作戦会議なんて、いらないのよ


 ※サクラ・ハウス、カムチャッカ防衛派遣の編成表


 ※本部分隊 ヴィーゼル空挺戦闘車改二 三両

 隊長、ナーキッドミリタリー中佐 高倉雪乃

 副官 ナーキッドミリタリー大尉 田中芳恵

 副官 ナーキッドミリタリー中尉 上杉忍


 ※第一分隊 陸戦ロボット七体 ヴィーゼル空挺戦闘車改二 一両

 ナーキッドミリタリー中尉 伊達絵梨香


 ※第二分隊 陸戦ロボット七体 ヴィーゼル空挺戦闘車改二 一両

 ナーキッドミリタリー中尉 東雲(しののめ)秋帆


 ※第三分隊 陸戦ロボット七体 ヴィーゼル空挺戦闘車改二 一両

 ナーキッドミリタリー少尉 小野園子


 ※第四分隊 陸戦ロボット七体 ヴィーゼル空挺戦闘車改二 一両

 ナーキッドミリタリー少尉 伊集院彩夏


 ※第五分隊 陸戦ロボット七体 ヴィーゼル空挺戦闘車改二 一両

 ナーキッドミリタリー少尉 青木紅葉


 この編成表を見て、忍は不安を口にします。


「ヴィーゼル空挺戦闘車改二というものが、個人あてに一両あるようですが……」

「あぁ、あれね、大丈夫なの、改二とあるでしょう、ヴィーゼル空挺戦闘車改二とは、皆が身に着けているチョーカーに連動するのよ」


「貴女の思った通りに全自動で動くの、高性能の人工知能も搭載されており戦闘指揮も可能なのよ」

「一般のヴィーゼル空挺戦闘車改や、ハリアーともリンクすることもできるわ」


「上空の太陽光発電衛星は偵察衛星としても機能するから、その情報も改二は受けることが可能なの」

「改二の主砲は受電したものを放電できるわ、弾薬に関係なく戦闘をつづけられるのよ」


「それから、これは美子さまが耳打ちしてくれたのだけど、太陽光発電衛星は緊急事態になれば、『夫人』以上の命令で、集光した光を発電ではなく地上に放出できるのよ」


「ただこれには、美子さまの許可が居るのだけれど、今回その許可を得ているの」

「それでは……負けようがないような……作戦会議も不要な気がしますね……」


「美子さまは本気なのよ……くやしいけど、ロシアの女を受け取られたでしょう?」

「だから美子さまとしては、ロシアに肩入れされるのよ……まぁ、日本が危機に陥れば、事が起こる前に相手をね……怖いわ……」


 確かに……ロシア帝国は、ナスターシャ・ウラジーミロヴナ・ロマノヴァ大公女を差し出したのでした……一度見ましたが、美女……


 しかし、目の前の高倉雪乃は公爵令嬢、華宮洋子も公爵令嬢……日本もプリンセスを差し出しているから……

 美子さま、貴種がお好みなのかしら……いけない、今は戦争中なのよ……


 作戦会議は、北東軍集団の司令部で行われました。


「ナーキッドの増援に、ロシア帝国より感謝を表す」

「これからカムチャッカ防衛について、忌憚のない意見をお聞きしたい」


 ナーキッドの傭兵部隊司令が、

「我らは不正規戦が得意である、奴らがパラポリスキー地峡防衛ラインに襲い掛かったら、その背後に強襲上陸、包囲殲滅するのを提案する」


「その案は考えたが、しかし相手は膨大な兵力、強襲上陸しても、敵陣の背後にとはいかないだろう」

「敵中央に敵前上陸となる、さすれば上陸軍は前後から攻撃され、全滅の可能性もある」


 ここで高倉隊長が、

「強襲上陸する軍に、私たちも同行したい、私たちが上陸軍の背後を護ろう」


「敵の主力は、パラポリスキー地峡防衛ラインに張り付くはず」

「引きつけていただければ、強襲上陸しても、敵後方は数が多いだけの部隊と推測できる」

「我らが防いでいる間に敵主力を殲滅すれば、残りの敵は撤退するしかないはず」


「しかし、婦人部隊の貴隊だが……」

「私たちはナーキッド・オーナーの直属部隊、ヴァルキュリヤやブラッド・メアリーほどではないが、それなりの戦力を所有している、任せていただきたい」

 ヴァルキュリヤの名が出たら、ロシアの司令官は蒼い顔になりました。


「ヴァルキュリヤ……あの……」

 と、高倉隊長を見て、言葉を飲み込みました。

 ナーキッドの傭兵部隊司令も、同じような反応を示しています……

 こちらはブラッド・メアリーを知っているようです。

「ブラッド・メアリー……聞きたくない名だ……」


 で、あっさりと作戦は決まったのです。

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