第23話~オフィシャル・プレイヤー現る!!~
「―――ごめんね剣君。私の為に」
みのりは先程の妨害プレイに巻き込まれて、すっかりしょんぼりしていた。
「あんなバカ共気にすることないさ。それよりみのり凄かったぞ!
すぐにドリフトをマスターするなんて、結構レースゲーム向いてるんじゃないか?」
「……えへへ、そうかな?」
良かった。剣のフォローもあってみのりはすぐに元気を取り戻したようだ。
「それにほら、『プレイヤーステータス』もレベル上がってる」
「……あ、ホントだ!」
みのりはプレイギアの『プレイヤーステータス』の画面で確認した。
☆河合みのり/プレイヤーレベル:1→4
[プレイヤーステータス]
・アクション:100→111
・シューティング:100→113
・ロールプレイ:100→116
・タクティクス:100→112
・スピード:100→110
・ブレイン:100→114
・ハート:100→120
・ミュージック:100→111
・ラック:100→115
[プレイヤースキル]
・なし
そしてクリアや勝利はしていないが、
「レベルアップは嬉しいけど500円って……なんかお小遣い貰ったみたい」
みのりは微妙な気持ちだった。
「勝ち負け関係なしにこうやって着々にレベルアップしていけば絶対強くなるさ、焦らないで行こうぜ」
剣は追加フォローで後押しした。
「…ねぇ剣君、今度はどうするの?」
「今度は俺が違うゲームでやる。見てろよ、みのりの仇は必ず取るからな」
剣達が向かったゲームは……
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PLAY GAME No.7
【|ソニックバトル・
・ジャンル『レースゲーム』
・プレイヤーレベル:21
概要・ルール
普通のレースゲームと特異な所は『アイテムによるレーシングカーのパワーアップ』と『多彩なドライブテクニック制度』である。
ドライブテクニックは、スタート時にタイミング良くアクセルを吹かしてスタートすると加速する『スタートダッシュ』や、ドリフトを継続すると一瞬加速する『ミニダッシュ』などを採用されている。
またコースの各箇所に『アイテムボックス』が設置されており、走行中取るとレースを有利にするアイテムがゲット出来る。
アイテムは
・『D』(ダッシュ)一定時間レーシングカーが加速する。
・『M』(ミサイル)前方または後方から一直線にレーシングカーを攻撃するミサイルを発射する。
・『T』(トラップ)相手を低速させる罠を後方から仕掛ける
など約30種類のアイテムが使える。
・クリア報酬/5000円&アイテム・スキル金宝箱2つ
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「随分破天荒なレースねぇ~」
みのりは少し呆れながらルール説明を傾聴する。彼女はあまり派手すぎるゲームは好ましく無いようだ。
「でもこの破天荒さが面白いんだ。ちゃんと戦術もしっかりしてるし、妨害はあっても対処は出来る。良くできたゲームだ」
早速剣はゲームに挑もうとするが…
「――オイッ!!てめぇら!!!」
怒号を浴びせたのは、見た途端に不興を買いそうなチャラチャラとした不良大人達。
こいつらは先程『F-1レーサー』でみのりとプレイしていた陰険プレイヤー。
ゲームを終えて、剣達に因縁を付けてきた。
「さっきはよくも俺達を侮辱してくれたな、クソガキが!!お陰で周りから変な目で見られてイライラしてんだよ!!
――世の中、ゲームは勝つことが全て!!!その為なら妨害でも、何でもやって勝てば良いんだろうが!!!!」
短気で清楚の無い大人のプレイヤーが理不尽に怒鳴りたてるが、剣は動じない。
「それはあんたが妨害しかセンスが無いからでしょ?
人の邪魔して勝ち取る勝利なんてみっともないだろ浮浪成人どもが、就職してんのかニートボケェ!!!」
相変わらず礼儀知らずなプレイヤーに対しては剣の毒舌が止まらない。
「何だとコラァ!!!!!」
(ヤバい!!ボコボコにされる!!!)
とみのりが思ったその時―――!
「―――やめませんか?」
陰険プレイヤーの剣に殴りかかる腕を誰かが掴み止めた。
「あ、お前は…【オフィシャル】…!!」
陰険プレイヤーはその男を見て狼狽えた。
「……誰だお前?」
「失礼。僕は『
――説明しよう!!
【オフィシャルプレイヤー】とは、ゲームワールドを管理している
日本でも地域ごとに数人いる他、世界各国にもオフィシャルプレイヤーが存在する。
そしてこの天野槍一郎は剣と同じ高校生、だが剣とは対称的に長身で優しそうな面構え、そしてスタイリッシュなメガネが目印のインテリ系な感じだ。
「先程の『F-1レーサー』から一部始終を見ていました。確かにこの人達の妨害行為には目に余る所が感じます。
ちょっとここは僕に免じて、事を収めてくれませんか?」
槍一郎は剣と陰険プレイヤーに向かって丸く収めようとした。
しかし陰険プレイヤー達は、「あんなの反則のうちに入らないだろ!!」と、猛反発。
「現にみのりがお前らの嫌がらせで不快にさせてんだろ?大人なんだから潔く認めたらどうだ、弱そうな癖に!!」
全く……剣もよせば良いのに言い返す。
「何ぃぃ!?だったらお前は俺らに勝てんのかやってみろよ!!!」
「上等じゃねぇか、ブッ飛ばしてやるよあ゛ぁ!!?」
(――剣君、もう私じゃこの喧嘩止められないわ…)
みのりは悟るように諦めモードで見守っていた。
「――ちょっと待ってください!!これじゃ収まりが着かないですよ。……こうなったらゲームでの揉め事は、ゲームで着けるしか解決できませんね」
これぞ大人の対応と言うべきか、槍一郎の提案1つで互いのフラストレーションを急速に下げていった。
「………ゲームで、ってどんな風に着けるんだよ?」
構えていた右腕を収めて、剣はしかめっ面で槍一郎の案に乗り掛かる。
「――君が『桐山剣』君だね?」
「な……!?何でお前が俺の名前知っているんだよ!」
剣が驚くのも無理はない。誰でも初対面の人に名前を知られていたらぎょっとするだろう。
「大した事じゃない、風の噂で君の名を知っただけ。そこでなんだが……
――その実力、僕に見せてくれないか?
僕が審判役になって、君とこの人達で『F-MAX』で勝負して確めさせてくれ!!」
「――!!」
剣は力量を試されているのか、或いは陰険プレイヤーの悪事の決定的瞬間を見たいのか、その真意は定かでは無いが……
「………あぁ分かった、その案に乗るぜ」
剣は槍一郎から放つ『強者のオーラ』を感じ取っていた。
――桐山剣と天野槍一郎。
この二人の出会いの先には何を意味するのか………!?
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