再就職はハレム
硫黄島リゾートホテルの最上階、ナーキッド・オーナーのゲストハウスにある、露天風呂にアイハンは浸かっている。
首には側女の証である、パープル・ゴールドのチョーカーが輝いている。
ミコとともに、小笠原直轄領に転移したアイハンは、そこでテラ・メイド・ハウスのウェイティングメイド、上杉忍に身柄を預けられた。
「ご苦労様でした、ミコ様は貴女の希望通りにさせよ、とのお言葉です」
「もしお仕えしたくないなら退官されても構わない、その場合は『刀自』を贈るとおっしゃっておられます、ささやかですが金貨二枚の年金がでます」
「また、今までのご苦労に報いるために、退職功労として、どこでも好きな場所に家を用意せよとのことです」
「小さいですが、女一人暮らすには十分でしょう」
「私は……お約束しました……命を捧げると、そしてどこでもいつでも抱いてくれればいい、負債を支払うと……」
「ミコ様は、いつもそのようにおっしゃるのです……癖ですよ……」
「本当はお優しく、無理強いは嫌がられます、貴女を試したとはいいませんが、お聞きした状況では、曲がりなりにもミコ様の女になってもらわなければ、救えなかったのでしょう」
「そうはいっても筋金入りのスケベですから、抱きたかったのも確かなのでしょうね……」
アイハンは苦笑するしかなかったが、
「私はミコ様の女奴隷です、それがこれからの私の生きる糧、全てです」
今度は忍が苦笑した。
「分かりました……私はテラ・メイド・ハウスのウェイティングメイドでもあります、私の指示に従えますね?」
「ミコ様のご命令として従います」
「では、アイハン、テラ・メイド・ハウスへようこそ」
この後、忍は本音を語った。
「女としてはね……喜べないのが本音なのですよ……でも致し方ない……」
「ミコ様の女になるということは、そのことは理解しなければならない……女同士の争いは厳禁ですよ」
その後、アイハンはミコに仕えるためのノウハウを、真剣に教えてもらった。
アイハンは休暇をもらった。
そして今、硫黄島リゾートホテルに泊まっているのだ。
水平線に沈む夕日……
大海原をこんなにも、ゆっくりと見たのは初めてだろう……
それにしても……このチョーカーの威力……には驚くばかり……
異空間倉庫というものがあり、アイハンの場合、ロプノール退去の時、ミコがアイハンの私物を全て入れておいてくれたようで、服など困らないのですが……それより……
四十半ばのアイハンなのだが、新陳代謝が活性化して恐ろしく若い体になっている……その年齢で望み得る最高の身体である。
もともと鍛え抜かれているアイハンの身体である。
肌なども、アイハンの記憶には無いほどの艶である。
「いかん!とにかく磨かなくては……」
アイハンは体の隅々まで、念入りに洗っている……そう。
そう、今夜は夜伽なのです。
アイハンは体を洗いながら、忍に教わった隠語を確かめていた。
ミコの女たちの仲間に入るためには、必須の知識と思ったのだ。
「どうも私は夜毎の事はわからないようだ……」
「ミコ様はその方面では名人です、任せればいいですよ」
忍はそのように云った。
その夜のミコは激しかった……
アイハンは無我夢中で、命じられたことはなんでもした。
全身を貫くような快感が走る……
「ミコ様……もうなんでもいたします……アイハンを……棄てないでください……」
アイハンは何が何だか分からなく、ただただ棄てないで……と繰り返すばかり……
朝が来た……
ミコに命じられることが無上の幸せに感じられる……
アイハンは女奴隷の幸せを、心身ともに知ったのだ。
その後、二人は昼前まで、ベッドで抱き合って寝た。
「アイハン、良かったわよ、もう私の物ですよ」
ミコの言葉がうれしかった。
「ありがとうございます、私はミコ様の所有物です、この体、この心は全てミコ様のものです」
「私はミコ様のご命令をお待ちしています、どのようなご命令でも必ず成し遂げます」
ミコは忍になにやら連絡してから、アイハンに言った。
「私は今からルナ・ナイト・シティへ行かなければなりません、ついてきなさい」
二時間後、二人はルナ・ナイト・シティにいた。
コペルニクス・クレーターの外輪山に、ドームをかけて作られている都市。
重力制御装置や空気製造装置、穀物と野菜の食糧製造工場もあり、空は夜空……ドームの外にはテラが見える。
ところどころに太陽光を集めた広場、サン・テラスがあり、そこにホテル街ができている。
ここはいまや大娯楽都市で、マルスに移住できたマシなラスベガスの資本が牛耳っており、テラの小笠原ステーションとも宇宙鉄道がつながっているようだ。
先ごろこのルナ・ナイト・シティは、惑星テラに移管された、今のところ問題はないような……
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