第13話 連絡
早川美津紀という出会い系サイトで知り合った女とは仲良くなってきた。あまりにも上手くいき過ぎていて、ちょっと怖いくらいだった。
今日、俺は仕事が休み。美津紀さんは何をしているだろう。
今はスマホを見ると10:36と表示されている。
メールを送ってみるか。そう思い、そのまま本文を開いて打ち込んだ。
[こんにちは! 美津紀さん。何してるの?]
と、入力し送った。
そして昼時にメールの返信があった。内容は、
[こんにちは。今、仕事終わって帰ってきました。メールありがとうございます]
すぐに返信した。
[もし、良かったらメールじゃなく電話番号交換しない?]
俺は無理を承知で訊いてみた。
それから30分くらいメールは来なかった。
それを教える気にはならないのだろうか。そして、
[もう少し伊勢川さんのことを知ってからでもいいですか?]
やはりそうきたか……仕方ない。
[うん、いいよ]
[すみません]
[いや謝ることはないよ。その方がもう教えてもらえないのかなと思うからさ]
そこでメールはストップした。
俺は、
「はあーあ……」
と、溜息をついた。
「なかなか上手くいかないな、まあ、仕方ない。切り替えて、小説を書くか」
俺は居間の中央に設置してある、テーブルの上にあるノートパソコンを立ち上げた。たまにはスケベな画像でも見るか、と思ったがあまりその気になれないので止めた。女と結ばれたのはいつ以来だろう。思い出せる範囲では数年前だ。
病気になって通院するようになり六年が経つ。それからというものの、俺の三大意欲が大分低下した。
体の為にと思って最近では煙草と酒を止めた。
俺は何が生きていて楽しいのか分からなくなっている状態だ。
小説を書こうと思ってパソコンは立ち上げたが、書く気が無くなり止めることにした。
友人の
「もしもし」
『あ、晃。久しぶり。最近、連絡してないからどうしてるかなって思ってたんだ。さくらも晃の小説読みたがっててさ』
「そうなのか。そいつは嬉しい。モチベーションを上げてくれるのはさくらちゃんだけだな」
麻沙美は自分が俺の小説を読んでいないからだろう、黙ってしまった。なので、
「麻沙美。俺の小説読んでいないことは気にしなくていいよ」
『え? でも……』
俺は笑みを浮かべながら、
「そうやって気にしてくれてるだけで充分だよ」
『そっかぁ、ありがとね!』
「今から遊びに来ないか? さくらちゃん連れて」
『あ、さくらは今、遊びに行っているのよ』
「じゃあ、麻沙美だけでも来ないか?」
『うーん、二人っきりかぁ』
麻沙美は何を考えているんだ、と思ったので、
「何もしねえよ」
と、強い口調で言った。すると、
『そうよねぇ。相手があたしじゃ手は出さないよねぇ』
俺はそれを聞いて苦笑した。
「そういう意味じゃないけどな」
話の成り行きで麻沙美は一人で来てくれることになった。
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