29.2 源氏と内大臣の会談

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 ひとまず源氏は玉鬘の裳着もぎ(女の子の成人式)の準備を始めたの。そのときに実の父の内大臣に打ち明けようと儀式の後見役をお願いするんだけれど、大宮さま(内大臣のお母さん)の病を理由に断られちゃうの。夕霧も大宮さまの看病につきっきりだし、このまま大宮さまが玉鬘が自分の孫だと知らずにお亡くなりになるのはお可哀想と思って、源氏は大宮さまに会いに行くことにしたの。


 大宮さまはご病気だったのだけれど、源氏のお見舞いを喜ぶの。ついでのように内大臣にお願いしたいことがあると話すの。大宮さまは夕霧と雲居の雁のことだわって思ったんだけれど、源氏が話したのは玉鬘のことだったの。内大臣の娘ということは大宮さまにとっては孫になるわね。


 内大臣のところにも源氏が大宮さまのお見舞いに行っているって知らせは届いているの。

「母上の屋敷はあんまり人がいないからな。源氏(太政大臣)をちゃんとおもてなししてるんだろうか」

「俺が行ってもいいんだけど、それだと大げさになるからお前たち行ってこい」

 自分の息子たちを大宮さまのところに行かせようとしていると、大宮さまからのお手紙が届くの。

「源氏の君からお話があるようなので、こちらにいらっしゃい」


 手紙を読んで、内大臣もこれは夕霧と雲居の雁のことだと思うのよね。

「こうまで言われちゃしょうがないな。行ってやるか」

 特に身だしなみに気を使って出かけることにするの。


 大宮邸で久しぶりに源氏と内大臣は対面するの。今は政敵同士だけれど、以前は良き友人で良きライバルだったなぁとお酒を飲みながら昔話に花を咲かせるの。

 そこで源氏は内大臣に玉鬘の話をするの。まさかの展開に内大臣は驚いたけれど、探していた娘が見つかり、裳着の後見役も当然引き受けてくれたわ。


 でも夕霧と雲居の雁の話はなかったの。

「あれ? そういや夕霧の話は出なかったな……」

 内大臣にしてみると少しだけ疑問の残る対面ではあったみたいね。


 玉鬘のことを喜んだ内大臣だったけれど、ひょっとして源氏がすでに玉鬘に手を出してるんじゃないの? って疑うの。でも自分の娘(新弘徽殿女御)が冷泉帝のお妃なので玉鬘を宮仕えに出すのも困るなぁ、源氏の愛人でもいいのかもなぁなんて考えるの。


 源氏は玉鬘にも話したの。ようやく実のお父さんに自分のことを知ってもらえて会えることになって玉鬘は喜ぶの。

 夕霧にも源氏の子どもではない(=夕霧の姉ではない)ことを話すの。あの台風の日にちらっと見た源氏と玉鬘の様子は親子じゃなかったからなのかと妙に夕霧は納得したのね。そしてだったら自分も玉鬘のことを好きになってもよかったんじゃん、なんて思うのだけれど、いやいや、いかんいかんと自制するところが真面目な夕霧らしさなのよね。



To be continued ✈✈✈



◇二十二帖で源氏が見つけ出した玉鬘、ようやく二十九帖で実のお父さんに知らせました。内大臣は娘が見つかったことを喜び、また政略結婚などを考え始めますが、ひょっとして源氏が手を出したんじゃないかとも疑っているようですね。


「ありうる。大いにありうるよね。さすが内大臣、源氏のことをよくわかってるね」

 くすくす笑いのこまちちゃんですね。


「ついでに夕霧くんのことも話してあげてもよかったのにね」

 息子の恋は見守ってはいますが表立って内大臣に頼んだりはしない源氏です。


「夕霧くんも自分で頑張っているもんね。夕霧くんもお父さんから頼んでほしいって思ってないもんね」

 頑なまでに自分を認めてもらおうと絶賛勤勉中ですね。





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29.3 玉鬘の裳着と近江の君のお怒り

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