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「すみません、本当にごめんなさい!」
誠治さんのバーからほど近いファミレスで、彼は開口一番謝った。
「……貴方、一体何者なの?」
おしぼりでコートの袖口を叩きながら私は問う。
先程右手が冷たいなと思ったのは、動揺のあまりワイングラスを倒してしまったからだったらしい。
用意周到に染み抜きペンまで出してくれた誠治さんを振り切る様に会計を済ませ、バーを飛び出してきてしまった。
薄紫色のシミは、落ちない。
誠治さんの引き止める声と共に振り切れたらと思った怪しい男も、それが当たり前かの様についてきてしまった。
叩きすぎてもコートの生地が傷んでしまうのにと、私は今日に限って薄い色合いのコートなんてチョイスした自分を恨んだ。
まだ「こんな事」になるなんて予想だにせず、ふわふわと浮き足立っていた自分を。
「僕、は」
「うん?」
「……サンタクロースです」
「は?」
反射的に問い返すと、彼は真っ赤になった。
まったく。
コイツも嘘が下手ね。
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