10.3 父の死

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 最愛の桐壺の更衣が産んだ光源氏を心から愛した桐壺院だったけれど、病気になってしまうの。現帝の朱雀すざく帝に東宮とうぐう(藤壺の宮の子)のことを頼むと何度も何度もおっしゃるの。それから源氏のこともお話になるの。

「どんなことも源氏に相談しなさい。彼は国を治める能力はあるけれど、彼を想って臣下に下ろして将来は大臣にしようと思ったのだ。このことを忘れないように」

 そんな風に朱雀帝に言い残したの。源氏も東宮のお供で最後のお別れに行ったわ。院は源氏にも東宮をたすけるように繰り返し言い残すの。そして藤壺の宮さまに看取られてお亡くなりになってしまうの。


 これによって朱雀帝の母があの弘徽殿女御(帝のお母さんだからこれからは弘徽殿大后こきでんのおおきさき)でその父が右大臣なので政治的勢力は右大臣が握っていくの。源氏は右大臣側からは嫌われているし、葵の上も左大臣の娘だったから権力の中心からは外されちゃうのね。


 そんな中で右大臣の娘の朧月夜が入内じゅだい(朱雀帝にお嫁入り)して尚侍ないしのかみ(女御、更衣に次ぐ階級)になるんだけど、まだ源氏ともつきあっていたのよ。それをなんと朱雀帝も知ってたんだけど、

「ボクより前から弟とは付き合ってたんだし……」

 なぁんて黙認しちゃうのよ。おとなしい性格なのよね、朱雀帝サマ。


 桐壺院が亡くなったってことは藤壺の宮さまもこれで独身(?)に戻られたことになるわよね。源氏は宮さまの女房に協力してもらって宮さまの寝室まで押しかけるんだけれど、宮さまに拒絶されるの。源氏は言葉巧みに口説くけれど、宮さまは自分はともかくも東宮さまを自分の恋愛沙汰に巻き込みたくないのね。そうこうしているうちに宮さまは具合が悪くなっちゃって女房たちが部屋に出入りして騒がしくなってくるの。源氏は協力者の女房(禁を犯したときに手引きした王命婦)に塗籠ぬりごめ(室内の物置)に匿ってもらうことに。

 病状が落ち着いて人が少なくなるとまた源氏は宮さまの御帳台みちょうだい(ベッド)の近くまで行くの。宮さまも源氏の香りが漂うから顔を見せないようにうつぶせになって逃げようとするの。でも源氏が宮さまの髪をつかんでいてその場を離れられないのね。具合が悪いからと言う宮さまに源氏は自分の辛い恋心を切々と語るの。


~ 逢ふことの からきを今日に 限らずは なほ幾代をか 歎きつつ経ん ~

(これからもう逢えないんなら何度生まれ変わっても嘆き続けるよ)


~ 長き世の 恨みを人に 残しても かつは心を あだとしらなん ~

(永遠にわたしを恨むなんて言っても、心変わりもあるかもしれないわ)

 

 宮さまはわざと冷たい態度を貫くのよね。これ以上嫌われたくない源氏はそのまま帰って行ったの。


 宮さまは過去の過ちのことや東宮の出生の秘密を何がなんでも守らなければいけないと思っているのね。そして東宮を護るには後見人の源氏の協力が必要なの。でもその源氏からこんな風に迫られることは避けたいの。そこで宮さまは出家(尼になること)を決心するの。



To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

~ 逢ふことの からきを今日に 限らずは なほ幾代をか 歎きつつ経ん ~

源氏宰相大将が藤壺の宮に贈った歌


◇桐壺院がお亡くなりになりひとつの時代が終わります。朱雀帝のお母さんの弘徽殿大后、彼女のお父さんの右大臣の天下となり、源氏は冷遇されるようになります。

 そして藤壺の宮さまにまた告白しましたが、拒絶されてしまいました。男女の関係は受け入れられないけれど、東宮の後見人としての源氏の助けが必要な宮さまは自分が出家することを選ぶようですね。


「どうして出家が答えなの?」

 出家は尼になることで仏門に入ることになります。恋愛関係を結ぶことはできません。

「ふ――ん。さすがの源氏くんも尼さまを口説いたりはしないってこと?」

 そういうことですね。

「また、尼さまとの恋ってハードルで盛り上がるぜ! ってことにならない?」

 ……。たぶん……。おそらく……。


 ……きっと……。



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10.4 手紙魔?

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