21.2 従姉弟同士は幼なじみ

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 同じころ、冷泉帝の中宮(皇后)を決めることになったのね。源氏の養女の梅壺女御か大納言(頭中将)の娘の新弘徽殿女御のどちらがなるのかと周囲はざわつくの。もうひとり、紫の上の父も娘の王女御を入内させていたんだけど、源氏は完全に梅壺女御のサポートにまわっているの。


 結果は梅壺が中宮となり、秋好中宮と呼ばれるようになるの。亡くなったお母さんの六条御息所にくらべてなんて幸運な女性なんだろうって世間はウワサしたんですって。そして源氏は太政大臣に昇進して、大納言が内大臣になったわ。


 内大臣(頭中将)には娘がふたりいたの。ひとりは新弘徽殿女御でもうひとりは雲居の雁というの。雲居の雁を産んだ女性とは離婚していて、雲居の雁は内大臣の両親(太政大臣と大宮さま)の家で育てられていたの。

 同じように大宮さまに育てられている夕霧とはいとこ同士の幼馴染で仲良く過ごすうちにお互い淡い恋心をいだくようになるの。お互い成長して恋文ラブレターなんか送りあうようになるみたい。そんな手紙が無防備に部屋に落ちていたり置いてあったりするから、女房たちはふたりが付き合っていることも知っていたんだけれど、まぁ言いふらすことでもないから秘密にしていたみたいね。

 元服をしたら正式にお父さんの内大臣に結婚の申し込みに行こうと夕霧は考えていたんだけれど、元服のときの冠位があまりに低い身分だから内大臣に結婚の申込にも行けないの。それに二条院の東の院に引っ越してからは、雲居の雁とはあまり会えなくなるんだけど、ひとまずは勉強をして出世をして冠位を上げることにしたみたいね。


 ある日、内大臣は大宮さまのもとへやってきて、雲居の雁を(次の帝になる)東宮さまの元へ入内させるつもりだと打ち明けるの。大宮さまはちらっと夕霧のことが頭をよぎったけれど、入内も悪い話ではないと思ったみたいね。

 そこへ夕霧がやってくるんだけど、内大臣は夕霧と雲居の雁を会わさないのね。


「(付き合っているのを)知らないのは親だけね」

 大宮さまのところの女房たちがこそこそ話しているのを内大臣は聞いてしまうの。内大臣にしてみれば、新弘徽殿女御が中宮になれなかったので、雲居の雁で次の帝の中宮を狙おうと思っていたのに、夕霧に邪魔されちゃったのをものすごく怒ったの。雲居の雁も思ってもいなかった大騒動になり泣いてしまうのよ。


To be continued ✈✈✈


◇一緒に育った従姉弟同士の夕霧と雲居の雁の君。雲居の雁が2歳お姉さんです。お互い親が亡くなっていたり、近くにいなかったりした似た境遇で優しいおじいさま(左大臣)とおばあさま(大宮さま)に育てられました。

 何をするのも一緒。大きくなったら結婚しようね、なんて可愛らしい約束もしていたのかもしれませんね。


「夕霧くん、そんな可愛い恋をしていたんだね!」

 生まれてすぐにお母さんの葵の上は亡くなり、お父さんの源氏は小さいころに須磨に行っていました。


「一緒に育ったいとこがいたんだ。楽しかっただろうね」

「夕霧くんが結婚とか言う年なんだ。大きくなったんだねぇ」


 なぜかこまちちゃんが親目線です??



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21.3 引き離されるふたり




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