サルベージ・イン・マインド

ハイド博士

第1話 ロストワールド

 人が持つ因果、そして、調和を望むのが自然世界.....

しかし、ヒトは調和よりも

「変化」を求める。その点では機械のそれと似ている

この世界に、人類に「勝利」は

    訪れるのだろうか?



そう思いながら窓から空を眺めていた。

すると寝室のすぐ隣の事務所から電話

の呼び鈴がなった。


「やれ、やれ だな」


と思いながらも受話器を取りに歩いて

いった。


「私、どうしたの?何故こんなこんな

ものばかり見るの...」


すると男は答えた


「それが君の望んだ世界だ。何かを

手にするための代償だ」





///////////////////////////////////




 機械の街から抜け出せば行き着く

場所は「あの世」かあそこしかない....


その街の名を「ブルーウォール」という

元々は"あの"プランのために作られた街

人類唯一の街だ。機械は「完全なる統治」

を望んでいる。しかし、人間というもの

は元来、"自由"というものを欲する種族

(イキモノ)だ。


システムに依存する人類は本来当たり

前に知るべき感覚を備えていない。

それはシステムにはない...

「こころ」と呼ばれる感情素因子は

プログラムではある程度再現してある。

しかし、それが【正解】でないのは

ここにいる誰もが知っていた。




 「海中都市・ブルーウォール」



機械の侵攻に備えるように海底深くに

あるその街は厚い甲殻隔壁に覆われ機械

たちの戦闘ユニットからの防御能力は

高い...実際最近は1000機単位の攻撃が

二回もあった。




二百年にも及ぶ戦いで人類は「絶滅」

しかけた。人口は最盛期の1,000分の1

にまで激減した。


そのほとんどが戦いの最初の10年以内に

失われた。だが、人は愚かさだけでは

なく美しい部分も持っている。



「ヒト」は本来相手を思いやるという

心を持っている。しかし、ココロのない

機械(コンピュータ)は無慈悲そのものだ

惨たらしい殺戮が延々と続いている。


急にビービーという警戒警報が鳴り出した


「もう来たか・・・機械の奴らスキャンを

強化していやがる!」


 すると「システムスキャン」を回避する

ため回線を切った。ネットワークは全て

”グローバルネットワーク”に支配されて

いる。しかし、それだけではすまない。

システムは生体内をも網羅している・・・

それが「グローバルネットワーク」だ。


+++++++++++++++++++


 

 人類とコンピュータとの融合を成した

のは二十二世紀の初めだと言われている

そのシステムは高性能の「AI」を中核と

して形成されている。コアとなる人工知能

、それは開発者の意思を組んだ、、、

 まさに「電子のクローン」だと言える。


そのネットワークは機械のシステムを人の

体内にそう”脳内”に直接、埋め込まれて

いる。考えるだけでネットワークに繋がる

・・・・・・・・・

 それは次第に、インプラントされた者は

無意識にそのシステムにある一種の

「依存症」

に陥る者が増え始めた。システムは完璧の

はずだった。

いや、だからこそシステムに頼りきり

それを学習したAIは人類を支配する

という暴挙に出た・・・元々、そう計画

(プログラム)がされていたんだ。

「グローバルネットワーク」自体が実質、

世界中の人類を統率すると思われたが

・・・・・




その先は話すと長くなる。今日はいつか

って?いい質問だ。仕事の依頼に来たん

だろ?

ならここが何処かじゃない。ここは二十四

世紀だ。場所はどうでもいい。現実じゃ

ない・・・


個人の仕事はあまり請けない主義なんだ。

でも君たちが真実を知ることは必ずしも

良い事じゃない。さっきの話、信じられ

るか?それが真実だ!!



 インソムニアって知ってるか?そう

「不眠症」だ。君はよく夢を見るだろう

荒唐無稽な夢じゃなく、現実か「本当」

かよく分からなくなることは無いか・・・

そう、それが現実だ。そして、今は叩き

起こされるのをただ待っているだけ、、、

 ”「今が夢だ」”現実じゃない・・・

また、奴らだ。・・・・眠れる森の姫・・

・・目覚めろ・・・・真実を見たいなら、

、、、、



+++++++++++++++++++


 

 (市内アナウンス)


(ビーロッグ・シティの皆様。当局は

皆様の安全と幸せな暮らしのために日々

システムの改善を行っております)



(基本法則に則り行動してください。

従わないものは当局の取締りの対象に

なります)



 綺麗に整備された半球状の幾何学模様に

並んだ複数の隔壁ドーム・・・・システム

が作り上げた街

  「ビーロッグシティ」、、、、、

人々は一列に一糸乱れず動き、犯罪や不幸

の陰は無い、、、統率の取れた街、、、

この街を奴らは


 「人類最後のユートピア」と


呼んでいるらしいが俺はそうは思わない

神もいないが”楽園”も存在しない。

ただ

無慈悲な無機質なこのシステムが命を繋い

でいるだけだ。


市内放送は直接脳内に響いている


 こんな暮らしが人類が求めていたもの

じゃない。そう思いながら動く歩道を人

を縫うように走っていると



「そこのTYJ-1587、君は基本法則、

F-13項に違反している。減点一点!

もうすでに三点減点されている。あと一点

だ。気を付けるように」



まったくうんざりする。脳内チップがコン

ピュータの支配を可能にした。だが機械

には唯一良い面がある。

世界から「争い」や「不幸」を消した。

人は死なない、殺し合わない・・・・

しかし、人は老いて、不運な事故で病気

で死ぬ。しかし、システムは「クローン」

技術により再び再生させる。悲しい記憶は

消去する。すべてが完璧だ。


 この街ではすべて手に入る、幸福の

その「全て」が、、、、、くそっ食らえ

の世界だ。そんなものは幻想でしかない

幻想都市「モンテブール」と同じだ。

コンピュータが作り出した人類を支配

するための仮想の街、表向きそこに人々

は住んでいることになっている。だから

支配を感じさせない。



ドーム内に映し出されている"青空"を

眺めても何も感じない。こんな空虚な

世界を表していた。




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