キャラががらりと変わる)あの…探して欲しい物があるのだけど…」


助手「探しものですか?あ…もしかして、調査のご依頼ですか?」


チェリー「えぇ、ここで探偵に依頼できると聞いたわ」


助手「…わかりました!詳しい話を聞きますので、少しお待ちください!」



レート「…お前、やればできんのな」


チェリー「…」


レート「…どうした、黙り込んで」


チェリー「…沢山しゃべって、腹が減った…パフェをもう一つ頼もう」


レート「…すきにしてくれ。それで、奴らと接触した後はどうする?」


チェリー「……」


レート「おい?桜?…まさか…お前…」


チェリー「そこまで考えているわけないだろう?ここから先はお前の仕事だ」


レート「すべて押し付けんじゃねーよ!!丸投げじゃねーか!!」


チェリー「もぐもぐもぐもぐ」


レート「いや、だから話を聞けぇ!!」



探偵サイド


助手「マスター、探し物の依頼が来ました」


マスター「どういう事だ?」


助手「え? 2番テーブルのお客様が、探してほしい物があるから依頼したいって言ってましたよ?」


マスター「依頼ねぇ…」


助手「受けたんでお願いしますね!」


マスター「は?受けたのかお前?」


助手「えぇ、だってここの家賃も払わないといけないし、前の事務所の修理費も支払い終わってないですからね!」


マスター「正論だが、お前のせいだからな?」


助手「と言うわけで、この後、話だけでもきいてくださいね?」


マスター「わかったよ…それよりお前、例の古文書どうした?」


助手「私が肌身離さず持ってますよ!」


マスター「…そうか…ちょっと貸してくれ… 」


助手「直ぐ返してくださいよー?!」


マスター「ああ……よし。もういいぞ 」


助手「はーい!古文書ちゃんおかえりっ」


マスター「お前なぁ…」



最後のお客が帰る



助手「ありがとうございましたー」


マスター「…すまない、待たせたな」


レート「いえ、大丈夫です」


チェリー「もぐもぐもぐもぐ」


レート「もう、まじでいつまで食ってんの?!」


マスター「話を進めさせてもらっても良いか?」


レート「えぇ、お願いします」


マスター「それで、探して欲しい物があると聞いたんだが…」


レート「ええ、実は祖父の遺品を探していただきたくて…」


マスター「遺品?」


レート「はい、僕ら兄妹は両親を早くに亡くして祖父に引き取られました。ですが、その祖父も他界して…」


マスター「ちなみにどういった物か教えて頂いても?」


レート「ええ、それは…1冊の本です。」


助手「本ですか?」


レート「…何か?」


助手「いえ」


マスター「ではその本の特徴を教えてください」


レート「えっと…」


チェリー「ちょうど、あなたが持っている本と同じよ」


助手「へ?僕ですか?」


マスター「こいつが持ってる本ねぇ…」


チェリー「その本、少し見せてくれないかしら?」


助手「えっ、それは」


マスター「探して欲しいのはそれだけか?」


チェリー「…ええ、それだけよ」


マスター「…この依頼は断る」


レート「…まあ、そうでしょうね…初めからこうすれば良かった」


マスターに銃を突きつけるレート


マスター「なんの真似だ?」


レート「大人しくその本を渡してください、そうすれば命だけは、助けてあげますよ」


チェリー「お嬢ちゃん…こっちにいらっしゃい」


助手「ひっ」


マスター「お前ら…何もんだ」


レート「僕はレート」


チェリー「私はチェリー」


マスター「ち、ブラックスパイダーか…厄介な奴らに目をつけられたもんだな」


レート「御明答!さあ、そこの君、古文書をチェリーに渡すんだ」


マスター「おい、渡してやれ」


助手「え、でもっこれは…」


マスター「いいから」


チェリー「話が早いわね…そういう男嫌いじゃないわ」


マスター「ありがとよ」


助手「…わかりました…はい」


レート「よし、行くぞチェリー」


チェリー「…じゃあね、パフェ美味しかったわよ」


マスター「そりゃどうも」


出ていく2人


助手「ぷはぁぁぁ、怖かった…」


マスター「…」


助手「どーするんですかマスター!!!本奪われちゃいましたよぉぉぉ!!」


マスター「安心しろ、あれは偽物だ」


助手「へ?偽物?」


マスター「あぁ、お前気づいてなかったのか?俺たちが喫茶店を始めたのは、今日だぞ? しかも、ついさっき事務所の襲撃を受けてだ。まだ宣伝もしていないのに、いきなり探偵の依頼が来ると思うか?」


