24.3 玉鬘をとりまく人たち

To be continued ✈✈✈


 玉鬘宛ての恋文がたくさんやってきて源氏はニンマリするの。差出人を見てシカトしてもいい文と返事をしたほうがいい文に分けて、源氏が玉鬘にふさわしいと認めた人には返事を書かせたの。

 蛍兵部卿宮や柏木からの文もあったし、堅苦しい印象の髭黒の右大将からの恋文もあったみたい。源氏は蛍兵部卿宮は奥さんを亡くして独身ではあるけれど、他にも通っている女性がいて女好きなところが困るとか、右大将には長年連れ添った年上の夫人がいるからそこにあなたが加わっても苦労しそうだとかあれこれ婚約者候補を批評するの。あなたが不満足に思うような結婚はさせたくないんだよって話したみたい。


 女房の右近にもいろいろと注意をするの。

「返事をしないで相手を焦らしてもよけい熱心になるだけだからあたりさわりのない季節の挨拶の手紙には返事をするといいよ」

「とはいっても興味本位のヤツには返事しなくていいからね」

「蛍兵部卿宮や髭黒右大将より身分の低い人たちは相手がどのくらい熱心に想っているかどうかで返事を考えるように」


 源氏は現時点では玉鬘を内大臣に引き合わせて親子の対面をさせるつもりはなかったの。内大臣には多くの子どもがいるので、玉鬘が結婚して一人前になってから紹介した方が内大臣の一族の中で立ち位置を作りやすいんじゃないかと考えたらしいの。

 そのためにもより良い結婚相手を見つけてやりたいと思うんだけど、蛍兵部卿宮は浮いた話が多く、髭黒の右大将は長年連れ添っている妻がいるのでそちらから恨まれそうだし、身分的には釣り合う人たちにも短所もあって源氏は悩んでいたのね。

 それに最初は田舎育ちの姫君という印象だったんだけれど、六条院の生活で玉鬘が随分と洗練されて綺麗になってくるの。紫の上とのお付き合いなどで内面も成長し、外見もとっても美しくなってきたから他所の男と結婚させるのはもったいないなぁなんて源氏は思い始めるの。


 源氏は玉鬘が本当に可愛らしいと紫の上に話すの。

「不思議なほど魅力的なんだよ。母親はね、儚い人だったけど、彼女は美しいし頭もいいし欠点がないんだよ」

 なんて風にね。紫の上はまた夫の源氏が娘以上の気持ちを持っちゃうんじゃないの? って心配しはじめたみたい。

「あなたをお父さまとして信頼しているのにお気の毒ね」

 って紫の上は言うの。

「信頼されてていいんじゃないの?」

 と源氏が言うと、

「私もあなたのことを親心と信じてた頃があったわ」

 と自分も最初は娘のように妹のように育てられ後に妻になったことをさらりと言ったの。

 イタイところをつかれた源氏はそこでこの話を切り上げちゃったみたいね。



To be continued ✈✈✈



◇田舎で育った玉鬘でしたが、六条院で上流階級のお姫様として扱われ、ますます美しくなり、紫の上や花散里との交流で内面の魅力まで磨かれます。

 源氏も「年頃の娘を持つお父さん」気分を満喫しているつもりでしたが、他の男に嫁がせるのは惜しいなぁと思い始めました。

 紫の上は惚れっぽい性格のオットの心配をしていますね。


「ほらぁ、やっぱりわたしの心配当たってるじゃん……」


 こまちちゃんも心配しています。




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24.4 源氏、まさかの告白?


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