第59話 ヨーロッパ救出作戦
2023年(令和5年)10月10日【地球衛星軌道上 月面=マルスアカデミー地球調査ラボ『ルンナ』】
火星日本列島種子島からマルス・アカデミーシャトルに搭乗した結達ヨーロッパ救出部隊は、約10日という驚異的な速度で月面に到着した。
超長距離を高速で航行する場合、普通の人間は身体に著しい負担を感じる為、結以外の搭乗者は半冷凍睡眠カプセルで心身を保護しているので、シャトルの操縦席から視界一杯に拡がる月面裏側の威容を見ているのは結だけである。
シャトルを月面地表部分に近づけさせた結は、東山や自衛隊・英国連邦極東・ユーロピア共和国合同救出部隊の軍人・技術者達が眠る半冷凍睡眠カプセルを覚醒モードへと移行させると、センサーを使ってルンナラボの入り口を探し始める。
月の裏面は表面以上に岩石とクレーター痘痕が目立ち荒涼としているが、結がかつてシャトルナビゲーター(航法装置)だった頃の記憶を辿ると、彗星の直撃で出来たクレーターの底にラボ施設が剥き出しとなっている箇所を発見した。
「……見つけた」
結は小さく呟くと、半冷凍睡眠から醒めた東山、列島各国特殊部隊員と共に、ウェットスーツに似た美衣子謹製『宇宙服』を着用してシャトル外へ出るとクレーターの底へ向かうのだった。
「……うわぁ。真っ暗な人工通路に得体のしれない雰囲気……エイリアンが潜んでいるいる様ようですね」
思わず声を震わせて呟くへっぴり腰の東山。
「……エイリアン?此処に居るけど?」
コテンと首を傾げて自らを指差す結に、東山の背後に続く特殊部隊兵士達から笑い声が上がる。
「そうだった。失礼しました。エスコートお願いします、結さん」
「承知したわ。後で貴方の分のレトルトのデミグラスハンバーグを寄越しなさい」
恥ずかしなって恐縮する東山をゆする結。背後で周囲を警戒する特殊部隊は笑いを堪え続けている。
先導する結に従ってラボ内部へ進んで行く一行だった。
『ルンナ』ラボ内部は照明が落とされて漆黒の闇だったが、構造的には火星衛星ダイモス宇宙基地に類似している様だった。
もっとも、ダイモス宇宙基地の原型がルンナから来ているので当然なのだが。
やがて施設入り口近くに有ったラボの端末を操作して照明を復活させた結は、『ルンナ』メインサーバーへのアクセスに成功し、サーバーを制御する管理室を目指すのだった。
30分後、広大なラボ内部を突き進んでメインサーバーを制御する管理室に到着した結は、尖山基地管理をしていた頃の要領を活かして『ルンナ』ラボ機能を次々と復旧させていくのだった。
「東山、ドックのシャトル格納庫も電源を回復させたわ。地球へ降下させるシャトルを見に行くからついて来なさい」
地球降下のカギを握るシャトル格納庫を探し出した結は、東山と特殊部隊兵士達を連れて、更にラボの奥深くへと向かうのだった。
1時間後、特殊部隊に随行していた英国連邦極東・ユーロピア共和国の工兵部隊に所属する技術者達は、東山や特殊部隊よりも遅く半冷凍睡眠モードから目覚めると、地球降下に適した10数機に及ぶ巨大なシャトルの整備・操縦方法について、鬼軍曹モードになった結から指導を受けるのだった。
結から指導される既存の航空・宇宙常識を超越したマルス・アカデミー技術に仰天しつつも、火星シドニア地区でゼイエス博士から段階的技術承継を学んでいた技術者達はシャトル運用方法を何とか理解すると、新しくおもちゃを手にした子供の様に目を輝かせてはしゃぎつつも、一刻も早く地球上に取り残された同胞を救うべく、慎重かつ懸命にシャトル整備に取り掛かるのだった。
♰ ♰ ♰
2023年(令和5年)10月15日【欧州各地の主要都市又は主要軍事施設周辺地域】
北半球一帯に降り注ぐ火山灰に塗れながら、荒廃した建物の中で寒さに震える人々は、まだ電源が生きていた携帯ラジオやスマートフォンから流れる呼び掛けを聴くと、一瞬自分の耳を疑うのだった。