助手「え…という事は、尾行されていたって事ですか?!」


マスター「十中八九な。しかも、俺達に全く気付かせないたぁ、流石マフィアだな」


助手「マフィア…ひぇっ…」


マスター「なんにせよ、本は無事だ。とりあえず店に隠しとくぞ。」


助手「わかりました!」



act3

数日後


マスター「それで、ご依頼は?」


おじいちゃん(レート) 「この子ですじゃ…名前はタマと言って、孫の飼ってる真っ白い綺麗な猫なんじゃが…」


マスター「預かってる途中で逃げ出したと…」


おじいちゃん「ええ、どうか探してくれんかのぅ?」


マスター「わかりました、お受け致しましょう」


おじいちゃん「ありがとうございますじゃ…」


マスター「おい、助手!」


助手「はーい、何ですか?!」


マスター「お前、先にじいさんと猫探ししてこい」


助手「了解です!さ、おじいちゃん一緒に行きましょう!」


おじいちゃん「いや、わしはお前さんがた2人にっ…」


助手「いーからいーからマスターもすぐ来ますよー!」



1人喫茶店に残るマスター

ソコへやってくる幼女に変装したチェリー



マスター「…いらっしゃい」


チェリー「おじさん、コーヒーください」


マスター「…子供にゃ苦くて飲めねーぞ」


チェリー「じゃあ、パフェ!」


マスター「この前も食ってたじゃねーか、太るぞ」


チェリー「(巣に戻って)乙女に太るは失礼よ?」


マスター「よう、数日ぶりだな…チェリー」


チェリー「いつから私だと?」


マスター「最初からだよ、てめーのその独特なタバコの匂い、消えてねえぞ」


チェリー「あら…そんな所までみてたの?意外と気が付くのね」


マスター「意外とは余計だ。これでも探偵なんでね」


チェリー「そうだったわね…じゃあ単刀直入に言うわ…探偵さん、この間は偽物の古文書をありがとう」


マスター「ほう、よく気づいたな」


チェリー「流石に、中身が白紙なのはどうかと思ったわよ?」


マスター「そうか、そりゃ、次から気をつけよう…」


チェリー「次があったらね…」


銃を突きつけるチェリー


チェリー「古文書を渡しなさい」


マスター「嫌だ…と言ったら?」


チェリー「……さぁ…どうなるかしら」


マスター「………っ」


チェリー「3つ数える間に返事を頂戴?…3……2……1……」


ガシャンと窓が割れ 黒ずくめの男達が入り込んでくる


チェリー「なっ…ブラックデビル?!」


マスター「どいつもこいつも人の家荒らしやがって…こいつらも、あんた達のお仲間かい?」


チェリー「違うわ…こいつらはブラックデビル。目的の為なら手段を選ばない、マフィアの中でも最低の奴らよ」


マスター「なるほどな…くるぞ!」



乱戦


マスター「くそっ、こいつらバケモンかよ!」


チェリー「っ…こいつらは機関の研究所で痛覚を麻痺させられてるわ…死なない限り延々と襲ってくるわよ」


マスター「なるほど…なっ!! …おい、チェリー伏せろ!」


チェリー「…っ……やるじゃない…」


マスター「ち、きりがねぇ!!なっ…しまった?!」



