悪役令嬢はお疲れのようですよ…。

にのまえ

第1話 悩める悪役令嬢。

 みんなが楽しく、テラス席で昼食をとったり楽しくキャハハ、ウフフとおしゃべりする声を聞きながら、恨めしそうに見つめる私。


「あぁ…キリキリする」


 昼食後のテラスでわたしだけが、お腹を押さえて顔を青くしている。


「大丈夫? ルナ」

「えぇ、いつものストレス性胃痛ですわ」


 この原因は、私が悪役令嬢などと呼ばれているせいですわ。あのバカ王子の婚約者と言うだけで…こっちはダンスに礼儀、毎日毎日嫌っていうほど、花嫁修業なのに他の子達は、のほほんと言いたいことだけ言えて羨ましいですわ、わたくしも早くそうなりたですわ


 あぁ…キリキリする。王子とピンクの事を考えただけで、イライラ治りません


「あっ! なんかやばい、ちょっと薔薇の木を伐採しに行って来ますわ」


 まったく、おバカなわたくし…今日はいつもよりイライラが絶頂で3つもケーキを食べ過ぎてしましたわ

いちごのケーキにチョコケーキ、チーズケーキとっても甘く美味しい、楽しい時間を過ごしたというのに


「早く、行きなさいよ。ルナ」


 呆れた声のレリスは、手を振って見送くる。


「図書室にいるね」

「えぇ。では、ごきげんよう」


 そう言うと血相を変え猛ダッシュでトイレに向かう。


「ここを曲がれば!」


 

角を曲がろうとした時に、わたしの前に黒い影が…あ、誰かいる!


「きゃっ!!」

「ルナールか、何をそんなに慌ててるんだ」


 うわぁっ、この声はバカ王子ですわ。なんでこんな所に隣にリリーまで、ベッタリとくっついてますわ…あぁ、まったくついてない!


「わたくし、いま急いでるので」

「おい」


 王子の手が伸びてきて、わたくしの腕を掴む、やばいですわ。


「ごめんなさい…本当に緊急事態なの、離して!」


 うるうる涙目で王子を見つめる。早く行かないともう限界なのと、王子にはわからないでょうがね。


「あぁ…引き止めて悪かった」


 王子が何かを察知したのか、はたまたわたくしの焦り具合をみて焦って腕を離した隙に平静を装いお嬢様らしく会釈をして。


「では、ごきげんよう」


 あと少しですわ。ここは何もなかったように優雅に歩いて…おトイレへ。


「大丈夫、間に合いましたわ」


 ホッと胸を撫で下ろし、ほんと、やばかったでわ。あぁ、キリキリキリするわ。

あんな所でバカ王子とピンクに会うから余計に。


「医務室に、お薬をいただきに行きましょう」

 

 そうと決まれば、医務室に足を向けます。

 図書室でわたくしを待っているレリスには少し待っていてもらって…

 もう何度も訪れて見慣れた扉を開けお腹を摩りながらお願いします。


「先生、薬…」


 先生は、私を見るなりニコッと笑って、椅子から立ち上がっり早足で両肩を掴んで凝視する。


「ルナール! あなたったらケーキ3つも食べたんですって!!」


 先生ったら、お腹を押さえて爆笑してますわ。


「ここにくる前にレリスさんを見かけて声をかけたら『ルナールったら、昼食とケーキ3つも食べたんですよ』って、お腹壊して薬を貰いに来るの分かってたから」


 あぁなんて事、先生に筒抜けだわ。レリスめ


「はい、これ用意しといた」


 水の入ったコップと薬を手渡された。


「ありがとうございます」


 コップと薬を貰って飲んでると、先生は哀れみの表情だ。


「あなたも、大変よね」

「そうなんですのよ。他の方にはいいだけ言われ、王子に婚約破棄を願い出ても聞いていただけなくて」


 嫌がるお父様に必死にお願いして。婚約を白紙に戻すようお願いしてもらっているというのに、決して首を縦に振ってはくださらないの…王子には、リリーがいますのにね


「あなたの頭脳と魔力を手離したくないだけでしょう?」

「でも、近くにいますわ、お馬鹿ですけど魔力だけは一流のリリーが…」


 王子とリリーって異常なくらい相思相愛ですわよね…何か王子の弱みでも握っているのかしら?

 あと、やってもいないことを、おっしゃるのやめていただけないかしら…

それが一番ストレスの原因。

 

 私、リリーの教科書なんて破いた事もありませんし、嫌味や恐喝まがいもいたしておりませんのよ。

 だいたい、まだ一言も会話すらしてませんのにね…。


 …果たして、私は婚約破棄が叶い…

このストレスとおさらば出来るのでしょうか…。


 どこかの国の優しい王子様が、白馬で迎えにきてくださればいいのに…切実。




 まったく、どちらが本当の悪役なのかしらね…。

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