19.2 明石の姫君と紫の上

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 暗くなってから着いた二条院はどこもかしこも華やかで姫君用のお部屋も可愛らしく準備されているの。二条院へ行く途中で明石の姫君は眠ってしまって、二条院に着いてもお母さんの明石の君がいないから泣いてしまうんだけれど、かわりに紫の上が優しくしてくれたので新しい環境にも慣れていったみたい。源氏は明石の君から姫君を取り上げてしまったことは申し訳ないと思いながらも、最愛の妻の紫の上とふたりでこの可愛らしい姫君を育てていける幸せをかみしめているみたいよ。そうして明石の姫君を正式に源氏の娘として公表したの。

 紫の上はこんなにも可愛らしい姫を明石の君からとりあげてしまったんだと気づき、姫と別れて寂しくしている彼女のところに源氏が通うのを大目に見てあげるようになるの。

 源氏も娘と別れて泣いてばかりいる明石の君に文を送ったり訪ねたり気遣ってたみたいね。


 新しい年になり、東の棟の花散里はとても幸せそうなの。同じ敷地内だから源氏もよく顔を見せてくれるし、もともとが多くを望まない謙虚な性格だから源氏との仲も穏やかでいい関係みたいね。源氏も紫の上に対する態度と同じように花散里にも接したので周囲の人たちも花散里を敬愛していたの。


 それから大堰おおいの明石の君のところにも行こうと、とびっきりのオシャレをして出かける美しい夫を紫の上はやれやれと思いながらも見送るの。

 明石の君の美しさ、優雅さや頭のよさはやっぱり普通の人じゃないなと源氏は感心するの。源氏は姫君のことをいろいろと話して聞かせてあげるの。明石の君も出しゃばったりせず、ときどき源氏が逢いにきてくれるだけで充分だわって思うようになったんですって。


To be continued ✈✈✈


◇明石の姫君が二条院にやってきました。自分が産んでいない明石の姫君を紫の上は我が子のように愛し育てます。継子いじめがなくて本当によかった。

 源氏は紫の上と明石の姫君との3人暮らしを満喫しているようです。産みの母親の明石の君が悲しんでいるのに源氏は随分身勝手なように感じてしまいます。


「ホント、源氏だけずるいよね。紫ちゃんと姫ちゃんと3人親子暮らしも楽しんで、明石さんとのデートにも出かけるんでしょ。なによそれ」


 本当に女性にとって辛いことばかりですね。


「紫ちゃん、姫ちゃんを大事に育ててあげるんだね。えらいね」

 自分が産んでいない子を愛し育てる。しかもまったくの赤の他人でなく夫の子供。なかなかできることではありませんね。



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19.3 女院の死

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