プロローグ 殺す理由

 誰も迎えに来てくれなかった。ここにいる理由はそれだろう。誰も迎えに来てくれなかったからこんな場所にいて、殺し続けているのだろう。

 少女は結論を下し、自らの手で息の根を止めた生物の体から日本刀を抜き、血振りして見下ろす。

 この生物はどこからやってきたのだろう。

 この生物はどこへいくのだろう。

 常にそんなことを考え、少女は戦っていた。命令されているから殺しているだけで、この生物に恨みなどない。

 故に少女も同じだった。

 存在がわからず。

 理由もわからず。

 どこからやってきて。

 どこへいくのだろう。

 わかる者はおらず、いたとしても教えてくれない。

 普通ではないのだ。

 この生物と同じ、異端な存在だった。

 ──いっそのこと、全部殺してしまえればいいのに。

 儚い想いに焦がれ、消し去った少女はようやく顔を上げる。

 血のように真っ赤な夕日が少女を照らし、透き通るような白い髪が風で靡く。その姿は正に異端で、美しかった。

 金に輝く瞳で夕日を眺める。あの夕日も、どこに落ちていくのだろうと考えながら。






 少女は自分の存在リーゾン理由ディティールがわからない。

 故に、こんな所で立ち尽くしているのだ。

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