星間航路


入り乱れる星間航路

輸送される物資としてのわたしたち

生まれる前から檻の中

隣りで座り込むきみは

ここ場所の以外を知らない

微笑むべきではない

祈るにはまだ早すぎる

帰ろうよ

わたしたちの故郷のあの空へ

数字の刻印された手首

玩具のような食器

安っぽいかつかつという当たる音

どうしてわたしたちだったのだろう?

どうして?

これ以外でなかった理由を知りたい

やがて訪れる最悪な結末を前にして

ただ黙って座っているだけ?

与えられた錠剤をこっそり壁の亀裂にねじ込んだ

ねえ

わたしたち逃げ出そうか?

こくんと小さな返答

見張りを殺した

ほんの少しの可能性に賭ける時

生まれて初めて生きてるって感じたよ

ねえ

故郷の星に戻ったら何をしよう?

駆け足のさなか

わたしたちは酸欠気味で夢を見る

小型救命艇のあるフロアへと急ぐ

監視をすり抜ける

あらかじめ奪っておいたデータで扉を開く

あと少し

あと少しで

待ち焦がれていた自由へと手が届く

知らなかったんだ

わたしたちを殺すための銃口が

その先に待ち構えているだなんて

知らなかったんだ

何もかもが予定調和の一環でしかなかったなんて

血塗れで横たわるわたしたちの死体を前にして

狙撃手はうんざりしながら口を開いた

「なあ昼飯、何食った?」

もう一人の男は通信による報告を終え口を開いた

「Bだ」

人生は選ばれた者にしかそこを生きるに値しない


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