『ヨーロッパ地域の皆さん。私達は火星に転移した日本在留イギリス連合王国とEUの臨時政府です』
『現在、私達は日本国政府及びマルス・アカデミー=火星文明支援のもと、火星から宇宙船を派遣してヨーロッパ各地に在留されている日本人と、地球から救出を希望する方々を収容する準備をしています』
『救出を希望される方々は、これから指定する場所まで集合してください。
……極めて困難な状況だと思いますが、2日後、私達は指定場所へ必ず到着いたします。そして、集まった全員を救出します。
それまでは、どうか最寄りの指定場所で今しばらくの待機をお願いいたします』
日本駐在EU大使だったユーロピア共和国ジャンヌ首相の声で、各地の指定場所が告げられていく。
『生き残った皆様に神のご加護を……』
最後にジャンヌ首相の祈るような言葉で呼び掛けは終了した。
この日、欧州特定地域へ行われた呼び掛けは、3時間毎に発信された。
「……何だよこれ?」「助かるかもしれないぞ!」「どうせプロパガンダだろ。アース何とかという奴のプロパガンダだよ!」
寒さに凍えて固まった顔に、久しぶりに感情を浮かべた避難民達は顔を見合わて希望や疑念を口にすると、僅かに生き残っていた警備の兵士や警官の元へ情報を確かめようと詰めかけるのだった。
呼び掛けの少し前に軍用周波数で救出部隊と交信していた生き残りのNATO(北大西洋条約機構)軍関係者と各国残存政府組織は、ざわめく避難民をなだめ、取りまとめるとヨーロッパ各地に指定された場所へ向かうのだった。
♰ ♰ ♰
――――――2日後、10月17日午前8時【スカンジナビア半島 スウェーデン ストックホルム郊外】
事前の呼び掛け通り、雪雲と火山灰で覆われたどんよりとした空を突き破るように現れた巨大な二等辺三角形をした宇宙船編隊を見た避難民達から歓声が沸き起こる。
彼らは、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマークの生き残り14万人であり、残存NATO軍部隊が設営した難民キャンプで迎えが来るのを待ちわびていたのである。
都市郊外の広場にゆっくりと着陸した巨大なマルス・アカデミーシャトルから降りてきたユーロピア共和国・英国連邦極東特殊部隊と自衛隊特殊部隊員は、雪と火山灰と垢にまみれた避難民達をシャトル船内へと誘導すると、直ちにルンナラボへの輸送を開始した。
ゆっくりと上昇するマルス・アカデミーシャトルの窓から、雪と火山灰に覆われた大地が遠ざかっていき、やがて漆黒の宇宙空間、灰色の岩石が散らばる月面へと変貌する光景を信じられない面持ちで眺めていた避難民達は程なくして月面内部のルンナラボ格納庫に到着するのだった。
同行していた特殊部隊に誘導されてルンナラボ「仮居住区」に着いた避難民達は、提供された軽い食事とシャワーで身体を洗って休憩した後、日本人は東山に連れられて別室へ移動し、それ以外の避難民は火星との惑星間通信でユーロピア共和国ジャンヌ首相と初めて面会し、火星日本列島についての説明を受けるのだった。
説明後、全員が火星ユーロピア共和国か英国連邦極東への帰属を希望した。
その中には昔、阪神大震災で傷心だった幼い西野ひかりを暖かく迎え入れてくれた老夫婦も居た。
♰ ♰ ♰
――――――同日、午前10時【イングランド島北部 グラスゴー海軍基地の沖合 英国連邦海軍 原子力潜水艦『ヴェンジェンス』】
「……そろそろだ」
暗い海面に浮かぶ原子力潜水艦のセイルから身を乗り出して上空を眺めていた艦長のグリナート大佐が呟く。
やがてグリナート大佐の頭上、暗い雪雲の合間から二等辺三角形が特徴的なマルス・アカデミーシャトルが隊列を組んで姿を現すと、陸上の難民キャンプから歓声が沸き起こる。