マスターに襲い掛かる男に対し、1発の 銃声が


チェリー「…背中ががら空きよ」


マスター「くくく、なぁ!チェリーさんよ…」


チェリー「今更さんは、いらないわ…」


マスター「お互い此処を生き延びなきゃならねぇ…目的は古文書だろう?…だったら一時休戦しねーか?」


チェリー「ふふ、魅力的なお誘いね…その話し乗った!」


マスター「判断が早いこった!!なら、まずはここから出るぞ!!こっちだ」


チェリー「……」


マスター「どうした?!早くこい!」


チェリー「…疲れた」


マスター「は?」


チェリー「私、長時間動くと…燃費が悪いのか身体の自由が効かなくなるのよ…普段は適度なタイミングで糖類を摂取してたんだけど…」


マスター「ち、まじか…くそっ、だったら舌噛むなよ!?」


チェリー「何を言って…きゃっ…」


まるで麻袋を抱えるように持ち上げるマスター


チェリー「…この持ち方…どうにかならなかったのかしら」


マスター「うるせー!背後から奴らが来んだろーが!その体制でもぶっぱなせるか?!」


チェリー「射撃は得意よ」


マスター「おーけー!なら行くぞ!!」



一方その頃の助手とレート



助手「んー居ませんねぇ」


おじいちゃん「そうですねぇ」


助手「何処かの隙間にでも入ったかなぁ?」



地面に伏せて、泥だらけになりながらも探す助手を見ながら



おじいちゃん「(若干巣に戻りながら)…なんでそんなに熱心なんですか?たかが猫探しに」


助手「たかがじゃないですよ!ペットって心の隙間を埋めてくれるんです。家族なんですよ!」


レート「だとしても、泥だらけになって…傷まで作って…他人の為にそうまでする必要があるとは思えない」


助手「だって、寂しいじゃないですか。」


レート「寂しい?」


助手「…僕、実は孤児なんです。生まれて間もない頃に孤児院の前に捨てられてて、親が誰だかわからないし、孤児院でも、中々友達が出来ず、いつもひとりぼっちで


レート「……。」


助手「…もちろん、院長先生も優しいし、ちゃんとご飯だって食べてましたよ?でもね、心のどこかがぽっかりと空いたままなんです。僕は、寂しさを紛らわすように本を読みあさってました…そんな時院長先生が、1匹の子犬を拾ってきたんです。」


レート「子犬?」


助手「はい大人の手のひら程の小さな子犬です、ハクって名前を付けて…みんな大はしゃぎで喜んでました。けど、僕は何故か怖かった…この感情がなんなのか分からないまま…世話をして、一緒にすごしてました」


助手「ある日ね、孤児院に泥棒が入ったんです。金目の物か分かりませんが、その人達は本や院の物全部持ち出して行きました…そのとき、ハクが吠えたんです。小さな身体で一生懸命…僕達は怖くて動けなかったのに。結果ハクは泥棒に蹴り飛ばされました」


レート「ちっ…」


助手「僕は慌ててハクの元へ駆け寄りました…ハクは自分が瀕死なのに…泣いてる僕の頬を舐めたんです。その時分かりました…あの怖いと思った感情は…居なくなることが寂しいからだったんだって…」


