第6話アン&アンハッピー

 幸運の女神は浮気のようなその願いを叶えてくれた。

 自分の力にまた甘えてくると高を括っていたのだろう。

 しかしいくらたっても、俺が音を上げず杏に恋していたことに女神は嫉妬した。


「杏…」

 俺は病室で杏の寝顔を見て、頬に手をやる。

「拓未…?」

「お前がこうなっているのは、俺のせいだ」

「ばーか、そんなわけないじゃん。何様なの」

 うつろに回答する杏。

「いつも、言ってるだろ。俺には二人の女神がいるって。俺は杏という名の女神に恋をした。そして、天にいる女神にどうやら怒りを買ったらしい」

「はぃ、はぃ」

「俺に罰を与えればいいのに…」

「ばーか…」

 そう言って、眠ってしまう。

「どっちの女神も自分が思うがままに行動している。けれど、女神様よ、杏は自分勝手に行動しながらも、他の人のためになることしてるじゃないかよ!!それに比べてどうだあんたは。自分の思うがままに行動して人を不幸にしてるじゃないか!!」

 涙が出てくる。

「頼む、今までくれた分、不運でもいい。だから、杏を救ってくれよ…」

 

 俺は泣きながら、願った。

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