18.3 明石の姫君の育て方

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 源氏は近くの御堂の建設の進捗を見に行っては明石の君のお屋敷に帰ってきて明石の君とのひとときを満喫するの。


 ~ 契りしに 変はらぬ 琴のしらべにて 絶えぬ心の ほどは知りきや ~

(あのとき約束しただろ? 俺の気持ちはあれからずっと変わってないよ)


 ~ 変はらじと 契りしことを 頼みにて 松の響に を添へしかな ~

(”気持ちは変わらない”ってその約束だけを信じていたの。浜辺の松風の音で泣き声を隠しながら)


 明石にいたころよりもずっと美しくなった明石の君のことを源氏は永久に離れることはできないなって思うの。明石の君も同じ気持ちみたいね。源氏はすぐにでも明石の姫君を自分の近くで育てたいと思うんだけど、まだ明石の君は二条院には引っ越す勇気がないの。明石の君と姫君を引き離すのも可哀想だしね。でも身分の低い明石の君の子どもとして育つよりも身分の高い紫の上の養女として育てた方が姫君の将来的にはいいんじゃないかって源氏は考え始めるの。


 しばらく明石の君の家に滞在していた源氏だけれど、二条院に帰る日になるの。

 姫君が可愛らしく源氏に懐くから源氏は帰りたくないみたいね。明石の君も逢えたばかりなのに源氏が帰ってしまうから辛くて見送りもできないの。その姿は気品があって内親王(皇族の娘)かと思うほど気高い雰囲気なんですって。

 源氏も男盛りの美男子なの。明石にいた頃は少し痩せていたけれど、今はとても素敵なオーラを放っているみたいよ。


 源氏はそのまま二条院に帰ろうとしたんだけれど、頭中将たちが遊びに来てしまってもう一泊して宴会をすることになるの。明石の君ともゆっくり別れを惜しむことも手紙を出すこともできなくて源氏も心残りだったみたいね。


 源氏は二条院に戻って紫の上のご機嫌をとるの。そうは言いながらも明石の君と手紙ラブレターのやりとりはしてるのよ。気にはしながらも気にしてませんっというそぶりを見せる紫の上が源氏には可愛くてしかたがないんですって。それから明石の姫君をあなたの養女として育ててみない? と紫の上に提案してみたの。自分に子供がいない紫の上はその提案を大喜びで受け入れるの。子供が大好きだから大切に育てるわって源氏に伝えたみたいよ。


 源氏はこのことをどうやって明石の君に伝えたらいいんだろうって悩むの。月に2回程度しか明石の君のところには行けないの。七夕の恋人同士よりは短い期間だけれど、明石の君も源氏と逢えないつらい日を過ごしていたの。


第十八帖 松風


To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

 ~ 契りしに 変はらぬ 琴のしらべにて 絶えぬ心の ほどは知りきや ~

源氏大臣が明石の君に贈った歌


 ~ 変はらじと 契りしことを 頼みにて 松の響に を添へしかな ~

明石の君が源氏大臣に贈った歌

 

 ◇第十八帖松風でした。

episode18 ふたりの女性と娘のこと   松風

18.1 明石の君、京へ

18.2 再会

18.3 明石の姫君の育て方


 久しぶりの明石の君との再会に可愛い姫君の登場です。その可愛い娘の将来を見据えて源氏は紫の上に養母になってもらおうと考えます。紫の上もその提案を喜んで引き受けますが、肝心の明石の君にはまだ伝えていません。


「なっにそれっ! 他のオンナが産んだ子供を紫ちゃんに育てさせるのぉぉぉ?」

 高貴な家柄だからでしょうね。子供の縁組で家を栄えさせたり、政略の手段にしたりするのは珍しいことではないのでしょうね。そのためには生みの母の身分が低いなら身分の高い妻を養母にしようということなのでしょうか。


 こまちちゃんの握りこぶしが小刻みに震えています。

「っ冗談じゃないっ!! 何考えてんの。バカ源氏!!」

 謹慎先の現地妻が生んだ子供を奥さんに育てさせる。現代では考えられない発想ですよね。


「明石さんだって自分の子供取り上げられちゃうの可哀想じゃん!」

 そうなんですよね。


「おのれ……」

 こまちちゃんの気持ちはわかります。

 壊れそうな物は今のうちに片づけます。



NEXT↓

episode19 永遠の人   薄雲

19.1 姫君との別れ



☆こまちのおしゃべり

【別冊】源氏物語のご案内

作者さんもお怒り爆発回だよ。覗きに来てみてね。


topics10 永遠のライバル? 最高の親友?

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881765812/episodes/1177354054882744127

おのれ源氏め、どうしてくれようか。

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