レート「そうか…辛いことを聞いたな」


助手「あ、勘違いしないでくださいね?ハクは生きてますし、今も元気に孤児院で番犬してますから!」


レート「そうか…良かったな」


助手「はい!…あの…おじいさ…」



爆発音と共に 黒づくめの男たちが現れる



助手「ひゃぁぁ!」


レート「ちっ…新手か?!…あいつらは…」


助手「あ痛たた…あぁ!私の本が…」


レート「おい、立てるか?」


助手「はい…あれ?あーーー!!!貴方…この間のマフィもがもがもが」


レート「でかい声だすな!!奴らに気付かれる!」


助手「奴らってなんですかぁっ」


レート「ブラックデビル団…通称BD、奴らは目的の為なら一切手段を選ばない、最低最悪の奴らだ!!くそっ…大方あいつらの目的も古文書だろう」


助手「そんな…この古文書どれだけ危険なんだよぉ?!」


レート「いいか、奴らにだけは絶対に奪われるな!」


助手「…そんなこと言って、自分たちが奪おうって魂胆じゃないんですか?!」


レート「…俺達ブラックスパイダーは、代々その古文書の管理を任されていた、だがある時…その古文書が盗まれた」


助手「…盗まれた?!」


レート「ああ、俺らの組織に裏切り者がいてな…そいつはきちんと始末したが古文書は行方不明のままだった」


助手「それを、マスターが見つけたと…」


レート「ああそうだ、お前のマスターはいわく付きの古文書と知りながら、保管してやがったんだよ」


助手「はっ…そういえば、僕が古文書を読み漁ってた時、調べるのは禁忌だって言ってたような…」


レート「その古文書、1番最後のページが開かないだろう?それを開いたら最後、世界が崩壊するといわれている」


助手「……。」


レート「BDは、その古文書を解読しようとしてる…世界を制服するために」


助手「へぇ…そうなんだ」


レート「だから、それは絶対に奪われるなよ?解ったな!」


助手「…でも、どうやって奴らから逃げるのさ!」


レート「ここだよ」


助手「へ…ここって…その下を指さしてるのはもしかして」


レート「ご名答、迷ってる暇はねぇ、行くぞ」



下水道に逃げ込む2人



助手「うぅぅ…くさいっ!!どうしてこんな目にぃ」


レート「静かに走れ!ここは音が響くんだよ」


遠くから銃声が聞こえる


助手「ひぃ」


レート「くそ、気づかれた!!思ったより優秀じゃねーか!」


助手「どどどどーしましょう?!」


レート「仕方ない、俺が応戦する!その間にお前は進め」


助手「そんなっ無茶ですよ!」


レート「いいから、これでもブラックスパイダーの幹部だ…ここは俺に任せて先にいけ!」


助手「でもっ…」


レート「お前みたいなガキが死んだら目覚めがわりーんだよ!さっさとしろ!」


助手「…必ず助けに来ますからっ」


レート「行ったか…ち、同じ境遇だったからか?柄でもないことしちまったぜ…」



タバコに火をつけ、一服する



レート「よう、ブラックデビルさんよ…いっちょ俺と遊ぼうぜ…」



一方その頃 チェリーとマスターは



チェリー「右!…今度は左よ、OKそのまま進んで!」


一発の銃声が響く


マスター「ぐっ…」


チェリー「…大丈夫?」


マスター「掠っただけだ。野郎…所かまわずぶっ放してきやがって…奴らの位置は?!」」


チェリー「まだ遠くの方…でも数が多い…うじゃうじゃいるわよ」


マスター「はぁ…ヤッコさんも暇なこった」


