ミコの女たちⅠ テラ・メイド・ハウス 【ノーマル版】

ミスター愛妻

ミコの女たち 第一短編集 テラ・メイド・ハウス 【ノーマル版】

第一章 シェリルの物語 母娘の絆

ハニーエンジェル


 ネバダの売春宿ハニーエンジェルで、ロリータ娼婦として、男たちの相手をしていたシェリル。

 あまりのみじめさに、母とともに死のうと話し合っていたその時、奇跡は起こった……


 一人の女が、幸運とともにやってきたのだ……

 運命は変転した、そんなシェリルたちの、幸せで平凡な日々を綴る……


     * * * * *


 アメリカ ネバダ州、ラスベガスから車で一時間ほどのベティ市の近くにある娼婦の館、ハニーエンジェル……

 US95に面している荒野の一軒家……

 ここでシェリル・オルコットは、娼婦を生業としていました。

 十三歳でありましたが、初潮は早かったシェリル。


 去年、シェリルの父は、多額の借金ゆえに、医者にもかかれずに死んだのです。

 母のグローリアは色々ありましたが、とうとう食べるために、夜に体を売る羽目となり、流れ流れてこのネバダの娼館に……


 もっとも借金の糧に、アメリカではありえないはずの、人身売買組織に売り飛ばされたというのが実情でした。


 ハニーエンジェルは名前とは違い、女たちにとっては地獄のようなところ……

 ボスである主人は、嫌がるグローリアを殴りつけ、妻にしてしまった……


 そして母親の目の前で、戸籍上は娘になるシェリルを女にした……


 以来シェリルは、昼間には母と一緒に館の主人に抱かれ、夜には上得意の客にだけ提供される、ロリータ娼婦となってしまったのです……


 もちろん十三歳の少女を提供するわけですから、いくら売春宿が合法のネバダといえど犯罪です。

 建前としてハニーエンジェルには、グローリア・オルコットとシェリル・オルコットは存在しない……


 当然スクールも行っていないし、館から外には出してもらえない、というより、地下室に監禁されているといってよいでしょう……

 ハニーエンジェルの母娘娼婦として、高額の料金を支払っても、通ってくる男たちの、ゆがんだ欲望のはけ口とされたのです。


 グローリアとシェリルは、いつしか抗う気力もなくして、ただ薄ら笑いを浮かべ男を受け入れる日々……

 それでも悲しいことに、女の身体は反応してしまうのです。


 ただ生理前の危険な日だけは、休みとなるのですが生理中は客が増えてしまう……


 そんな中、今度は十歳の少女が加わりました……

 なんでも母親に売られたそうで、ノーマ・ブラックストンという名前の、悲しそうな眼をした美少女……


 そのノーマも、遠慮なく主人は抱いて、苦痛の少女の顔を楽しんでいるようです。

 地下室の住人が、また一人増えました。


 ハニーエンジェルはさらに商売繁盛……上院議員なども顧客の一人、さらには警察関係……市の職員……ロリータ娼婦の話は、公然の秘密となりました……

 さらに今度は、余命いくばくもない女を加えます。

 骨肉種の痛みを麻薬で散らしている女……


 こんな方を抱く男がいるのかしら……シェリルの考えは甘かったのです……

 死にかけの女を抱いてみたいという男が、なんと多いことか……


 アメリカは今や火星への移住とか、内乱の噂とかで騒然としていますが、ハニーエンジェルはそんなことにはお構いなしに繁栄しています。

 そんな中、一人の女がやって来ました。



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