海面上昇によって水没した海軍基地周辺に行った呼び掛けに応えて集まったのは、基地守備隊だった英国陸海軍の生き残りが保護していた避難民10万人だった。
避難民保護にあたり、イギリス海軍はグラスゴー海軍基地を母港としていた原子力潜水艦『ヴェンジェンス』の原子炉から送電ケーブルを繋いで陸上の避難キャンプへ電力を供給していた。
「……でかいな」
全長500mの巨大シャトルに驚くグリナート。
頭上に姿を現したマルス・アカデミーシャトルはどんどんと降下するに従って、潜水艦や陸上の難民キャンプが陰となっていき頭上に圧迫感を感じる様になると、歓声が収まっていき、戸惑うような騒めきに変わっていく。
潜水艦の甲板でも、当初は歓声を上げて手を振っていた水兵達の顔は強張って、中には跪いて十字架を掲げて神に祈る者も出始めた。
「……まずいな、これは」
顔を顰めるグリナート。事前に軍用通信で知らされていた彼だから救出部隊に違和感をそれほど感じないが、避難民からすれば威圧的な巨大さに畏怖して無用な混乱を起こす者が出るかも知れない。この期に及んで警備部隊と避難民の間でもめ事は起こしたくなかった。
対応策を懸命に考えるグリナート大佐の頭上が不意に明るくなると、何かの音声が聴こえてくる。
ふと顔を上げると、頭上のマルス・アカデミーシャトルの側面側に巨大なホログラム映像が現れ『007シリーズ』の上映が始まっていた。
毒気を抜かれたグリナート大佐や避難民達がホログラム映像に気を取られているうちにシャトルは避難民キャンプ付近に着陸すると、ホログラム映像のすぐ下のハッチから支援物資を山積みにした英国連邦極東軍のジープとトラックが下船して避難民に物資を配布しつつ、シャトルへ乗船誘導していく。
意表をついた007映画の上映と支援物資の配布でマルス・アカデミーシャトルを畏怖していた空気は霧散し、避難民の収容は円滑に進むのだった。
避難民は幾度かに分かれてマルス・アカデミーシャトルに搭乗していき、月面へピストン輸送されるのだった。
また、沖合に停泊していた海軍の原子力潜水艦『ヴェンジェンス』他数隻もシャトルに収容されてルンナラボまで輸送された。
真空の宇宙空間でも使用可能なように推進機関や、武装を換装するためである。
ルンナラボに到着した避難民と陸海軍将兵達は、惑星間通信で英国連邦極東ケビン首相と面会し、火星日本に建国された英国連邦極東の説明を受けた。
軍民問わず全員が、火星日本の英国連邦極東への帰属を希望した。
♰ ♰ ♰
――――――同日、午後1時【アルプス山脈南西部麓のフランス共和国・スイス連邦国境地帯】
スイス連邦は、大変動による巨大地震でアルプス山脈が大規模山体崩壊を起こし、国土の西半分が潰滅、交通が寸断されていた。
ユーロピア共和国ジャンヌ首相がこの地域に呼び掛けを行った結果、フランス陸軍の生き残りやベルギー、スイス、ドイツ、オーストリア等近隣諸国からの避難希望者20万人が集まった。
変わり果てた故郷を目にして人知れず涙を堪えるユーロピア共和国特殊部隊と自衛隊特殊部隊が寒さに凍えていた避難希望者全員を収容すると、ルンナラボへ帰還した。
♰ ♰ ♰
アルプス山脈麓に集まった避難民の収容中、日本国特使に任命された東山はアース・ガルディア米派閥のソーンダイクと密かにマルスシャトル内部で面会していた。
「アース・ガルディアのスペースコロニー環境は現在大変に劣悪です」
疲れきった顔でアース・ガルディア英語圏代議員兼民生局長であるソーンダイクが東山に実情を訴える。
「衛星軌道上のコロニーには収容限度3000人に対し、7000人もの避難民が文字通り詰め込まれています。少ない水と食糧で人々は餓え、衛生状態が悪化してコロニーの治安は悪化しています。暴動の有ったコロニーはイゴール総代表の命令でアンゴルモア艦隊が出動してコロニーごと宇宙空間で爆破分解されました」
東山は想像を絶する状況に絶句した。