チェリー「…私を置いてにげなさい、右…利き手でしょ? 血が出てる…その腕じゃ無理よ」


マスター「やなこった、俺はな、一度決めたらそれを貫く男なんだよ」


チェリー「…なにそれ、惚れちゃうじゃない」


マスター「あ?やめとけやめとけこんな男、探偵の妻なんて寿命がいくつあっても足りねーぞ」


チェリー「…妻、それも良いわね」


マスター「はっ、お前の相棒に怒られちまうだろうが」


チェリー「レートとは兄妹よ、恋人でも何でもないわ」


マスター「へぇ、兄妹でマフィアか…じゃああの時の話も嘘じゃなかったんだな」


チェリー「正確には祖父ではなく、孤児院だけどね」


マスター「…わるい」


チェリー「気にしないで」


マスター「とりあえず逃げ切るぞ、…話はその後だ」


チェリー「そうね…この先に、私達の隠れ家があるから…そこで手当しましょ。」



ひたすら走る助手…チェリーを抱えて走るマスター

曲がり角でお互いがぶつかり、助手が押し負ける



助手「……ぎゃっ」


マスター「新手か?!…ん?お前…なんでこんな所に?」


助手「痛たた…あれ、マスターじゃないですか!なんで下水道に居るんですか?!」


マスター「いや、それはこっちのセリフだ…お前じいさんとの猫探しはどうした?」


助手「そうだ!!おじいさんがレートさんで!黒づくめの奴らが!! 向こうで1人でぇぇ!レートさんがっ…レートさんがぁあ!」


マスター「あーー!落ち着け!何言ってるか分からん」


チェリー「黒づくめの奴らに襲われてレートが1人で応戦してるのね」


マスター「なんで解るんだお前」


助手「そうなんです、古文書を持ってる僕を逃がすために1人で…だから早く助けに行かないとっ!」


チェリー「あら、その必要はないみたい」



多少の傷を追いながらも合流するレート



助手「レートさん!!」


レート「…お前、ここから逃げろってあれほどっ…」


助手「もう大丈夫です!マスター達が来てくれたんです!」


レート「何?」


マスター「よう、うちのが世話になったな」


レート「別に…俺は何もしてない…」


チェリー「レート、小さい子供が好きだから…」


助手「…え?」


マスター「ほう?」


レート「誤解を招くような言い方するんじゃねーよ!」


チェリー「そんな事より、後ろからあいつらきてるわよ」


マスター「ちっ…しつこい奴らだ」


レート「悪いが、こっちも完全に巻けていない」


助手「どっちの道も追手が来てるってことですか?!」




両方の追手に囲まれてしまう 




レート「来たか…ブラックデビル…しつこい奴らだ」


チェリー「まずいわね…」


マスター「万事休すか」



助手「…………古文…書」


マスター「どうした?」


助手「古文書の…最後の…ページ…」


レート「何をいきなり…」


マスター「待て、お前助手じゃないな…誰だ」


助手「古文書…の…最後…の」


チェリー「どうしたの?」


助手「…れに…を…げ…よ」


マスター「…やるしかないのか…」


レート「なら、俺達は時間を稼ぐぞ、行くぞチェリー」


チェリー「えぇ、愛しの旦那様の為に…」


レート「え、今なんて…」


チェリー「行くわよ」


レート「あ、おい!チェリー!!」



マスター「ちっ…しかたねぇ、貸せ。最後のページ…最後のページ…ここだ、開かずのページ…その前のページに…あったこれだ。(…に…を…げよ)ちっ重要な部分が掠れて読めやしねえ!」


