深夜、お湯、小説と音楽。

イトウマ

第1話

深夜1時の少し前。眠れない、というか眠る気にならない。けど明日は早い、いつも通り早い。だから寝なきゃと思う。そろそろ年賀状も出さなきゃいけない。やる事で山積みなのに、明日も朝から忙しくて山積みは積まれたまま高さを保っている。

眠れない夜にやる事がある。

山積みの中から買っただけの本達の中から気まぐれで一冊だけ取り、一章を読む。文章を流し込むのと一緒にいい温度のお湯を飲む。文章を流し込みやすくするようにゆっくりとお湯を飲む。

ゆっくりとお湯を飲むペースと一章を読むペースは大体同じで、足並みを揃えて終わりは来る。終わりは始まりを迎えに来るものなので、この時間の終わりは睡眠の始まりを迎えに来る。なんとなく、なんとなくだけど、眠れる気がして眠る。

とりあえず布団に入って、尾崎リノという弾き語りをする方の、まだレコードショップにも並んでいない文学のすゝめという曲を流していたら、次の記憶は朝になっている。

眠れない夜は、お湯、小説、そして音楽。

これさえあれば朝はやってくるのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

深夜、お湯、小説と音楽。 イトウマ @mikanhyp

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