「我々アース・ガルディアは火星の占領よりも、地球圏で安全地帯を拡げる方が急務なのです!」
ソーンダイクが言った。
「出来うるならば、貴国が使用しているシャトルの1機でも、避難民の収容に使えないだろうか?」
ソーンダイクが懇願する。
「シャトルは全て火星に向かうために必要です」
東山はシャトル貸与を拒否しながらも、事前に『結』とこの件で相談していた代案を思い出していた。
「もし、ソーンダイク代議員が日本国政府に協力して頂けるのならば、月面基地に仮設居住区を設け、そちらにあなた方の仲間を収容されてはいかがでしょう?"たった"50000人程度ですが」
東山がソーンダイクに提案した。
ソーンダイクは協力を確約し、情報提供を約束するのだった。
♰ ♰ ♰
――――――救出作戦翌日、午前1時【地球衛星軌道上 月面 マルス文明地球観測ラボ『ルンナ』】
ヨーロッパ地区に取り残されていた生き残りの日本人と、欧州諸国避難民を収容した結は、ルンナラボのサーバー管制室から火星の『姉 美衣子』に状況報告をしていた。
「姉さま。地球からの避難民を収容したわ」
『いい仕事ぶりよ。姉さんも鼻が高いわ』
『それでどれくらい収容したの?』
「約44万人」
『まあまあね』
「原子力潜水艦とやらも8隻収容したわ」
『大漁ね』
「手応えは有ったわ」
『それで44万人の輸送方法は?』
「輸送専用シャトルを火星往復用に改造中。完成したら1機あたり1万5000人を半冷凍睡眠状態で輸送する事ができるわ」
『潜水艦はどうするの?』
「ラボの電磁カタパルトは生きていた。だから打ち合わせ通り無人で打ち上げるわ」
『『ルンナ』の扱いはどうするの?』
「……妹にするわ」
『まあ、姉ポジションを欲しがるなんて欲張りね。恐ろしい子』
「褒められると照れるわ」
『そっちに人工知能思念体を移植できるクローンは居るの?』
「地球動物の生体標本が有ったから……どれか使うわ」
『お部屋に入るサイズでお願いね』
「……分かった。マンモスは諦めるわ」
『新しい妹を楽しみにしているわ』
「妹マスターの私に任せて!」
フンスと鼻息荒く結が答えると通信が終わった。
「さて、どれにしようかしら。コアラか、パンダか、イェティか、モス・マンか……悩むわ」
結はNEWイワフネハウスの部屋サイズを思い出しながら、思念体の宿主を探しに生体標本室へ向かうのだった。
♰ ♰ ♰
「ソーンダイク代議員との会談は以上です」
東山がサーバー管制室のメインスクリーンに映る岩崎官房長官に報告した。
『ふむ。……とても火星に攻め込んでいる場合では無いですね』
岩崎が納得した様に言った。
『それで、彼らは我々にどの程度の『協力』をしてくれるのでしょう?』
岩崎が訊いた。
「ガルディア軍の編成情報と、地球上における残留日本人の保護です」
『たったそれだけの成果を上げるためだけに、東山君はわざわざ地球へ行ったのですか?』
「失礼しました!ルンナラボをソーンダイク派閥へ提供する代わりに、アース・ガルディア内部で政権交代を目指すように働きかけます。それと、旧アメリカ海軍の原子力潜水艦を確保します」
東山が言い直した。
『よろしい。外交とは真正直なだけでは成り立ちません。国家繁栄の為にそれぐらいは大胆に欲張りなさい』
岩崎が頷いた。
岩崎官房長官への報告を終えた東山は休む間も無くソーンダイク派閥と連絡を取り続けるのだった。
♰ ♰ ♰
東山と通信を終えた岩崎官房長官は、美衣子がいつの間にか後ろに立っているのに気が付いた。
「おや。こんにちは、美衣子さん」
振り向いて挨拶する岩崎。
「こんな夜更けに申し訳ないけど、少しあなた達にお話したいことがあるの」
美衣子が言った。
「では、澁澤の部屋でお聴きしましょう。ちょうど彼も一仕事終えたようです」
総理大臣執務室の応接セットで澁澤と岩崎が美衣子から、とある事象についての説明を受けようとしていた。