マスター「どこだ…どこかに手がかりがないのか…?」


助手「…れに…を…さげよ」


マスター「ちっ…うるせぇ!言いたい事があるならはっきりと言いやがれ!!」


助手「我に…を…捧げよ」


マスター「っ…」


レート「ぐっ…まだ…かっ…」


チェリー「そろそろ…キツイ…かも」


助手「我に血を捧げよ」


マスター「ちっ!!いくらでもくれてやっから!さっさと この状況を打破しやがれ!!!」


自分の指を 噛みちぎり 本に血を垂らす

その瞬間まばゆい光が辺りを包む

目を開けると、その場に倒れているブラックデビル達


チェリー「…なっ…ブラックデビルが…」


レート「全滅…」


マスター「ははは、こりゃ夢かおとぎ話か…」


助手「あぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


レート「ぐぅううぅっ耳がっ…」


チェリー「何…この声…っ」


マスター「くそっ…これが古の悪魔かっ」


レート「お前…知ってたのか?」


マスター「あぁ…家に代々伝わる伝承だ…あの古文書には古の悪魔…ギュリアスが封印されていると…」


チェリー「なっ…ギュリアス…まさかっ、世界に破滅をもたらす…あの?」


助手「やっと…やっと解放された…忌々しい奴らめ、よくも私をこんな本に閉じ込めたわね…許さない…」


マスター「おい!!やめろ!!そいつの体から出て…い…け、ぐっ…なんて圧だ…ちかづけねぇ…」


レート「状況は変わらず最悪…いや…より悪いか…」


助手「ぁははははは!!!!私を閉じ込めたこんな世界…壊してあげる…」


チェリー「やめなさいっ!!…効かない?……ぐぅうう!!!」


銃を撃つが、びくともしないギゅリアスにチェリーは弾かれ壁にたたきつけられる


レート「チェリー!!!!くそっ…こんなの相手にどうしろっていうんだ」


助手「私にふれるなぁぁあぁあぁぁぁあ!!!!私に触れていいのはあのお方だけ…汚らわしい人間がぁぁぁ!!!」


マスター「なっ…」


レート「危ないっ!!!ぐうっぅっ」



マスターを庇い モロに攻撃を受けるレート



マスター「レート!チェリー!!くそっ…」


助手「お前…奴に似ている…私を…封印した奴に…ぁぁぁぁぁぁ忌々しい!!!」


マスター「ちくしょう、なにか方法は…最後のページが…開く?…っ!!…これは…だがこのままじゃ」


助手「奴は!私を裏切った!!!私は!!あの方の為に!この手を染めたのにっ!!奴はっ!!!奴はぁぁぁぁぁあ!!!」


マスター「ちっ、一か八か!!やるしかねぇ!!!おい!!助手!!!聞きやがれ!!!」


助手「なにを!!!」


マスター「いいか!俺の秘密を今から呟く!!」


助手「…ひ…み……つ……」


マスター「誰も知らない、誰にも教えたことのない世界で俺1人しか知らない秘密だ!!どうだ!!知りたいだろう!!!」


助手「何をごちゃごちゃと………

ぅ…あっ…マス…ターの…ひ…み…つ」


マスター「いいか、3つ数えたら呟くからな!!1…」


助手「うるさい!!!!お前も殺してやる!!」


マスター「2!!」


助手「マ…スター…の……ぐぅぅ……黙れぇぇぇぇ!!」


マスター「3!!」


助手「マスターの…秘密っ聞きたぁぁぁぁぁい!!!!」


マスター「掛かったな!!!今だ!!」


最後のページにあった 封印の札を助手の額に貼るマスター


助手「ひっ…ぐっぁっ…力がっ……ぁああ…私の…世界がっ」


マスター「じゃあな古の悪魔さんよ」


助手「ぐぁぁぁぁぁあ!!!ゼリアス様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



倒れ気を失う助手



マスター「封印完了…つっかれた……とんだ猫探しだったな…」



act4

喫茶店のドアが開く


助手「ありがとうございましたー」


マスター「おーい、3番テーブルパフェとコーヒーだ」


助手「はーい!…パフェとコーヒーお待たせしましたー…」


チェリー「あもぐもぐりもぐもぐがもぐもぐともぐもぐう…」


レート「だから、食いながら喋るな!」


チェリー「もぐもぐもぐもぐ」


レート「いや、食う方に専念するな?!」


助手「相変わらずですね、お2人とも」


マスター「相変わらずも何も、しょっちゅう探偵事務所に来んじゃねーよ、仮にもマフィアだろうが」


レート「残念だったな、今日はオフだ!うちの機関は福利厚生がしっかりしているからな!」


マスター「へーへー暇なこって…」


チェリー「私は旦那様の顔を見に…」


レート「へ?チェリー…旦那様ってどういうこと?!」


チェリー「もぐもぐもぐもぐ」


レート「いや話をきけ?!」


助手「古文書も無事レートさん達の手元に戻って世界も平和になったし、良かったですね!」


マスター「代わりにうるさい奴らが入り浸るようになったけどな」


助手「ははは、そういえば、あの後どうなったんですか?」


マスター「あ?幸いレートが起き上がってな、お前とチェリー担いで逃げたさ」


助手「なんだ!あの大きい背中はマスターのだったんですね!」


マスター「いや、俺はチェリーを抱えてたから違うぞ?」


助手「へ?それって…」


マスター「あっ、アイツら皿割りやがった!!おい!てめーら!暴れんなら外いけ外!」



助手「…あーあ、折角封印を解いてあげたのに…失敗しちゃうなんて…馬鹿な子。まあ次があるよね… 次は…こうはいかないよ」


チェリー「探偵の妻になれって言われた」


マスター「いやだから誤解を産むような言い方は…」


レート「お兄ちゃんは許しませんからね?!」


チェリー「レートは出てって?ここは私と旦那様とこの子の愛の巣」


レート「この子?!?!?!」


マスター「いやだからちげーーって!ややこしい言い方すんな!それはパフェだろうが!」


助手「はっ…一瞬寝てた?!あっ、ちょっと3人とも!と客さんが居ないからって何やってるんですかぁ!僕も混ぜてくださーい!」




to be continued ?
















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♂2♀2 探偵は突然に… ねむりねずみ@まひろ @sibainu_uta

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