47.6 恋の終わり
✈✈✈Let' go to SenmojiGenji
匂宮のお母さんの明石の中宮も少しは譲歩してくるの。
「あなたの将来のためにも権力者である
でも権力者の娘を正妻にして愛する中の君を傷つけたくないって匂宮は抵抗し続けているんだけれど、中の君側には伝わらないことで匂宮も中の君もツライ状況になっているわね。
十一月になって薫は大君のお見舞いに行くと、随分と弱ってしまっているの。匂宮の結婚の噂で衰弱してしまったって女房の弁が話すの。
「どうしてこんなになるまで僕に知らせてくれなかったんだ!」
薫は仕事もそっちのけでつきっきりで看病して、阿闍梨たちにも祈祷をさせるの。薫はそっと大君の手をとるの。
「声だけでも聞かせてほしい」
「もう逢えないで死んでいくのかと思っていたの」
大君がやっとの声でそう言うの。
「そんなに待っていてくれたの?」
薫はしゃくりあげて泣くの。横になっているところに薫が付き添ってくれるから大君は恥ずかしかったんだけれど、今まで無理に一線を越えようとはせずに誠実でいてくれた薫に友情のような愛情のような気持ちを大君は持っていたみたいね。
「こんな風にわたしは短い命の予感があったからあなたの気持ちに応えられなかったの。だからあなたと中の君に結婚してほしかったのよ」
「それなら悲しい思いばかりするのが僕の宿命だよ。僕はあなた以外のだれとも結婚するつもりなんかないよ」
そしてとうとう大君は亡くなってしまったの。
~ おくれじと 空行く月を 慕ふかな つひにすむべき この世ならねば ~
(遅れないようにキミのあとを追っていきたいよ。キミと永遠に過ごせるのはこの世ではなかったんだから)
呆然自失の薫は宮中に参内もしないで宇治に引き籠るの。あのマジメでカタブツの薫がそこまで落ち込むんだからどんなに素晴らしい女性だったんだろうって都ではウワサになっているみたい。
~ 恋ひわびて 死ぬる薬の ゆかしきに 雪の山には 跡を消なまし ~
(恋わびて死ねる薬が欲しいから雪の山に入って行って跡を
薫の悲しみが癒えないままに時は12月になって、ある雪の夜に匂宮が馬で宇治に駆けつけるの。これまで来られなかったことを中の君に謝って、なんとかご機嫌をとろうとするんだけれど、中の君は簡単には許してくれないみたい。
薫は都に戻ることにして、匂宮は中の君を自宅の二条院に迎えることを決心するの。
第四十七帖 総角
To be continued ✈✈✈
🖌Genji Waka Collection
~ おくれじと 空行く月を 慕ふかな つひにすむべき この世ならねば ~
~ 恋ひわびて 死ぬる薬の ゆかしきに 雪の山には 跡を消なまし ~
大君を亡くした薫が嘆き哀しみ詠んだ歌
◇
episode47 恋の終わりと恋の始まり 総角
47.1 ずっと一緒に
47.2 薫の作戦
47.3 匂宮の電撃婚
47.4 中の君に夢中
47.5 大君のなげき
47.6 恋の終わり
◇薫の大君への想いは報われることなく終わりを告げてしまいました。亡くなった大君を想う薫の歌があまりにストレートです。あんなに「恋なんてしない」って言っていましたけれどね。
「薫くん……、可哀想に……」
対する匂宮は結婚して中の君と心を通わすことができましたが、こちらも匂宮の気の多さや六の君との結婚やお母さんの反対など前途多難のようですね。
「お母さんの反対は予想してなかったなぁ。明石の姫君ちゃんだよね」
源氏と明石の御方の娘です。恋に生きたお父さんより真面目で良識のあるお母さんに似たのでしょうか。
NEXT↓
episode48 宇治から都へ
48.1 大君を亡くして
☆こまちのおしゃべり
【別冊】源氏物語のご案内
topics40 なにやら聞いたことのあるハナシ https://kakuyomu.jp/works/1177354054881765812/episodes/1177354054887001123
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