第6話 学生と彼氏彼女
前回は恋愛感情の話をした。
自分はお付き合いをしたい欲が微塵もない。正確に言うならば消え去った。
「最近、彼氏と喧嘩して~マジ腹立つ」
あぁ、そうかい。その彼氏とどうして喧嘩したんだい。そう聞けば、案外とくだらない理由。
それは非常に微笑ましかった。
「ねぇ、付き合っている子いないの」
この質問が厄介この上なかった。
「いないよ」その一言で終わるはずもないのだ。
「えー!何でいないの?気になる子とかさ、付き合いたい芸能人とか!」
この質問、この質問こそ厄介なのだ。
極端な話だが、自分のパーソナルスペースに異性をいれることが難しいことを自覚している。
それは幼少の頃の家庭環境が故である。詳細を話す予定はない。
ならば、同性は?となるが正直こちらも少し難しい。自分のパーソナルスペースを侵されることが何よりも苦手だ。
例をあげるのなら、所謂お付き合いをした相手と一つ屋根の下で暮らすことを考えただけでぞっとする。
今まで経験してきた、宿泊行事はそれこそ地獄でしかなかった。
一人になれる空間がどこにも存在しない。常に気を張らねばならない。機内のお手洗いが唯一の癒しであったのだから。家に帰宅すると、どっと疲れが襲い一晩中寝ることはざらだった。
こんな人間だ。
人と共にすることなんぞ不可能なのだ。
さらに恋愛感情の乏しさによりそれは拍車をかける。
「私は孫がみたいよ」
そんな母のふとした呟きが心を銀のナイフで丸く抉りとる。
「恋愛感情も乏しければ、人と一緒にいることができないから無理だと思う」
そんな言葉は抉りとられた代わりにして。
「まだまだかかりそうかな」
そんな言葉を伝えるだけだった。
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