episode49 薫の想いと運命の姫君 宿木
49.1 周りの思惑
🌟
皇族である匂宮と高貴な貴族である薫には政治的な縁談がそれぞれ持ち掛けられます。ふたりとも気は進みませんが縁談を受け入れ、結婚することになります。
あるとき薫は中の君から亡くなった大君にそっくりな姫君がいるとの話を聞きます。
【超訳】
薫 24〜26歳 匂宮 25〜27歳
中の君 24〜26歳 浮舟 19〜21歳
夕霧 50〜52歳
✈✈✈Let' go to SenmojiGenji
今の帝には明石の中宮さまのほかに藤壺の女御という人(冷泉院のお母さんとは別人)がいて内親王がひとりいたんだけど、その姫君が裳着を迎えるまえに女御さまが亡くなってしまうのね。
お母さんを亡くして後ろ盾のない内親王の将来を帝は心配するの。その昔、帝のお父さんの朱雀院が娘の女三宮の将来を心配して源氏と結婚させて薫という素晴らしい息子に恵まれて今もその薫に支えてもらいながら女三宮は不自由なく暮らしているから、自分の娘も結婚させるのがいいなって思うのね。そこで薫なら夫として理想的だと思ってなんとなく本人にほのめかすの。
薫は恐れ多いんだけれど、帝からのお話だから断ることなんてできないの。けれども心の中ではまだ大君を想っているのよね。
このウワサを聞いた夕霧はやっぱり娘の六の君を薫と結婚させることはできないから匂宮しかいないと決心して明石の中宮(夕霧にとっては異母妹)に根回しを繰り返すの。そしてとうとう匂宮もこの縁談を受け入れることにするの。
年が改まって、薫の婚約も匂宮の婚礼の準備もふたりの意思とは関係なく進められるの。匂宮はこの婚礼のことで中の君を悲しませたくなくて伝えていないんだけど、噂は中の君にも届いて落ち込んじゃうのよね。やっぱり宇治の山荘でひとりで生きていきたかったわって悔やむの。
でもそんなときに中の君が妊娠するんだけど、それを匂宮に伝えようとはせず、匂宮も彼女の変化に気づかないの。
六の君との結婚の日取りも決まるんだけど、匂宮は自分で中の君に知らせることができないの。でも世間中で知れ渡っているから中の君は外部からその日程を知ることになるんだけれど、どうして夫の匂宮が話してくれないの? って悲しく想っちゃうのよ。
中の君と結婚してからの匂宮は仕事と特別な用事以外はいつでも中の君のいる二条院にいてどこにも外泊なんてしていなかったの。けれどこれから六の君と結婚することになったら外泊(六の君は六条院に住んでる)することになるから少しずつ慣れてもらおうと匂宮は思ってわざと宮中で夜勤をしたりするんだけど、中の君にとってはそれだって寂しいことだったわよね。
To be continued ✈✈✈
◇「中の君ちゃん、結婚の話は匂宮くん本人から聞きたかったよね」
匂宮は中の君を悲しませたくなくて知らせることができなかったようですね。
「中の君ちゃんも妊娠したことを知らせないんだ?」
匂宮と六の君の結婚が決まった時点で妊娠していなければ中の君は宇治に帰りたかったかもしれませんね。
「六の君さんとの結婚は政治的なものだよってきちんと話してあげればいいのに」
「あ――、でも六の君さんのことを思うと政治的って言っちゃうのも可哀想だね……」
バンっ!!
大きく音を立ててこまちちゃんが立ち上がります。
「一夫多妻制が悪い!!」
現代の価値観ではそう思ってしまいますね。ただこれこそ世継ぎ問題などの政治的な意味が……。
「そうかもしれないけれど、女の子が可哀想なんだよっ!!」
板を持たされました。例の空手部の……
「はっ!!」
小気味よく板が割れます。
ね、こまちちゃん、おぜんざい食べない?
「食べるっ! おもち2こ!! ふんっ!!」
NEXT↓
49.2 薫と中の君
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