「まず、2年後にあの宇宙国家は確実に火星に来るわ。それも強大な戦力を整えて。だからその為の準備を始めた方が無難よ」
アース・ガルディアの再訪を予知して伝える美衣子。
「それと、これが実は本題よ。日本列島がマスターゼイエスのセットした装置で転移した事は分かっていると思うけど、その原理をあなた方だけに伝えておくわ」
美衣子は縦長の瞳孔でじっと二人を見ると話し始める。
「私の800万環境維持システムは常に、日本列島の様々な生物の『声』を聴いて、それに適合した環境を作り出すの」
「私のシステムに現在一番の影響を与えているのは人間……つまり日本人よ」
「日本人の多くが恐怖を感じたり、強く念じる事があると私は『自動的に』反応してしまう」
「そして、日本人の多くが地球から来たアース・ガルディアに対して危機意識を強く持ち始めた。これは、あなた方が地球で核戦争に巻き込まれる前夜の状況に似ている」
「もし、アース・ガルディアが日本列島に大規模な攻撃を仕掛けたら、日本列島はまた転移してしまうわ」
「転移先は私達"マルス文明の基準"で設定された最も安全且つ最適と思われる場所になるけどそれはまだ言えない。私も『その時』にならないと分からないから」
澁澤と岩崎は唖然としながら聴いていた。
「だけど、その時が近付いているのは確かよ。
だから、なるべく地球や日本列島の外に居る国民を戻すべき。日本列島が転移した後に地球がどうなったか。火星が日本列島の転移を受けてどの様に激変したか。日本列島の外は危険だわ」
二人は目をつぶって火星に転移した時の混乱ぶりを思い出していた。
目を開けると、既に美衣子はそこに居なかった。
その日、急遽緊急閣議が開かれ岩崎官房長官から、過度に国民の恐怖感を煽ると日本列島が再び未知の世界へと転移してしまう可能性がある事が閣僚たちに伝えられると集まった閣僚は絶句した。
そして、今後のマスコミ報道や政府公報では事実に基づかないセンセーショナルなジャーナリズムを控える閣議決定がなされた。
この日、閣議後の官房長官定例記者会見で岩崎は、
『私達は今も、そして今後も、未知の火星大地や様々な世界を知ることになるかも知れません。しかし、それは常に日本人にとって危険な事だけではありません。
私達がマルス文明という友好的な異星文明と縁を結んだように、希望も常にそこに有ることを皆様の心に留め置いてください。
その趣旨をマスメディアに従事する方も強く認識していただきたいのです』
現状を悲観せず、希望を持って欲しいとマスコミを通じて呼び掛けたのだった。
「岩崎はやはり優秀ね」
地下の研究室でホログラム中継映像を見ながら美衣子が呟く。
「それにしても、まだ国民の意識は鈍感ね。なんかこう、パーっと変えられないものかしら……」
最近富みにクールになりつつある46億歳の生き神とも言える美衣子は、ざっくばらんに考えると、大月とひかりにとある相談をするために夫婦の寝室へ向かうのだった。
――――――
ここまで読んで頂き、ありがとうございましたm(__)m
【このお話の主な登場人物】
・大月 満= 総合商社角紅社員。
・西野 ひかり= 総合商社角紅社員。社長の孫娘。
・西野 美衣子=日本列島生態環境保護育成プログラム人工知能。
・鷹見 結=マルス文明尖山基地管理人工知能だったが、日本列島生態環境保護育成プログラム2号機としてマルス人クローンに移植された。
・イワフネ=マルス人。第3惑星調査隊長。
・澁澤 太郎=日本国総理大臣。豪胆。
・岩崎 正宗=内閣官房長官。政治の裏表に精通。
・東山 龍太郎=内閣官房首相補佐官。西野の大学同期。
・ソーンダイク=宇宙国家アース・ガルディア、英語圏代表代議員。
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